こちらは、1990年にエンジェルより発売されたゲームボーイ版 ドルアーガの塔(The Tower of Druaga GB)。発売元のエンジェルは、バンダイの子会社。
元ネタとなったドルアーガの塔(The Tower of Druaga)は、1984年にナムコより発売されたアーケードゲーム。作者は、ゼビウスでいちやく脚光を浴びた遠藤雅伸氏。84年という早い段階でRPGの成長の要素とファンタジーの要素を取り入れ話題となった。プレイ時間に制約のあるアーケードゲームのため、経験値ではなくアイテムを入手することで、プレイヤーキャラが成長する仕組みだった。アイテムは、60にも及ぶフロアに隠されており、入手方法自体が謎であった。翌85年にはFCにも移植され、理不尽な謎を解くのはマニア以外には難しいため攻略本も発売されて、以後のゲーム攻略本の先駆けともなった。
ゲームボーイ版は、90年とちょっと遅い移植。ナムコではなく、バンダイ子会社のエンジェルという聞きなれない会社から発売されていたため、知名度的にもちょっとマイナーなドルアーガ。原作者の遠藤雅伸氏もかかわってないはず。
ドルアーガの塔は、バビロニアン・キャッスル・サーガというギリシャ神話を基にした世界観をもつ物語の1作目。ドルアーガという悪魔に囚われの身となった巫女のカイを救うため、ゴールドアーマーに身を包んだギルを操作して、60階にも及ぶドルアーガの塔に挑む。
ゲームボーイ版の画面はこのような感じ。白黒なのは仕方がないとしても、この大きさで狭い迷路を探索するのは厳しいものがあります。85年頃から当時の8ビットPCにも移植されており、その性能差からなかなかアーケードの完全な移植版は難しかった。ゲームボーイ版は、性能を考えるとよく出来ています。
ただし、移植されたのが遅かったこともあってか、大幅なアレンジが加えられている。まず、ギルが残機制からライフ制に変更されている。AC版でもヒットポイントの概念はあったのだが、マスクされており画面からは見えなかった。これに伴い、ACでは一発死だった魔術師の呪文を受けても、ライフが10減るだけで死ななくなった。
アイテムは、オリジナルに準拠していますが、画面下に取ったアイテムが並ばなくなった。アイテム画面を開いて、何をとったか確認しないとまったくわかりません。
最大の変更点と思われるのは、隠しフロアが存在し、中ボスを倒さないと先へ進めなくなった。またオープニングとエンディングに、一枚絵を使ったデモシーンが追加されている。この90年という時代、ゲームボーイという機種に合わせて、アレンジが施されたのだと思います。この後の92年にはPC-エンジンにも移植されて、こちらも大幅なアレンジが施されている。ただしPC-エンジン版では、遠藤氏が本当にやりたかった形としてのアレンジになっている。
こちらは、2000年にゲームボーイカラー向けにナムコより発売された攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ。バビロニアン・キャッスル・サーガの一つだが、遠藤雅伸氏はかかわっていない外伝的な作品。
ドルアーガの塔の時代から百年後が舞台で、カードバトルとシステムも全く異なっている。ドルアーガの塔に登場したモンスターやアイテムをカード化し、持ち運べるようになっている。プレイヤーはデッキと呼ばれるカードセットを組み、相手のフィールドへ攻め込み、ダンジョンの何処かに置いてある3つの鍵を取得する。敵側もボスも同じようにプレイヤー側のフィールドに攻め入ってくる。ダンジョン中枢に有るジュエルを先に取れば勝ちと云うルール。
ゲームボーイカラーの時代ともなるとゲーム画面やパッケージも綺麗。マニュアルもカラーで、ところどころ漫画仕立て。
この2000年頃というのは、カードバトルものが流行っていた頃。ドルアーガの塔が登場した1984年という年は、RPGやファンタジーが話題となり始めた頃でしたので、登場した時代背景も含めて考えると面白い。他の外伝では、ローグや不思議のダンジョンのシステムを基にしたものもあった。
作者は、パックランドやバラデューク、ファミスタを生んだ元ナムコの岸本好弘氏。遠藤雅伸氏は携わってないが、わりと好意的な見解を述べられていたと思います。
こちらは、バビロニアン・キャッスル・サーガの出発点となったアーケード版のドルアーガの塔。86年には、経験値の概念やパスワード、2人同時プレイと、よりRPGの要素を盛り込んだ続編イシターの復活(The Return of ISHTAR)も登場した。
88年にアーケードからプラットホームをFCへと移したカイの冒険(THE QUEST OF KI)。アタリが開発したアーケードゲーム、メジャーハボックのシステムを流用した、独特の浮遊感を持つジャンプアクションゲーム。
94年にプラットホームをSFCへと移して発売されたザ・ブルークリスタルロッド(the Destiny of GILGAMESH)。選択肢を選んで物語を進めていく、ゲームブックの様なアドベンチャー。この当時、流行っていたサウンドノベルに近いと考えても良いのかも。48種類という、驚異的なエンディング数を誇る。この後、ドルアーガ正史は2011年のドルアーガの迷宮(THE LABY RIDTH OF DRUAGA)へと続く。
こちらは、1986年に東京創元社より発売されたゲームブック版 ドルアーガの塔三部作。1作目のドルアーガの塔をゲームブック化したもの。2006年には、創土社より復刊されている。
これの最大の特徴は、60にも及ぶフロアをゲームブックに再現してしまったこと。日本製ゲームブックとしては、最高峰と呼ばれることも。一巻では、わりと原作に忠実なのだが、巻が進むにつれてオリジナルの登場人物や塔の外に出てしまう展開なども。作者の鈴木直人氏は、ゲームブック作家としては有名人。
ということで、ドルアーガの移植作品としては、ちょっとマイナーで異質なゲームボーイ版 ドルアーガの塔(The Tower of Druaga GB)でした。
参考:Wiki ドルアーガの塔、イシターの復活、カイの冒険、ブルークリスタルロッド、攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ、岸本好弘、ドルアーガの塔(ゲームブック)の項