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日本懐かし自動販売機大全・辰巳出版

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 これは、辰巳出版社より2014年に出版された日本懐かし自動販売機大全。筆者は、レトロ系フード自販機の第一人者であり、マルチクリエータの魚谷祐介氏。 
 

 いわゆるドライブインなどに置いてあった、全自動で調理までしてくれる懐かしい自動販売機を扱った一冊。置いてあったと過去形で書いているのは、これらの自動販売機はもうすでに大半が撤去されてしまっていて、残っている場所が数少ないため。1960年代から1970年代にかけて、モータリゼーションの発展に伴い、主要国道沿いに車での利用や長距離トラック、タクシーなどを対象にした郊外型店舗が発展した。これらは、ドライブインと呼ばれたり、オートレストランなどと呼ばれた。オートレストランなどは、自動販売機を置いて24時間で営業しているところが多かったため、この休憩所を兼ねたレストランが全盛期であった70年代~80年代にかけて、うどん、そば、ラーメン、ハンバーガー、カレーなどを自動で調理してくれる自動販売機が登場した。ただし、90年代以降はコンビニや深夜営業のレストラン、スーパーなどの開店に伴い、徐々に数を減らし始め、最盛期には全国で1万台ほどあったといわれるこれらの販売機も、現在では数箇所、数十箇所というレベルにまで減ってきている。現在でも高速のパーキングエリアは健在ですが、民間主体のドライブインやオートレストランなんかは、だんだんと第三セクターなどが多い道の駅という形態に置き換わっていっています。


 この本は、そのような懐かしの自動販売機を扱った魚谷祐介氏のサイト、懐かし自販機~味わいの自販機コーナーを書籍としてまとめたもの。このサイトには、自販機の動画や現在これらの自販機が残っている場所などが網羅されており、ひなびた国道沿いの大変懐かしい原風景がまとめられている。


 今でも高速のパーキングエリアや道の駅などに行くと、どこか懐かしい風景を感じたりしますが、民間主体で運営されていたドライブインなどに活気があった風景は、もう過去のものになりつつあることが分かります。1978年にタイトーのスペースインベーダーがヒットをしインベーダーブームが訪れると、24時間の自販機+ゲームセンター+レストランといった形態になり、この頃が全盛期だったようです。


 そば、うどん、らーめん、ハンバーガー、トーストなどが定番。今でも、ずっと置かれているように錯覚してしまいますが、これらの自販機が製造されていたのは70年代が中心で、メーカーは随分前から製造より撤退しています。今でも現役で稼動しているところは、古くなった自販機をメンテナンスしながら、使っているそうです。電子レンジで調理するハンバーガーやフライドポテトなんかは、つい最近までゲームセンターやボーリング場で見かけたように感じていたのですが、自販機ハンバーガーの代名詞でもあるグーテンバーガーを製造していたマルシンマック(マルシンフーズの子会社)が、2002年に撤退しているため、実は現在ではほとんど残っていないのだとか。ハンバーガーは、昔は子供にはお出かけの日にのみ食べられる特別な料理でしたが、今はスーパーやコンビにでも100円で売っているものになってしまいました。


 オートレストランのみならず、寂れた観光地やビジネスホテルなどでも定番であった、富士電機株式会社のめん類自動調理販売機。このような自販機が全盛であった頃には、シャープなども参入していたようです。今でもお湯が出てくるカップヌードルの販売機は、現役で見かけます。90年代末頃には、探偵ナイトスクープで現役稼動している大塚のボンカレー自販機を探すというネタもあった。


 自動調理販売機の内部構造も紹介されている。魚谷祐介氏のサイトには、この動画も置いてある。うどんやそば、らーめん類は、冷凍食品を解凍していたのではなく、生めんを冷蔵していた。それにお湯を注いで、湯きりするだけと意外とシンプルな構造だった。子供の頃は、こういうの好きですから食べたかったが、親が買ってくれなかった。そばとラーメンを各一回だけ食べたくらい。それでも、懐かしく感じるのは何故でしょう。


 現在でも、現役でこれらの自販機が稼動しているオートスポットやドライブインが紹介されている。


 こちらは、冷凍したハンバーガーを内部の電子レンジで加熱してくれるタイプのもの。1~2分ほどで、箱ごと加熱された熱々のものが出てきます。このタイプでもっとも有名なのは、マルシンフーズの子会社が出していたグーテンバーガー。似たタイプにトーストもあった。


 その他にも、ガムやらジュースやら、懐かしの自動販売機が掲載されている。


  とにかく懐かしい書籍です。誰か、このような形態で、次はデパートの屋上とか遊技場をやって欲しい。こちらは、ほどんど壊滅に近い状態だろうから、今からでは遅すぎるのかもしれないが。

 
 何故か、今はこのようなニッチでマニアックな情報を網羅したムック本が熱い。これまで発売された家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機を網羅した家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機コンプリート。同じ著者による、任天堂コンプリートガイド -玩具編-というのも出ている。


 駄菓子屋で売られていたメンコや駄玩具、エポック社のボードゲームなどを網羅した、目で見る駄菓子屋グッズ大図鑑DX。似たような視点からは、20円のガチャガチャを扱った愛しのインチキ・ガチャガチャ大全ーコスモスのすべて、続編の素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠になどがある。変り種としては、うまい棒を扱ったやおきん公認 うまい棒大百科というのもある。


 80年代のホビーPC周辺を扱った80年代マイコン大百科。同じ筆者による続編的なレジェンドパソコンゲーム80年代記もある。同じような題材では、懐かしのホビーパソコン ガイドブック 、同じ筆者によるより詳しいホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史というのも出ている。


 レトロハードやらATARIやらMSXやらデータイーストやら、興味の赴くままにマニアックなネタを集めた、ゾルゲ市蔵氏の謎のゲーム魔境。


 主要なアーケードゲームの歴史が、カラーで一通り網羅されているアーケードゲーマーズ白書。このシリーズは、RPGやらシューティングやら、アクションゲームやら、懐かしいゲームが一通り揃っている。


 これまでに発売された全ファミコンソフトを網羅したファミリーコンピュータ1983-1994。これは、レベルXという展覧会に連動して出版されたもの。より豪華なファミコンプリートという本もあった。ファミコン本は多すぎて、とても全部は追えない。メガドライブのソフトを網羅したメガドライブ大全というのもあった。


 世界初のパーソナルコンピュータAppleⅡについて網羅したApple2 1976‐1986。スティーブ・ジョブズの伝記は数多く出版されていると思いますが、Apple2本体についての情報は、今となっては貴重。


 駄菓子屋や文房具屋などでも売られていた、青島の合体シリーズなどのキャラクタープラモデルを網羅した超絶プラモ道〈2〉アオシマプラモの世界 。パチもの的なキャラクタープラモを扱った超絶プラモ道の青島文化教材社編。つい最近では、アウトサイダー・プラモデル・アート 青島文化教材社の異常な想像力という本も出ている。


 テレビゲームも扱っていますが、LSIゲームとも呼ばれた電子ゲームに特化した 電子ゲーム70's & 80'sコレクション。ニッチなマニア本のはしりといえるでしょうか。


 ということで、すごくノスタルジーを掻き立てられるお勧めの一冊、日本懐かし自動販売機大全でした。



参考:Wikiドライブイン、オートレストラン、グーテンバーガー、マルシンフーズの項、懐かし自販機~味わいの自販機コーナー(公式サイト)

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