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こちらは、1986年にJICC出版局(宝島社)より発行されたアドベンチャーノベルス THE SCREAMER ザ・スクリーマー。
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元ネタは、1985年にマジカル・ズゥ(ストラットフォードコンピューターセンター)より発売されたコンピュータRPGのTHE SCREAMER ザ・スクリーマー。これをJICC出版局が、アドベンチャーノベルスのブランドで、ゲームブック化したもの。ジャンルとしてはウィザードリィ型の3DRPGで、ファンタジーではなく核戦争後の近未来が舞台となる、この時期に流行したサイバーパンク+バイオホラーもの。
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物語は、199×年に第三次世界大戦が勃発する。対戦終了後、荒廃した世界の食料危機に対応するために作られていた遺伝子工学研究所BIAS内で、中枢システムが暴走を始める。BIAS内では、放射能の影響や狂った遺伝子操作により、得体の知れない化け物が増殖し始めていた。一般人では近寄ることも出来なくなったBIAS内のモンスターを狩り、暴走する中枢を止める為に、政府より報奨金がかけられた。この金を目当てに各地より賞金稼ぎが、BIASのあるビーストシティ目指して集まってきていた・・・。
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PC版のザ・スクリーマーは、キャラクターデザインに東本昌平氏を向かえ、パッケージは書籍をくりぬいた中にフロッピーが収められているという大変凝ったものでした。また、説明書の前半部分には60ページほどの東本昌平氏の漫画が入っていた。
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とにかく世界観がしっかりと練り上げられた作品で、当時としても人気が高かった。戦闘シーンはアクションゲームとなり、謎解きもヒントが少なく理不尽なくらい難しいなど荒削りな部分も目立ったが、それでもかなりの支持を集めていた。電波新聞社のチャレンジAVG&RPG?でも取り上げられて、攻略が行われている。
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こちらは、PC版のTHE SCREAMERのタイトル画面。
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プレイヤーは、ビーストシティを訪れた賞金稼ぎ(スクリーマー)のひとりとなってBIAS内の謎に挑む。
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ゲームブック版では、書籍という形態を生かして設定などが詳細に語られていて、独特な物語世界を構築している。イラストは、残念ながら東本昌平氏ではないが、3DCGの第一人者として知られる駄場寛氏。
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主人公以外にも、8名の個性豊かなハンターたちが登場する。パンクスの国粋主義者、蛮刀で武装したネイティブアメリカン、冷酷な仮面の殺し屋、犬を連れたモヒカンの子供、鞭を持った女性ハンター、ヒゲのおっさん、侍などなど・・・。彼らとは、酒場やBIAS内で遭遇し、ヒントをくれたりアイテムを交換したりする。
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ゲームブック版でも、他ハンターとの交渉や交流などはかなり再現されている。
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遺伝子操作により産み落とされるBIAS内の生物。このグロさが売りの一つだった。この時期、大友克洋氏のAKIRAなどの影響でバイオだとか、世紀末だとか、核戦争後だとかいうネタが流行っていたのですね。
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人間に寄生し、その体を操って攻撃してくるキャリーベイビーも再現。
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こちらが、PC版の主人公。年齢:??歳、性別:男、性格:????と、プレイヤーがなりきる為に名前などは設定されていない。ゲームブック版では、軍隊に所属していたり、昔の顔なじみや随伴する女性がが登場したりと明確なキャラ設定がされており、3人称の視点で物語を読み進めていく形となる。
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ゲームブックオリジナルの設定により、PC版とは異なるゲームブックの独特な世界観が作られていますが、おおまかな流れなどはPC版に沿っています。
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このJICC出版局のアドベンチャーノベルスシリーズ、映画を題材としたり漫画やアニメを題材にしたりと、サブカルチャーに強かった宝島社独自の展開を見せていました。中でもアステカ、ウィル、ロマンシア、夢幻の心臓?、帝王の涙、ゾーク、ウルティマなど、当時のPCゲームを数多くゲームブック化していた。当時、PCは10〜20万〜専用モニターは10万〜という世界だったので、そう簡単には買うことが出来なかった。現在のように、仕事や通信の手段として使えるならまだしも、8ビット機はプログラムの練習用か、もっぱらゲーム用だった。このようなゲームブックで、PCゲームの世界に触れられるというだけでも意味があった。
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このTHE SCREAMERのゲームブック、ストラットフォードコンピューターセンター自らが出したMIA版も存在している。そちらには、ゲームブック内に東本昌平氏の漫画が入っていた。これは、8,000円〜程度のプレミア価格となっており、なかなか手に入らない。JICC版は数が出たのか、1,000円以内くらいで入手することも可能と割り合い入手し易くなっている。
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参考:チャレンジAVG&RPG?/電波新聞社、REST IN PEACE THE SCREAMER、ザ・スクリーマーの世界