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懐かしのホビーパソコン ガイドブック(OAK MOOK)/前田尋之監修・オークラ出版

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 こちらは、 昨年2014年の10月にオークラ出版より発売された、懐かしのホビーパソコン ガイドブック。監修を務める前田尋之氏の前著ホビーパソコン興亡史からの続編といった感じで、当時の主要なPCがカラーで紹介されている。


 ファミコン関連の回顧本は数多いですが、当時の8ビットや16ビットのホビーPCを扱った書籍は数がとても少ない。当時、ファミコンがブームになる少し前の80年代の初頭あたりから、PCの方で先行してちょっとしたブームが起きていた。トミーのぴゅう太やセガのSC-3000、コモドールのマックスマシーン、ソード(タカラ)のM5など、家庭用の安価なPCとしてもゲーム機としても使えるホビーPCが売られ始め、NECのPC-88、シャープのMZ、X1、富士通のFM-7など御三家と呼ばれる機種が登場してきて、PCゲームの市場が少しずつ形成されていた。これら以前は、PCゲームは主にカセットテープで供給され、ショップやメーカー製のおまけみたいな感じで売られており、まだゲーム市場と呼べるものは形成されていなかった。FCが登場してきてからも、アドベンチャーゲームやRPG、シミュレーションなどPCでしか遊べないものも多く、そのため高価なPCはちょっと知的で大人びた憧れの対象だった。特にRPGは、ドラクエが発売される少し前の84年頃からPCの方で先に話題になり始め、それが86年にファミコンに飛び火して一気に一般にも知られるようになった。


 これは、それらの熱いホビーPCの世界を垣間見せてくれる貴重な一冊。主要な機種が時系列順に並べられており、オールカラーで見開き1~2ページに一機種という構成になっている。反面薄い本なので、入れられる情報量には限りがあるため、それほど詳しい解説や情報が収められているわけではない。気軽に読める80年代のホビーPCのカタログ本といった作りになっている。


 有名どころだけではなく、松下電器のJRや日立のS1、ソニーのSMC-70/777、東芝のパソピア7など、家電各社がそれぞれ発売して主流にはなれなかった機種から、ファミリーベーシック、セガのSC-3000、ぴゅう太、ソード(タカラ)のM5、コモドールのマックスマシーンなど、主にホビーをメインにした機種、16ビットで度肝を抜いたX68000、長いこと国民機として君臨したPC-98、32ビットでCD-ROM搭載のFM TOWNSまで、ウィンドウズが登場してきてIBMのPC/AT互換機一色となるまでの国内PCの発展の過程を俯瞰できるようになっている。


 ずっと日本国内では、ビジネスシーンで使われるPCとしては主流だったPC-98。携帯より随分前に、ガラパゴス現象が起きていたんですな。


 松下電器が発売したJR-100。後に松下電器は、自社開発のものをあきらめMSX陣営に参加した。


 憧れの機種だったシャープのパソコンテレビX1。シャープのテレビ事業部が製造しており、同じシャープのパソコン事業部のMZとも競っていた。この頃は、機種が違ってしまえば同じメーカーのPCといえども互換性がなかった。


 NECの安価なホビーPC、PC-6001/6601シリーズ。音声合成が可能で、しかも音階が付けられて歌を歌わせることができた。今考えると、ボーカロイドなど時代を先取りしている。


 80年代8ビットPCの主流となった王者NECのPC-8801SR。FM音源を積んでおり、それまでの味気ないBeep音から流麗な音楽を奏でることができた。スプライトを持たないため、重ね合わせてスクロールさせるアクションゲームは苦手だった。


 MSXは、代表的な機種としてソニーのHITBIT HB-55を掲載。この55という型番は、ソニーの日本初のトランジスタラジオTR-55と同じであり、ここぞという商品に付けられる番号。当時のソニーの意気込みのほどがうかがえる。


 当時の代表的なPCの紹介とともに、当時のカタログも掲載されている。これは、4096色表示を可能とし総天然色PCと呼ばれたFM-77AVのもの。また、機種ごとにそのパソコンで動く代表的なゲームタイトルも紹介されている。


 近年発売されたもので路線が近いものといえば、当時のカタログ、雑誌の記事などから構成された永久保存版80年代マイコン大百科。惜しいことに、こちらはオールモノクロ写真で構成されている。


 10年ほど前に発売されたソフトバンクのBeep復刻版。当時は、LOGiNやマイコンBASICマガジン、テクノポリス、POPCOMなど、主にPCゲームに特化したホビーよりの雑誌が多数発行されていた。機種ごとの専門誌であるOh! PC、Oh! X1、Oh! MZや、技術やハード寄りのI/Oなど、住み分けができていた。このBeepを出版していた頃のソフトバンクといえば、まだPC関連の書籍を出していた、地味ないち出版社にすぎなかった。


 PC-8801のエミュレーターと当時のゲームを詰め込んだ、蘇るPC-8801伝説。この2002年頃に、このようなエミュレーター+当時のゲーム本がちょっと流行った。


 1992年の休刊から、10年の歳月をかけて2002年に復刊されたMSXマガジン永久保存版。好評だったため第三弾まで発行された。


 電波新聞社のマイコンBASICマガジンに連載されていた記事をまとめたチャレンジ!!パソコン AVG & RPG。大変な人気を博してVまでシリーズが発売された。こちらも2003年に復刻されている。


 PC-6001とMSXを題材に子供にも分かりやすく漫画で解説したプログラム入門本。すがやみつる氏のこんにちはマイコン。こちらも2002年にマイコン電児ランとあわせて、ゲームセンターあらし対マイコン電児ラン+こんにちはマイコン完全版として復刻されている。


 こちらは、当時のPCのバイヤーズガイドともいえるよいパソコン、悪いパソコン。これを見ると主要機種の陰に隠れて、まだまだ数多くの機種が埋もれていることが分かる。今ではプリンターメーカーのエプソン、キャノン製のPCや沖電気などの聞いたこともないような機種が数多く掲載されている。


 ということで、熱かったあの頃に一瞬でタイムスリップをさせてくれる貴重な一冊、懐かしのホビーパソコン ガイドブックでした。



参考:懐かしのホビーパソコン ガイドブック/前田尋之監修・オークラ出版、こんにちはマイコン/すがやみつる・小学館、よいパソコン、悪いパソコン・JICC出版局、チャレンジ!!パソコン AVG & RPG/山下章・小学館

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