こちらは、株式会社オークスより2016年1月に発売されたぼくたちのギャルゲークロニクル。著者は、近年レトロゲーム関連本を出しまくってるコナミ出身の前田尋之氏。育成、恋愛ゲームと呼ばれるジャンルのゲームの歴史をまとめたもの。同じ筆者によるよりアダルトよりのゲームをまとめたぼくたちの美少女ゲームクロニクルというものも発売されている。
もともとアダルトゲームの歴史は古く8ビットパソコンの時代からありますが、そこからアダルトの要素を抜いて育成や恋愛という部分にスポットを当てたものが、90年代CD-ROMの大容量を使える時代になると登場してきた。コナミのときめきメモリアルの大ヒットで、一時期はゲームショップの棚にRPGやアドベンチャーと並んで育成、恋愛ゲームというコーナーが設けられるほど隆盛を極めた。そんな、ギャルゲーの歴史について代表的なものを紹介している。
パソコンの初期の光栄のものやエニックスなどが出していたものなどは、アダルトの要素を含んでいるためこちらでは紹介されていない。ギャルゲーの起こりとして、美少女を主人公にしたアクションゲームやRPGなどを持ってきている。後は、各年代ごとの代表的なものが網羅されている。900タイトルから厳選し240タイトル収録されているということですが、あれが収録されない、これが入っていないという不満はあるらしい。
個人的には、ギャルゲー全盛期はプレイステーション、セガサターンの頃だと思っているので、見たことある作品が多くて懐かしい感じはしますね。
ゲームショップの棚に、恋愛・育成シュミレーションという新たなジャンルを生みだすほどの影響を誇ったコナミのときめきメモリアル。元は、94年にPCエンジンSUPER CD-ROM2用として、PC-エンジン末期の目立たない作品として発売され、95年にプレイステーション、セガサターンに移植されたことで大ヒットとなった。元々は恋愛ゲームでなく、学園生活を疑似体験するゲームとして企画された。実はゲームとしてもよく出来ている。恋愛ゲーム界のドラクエ。
恋愛シュミレーションの隆盛を受けて、老舗アスキーより発売されたトゥルー・ラブストーリー。卒業まで3年間の学生生活を過ごすトキメモと異なり、こちらは転校までの一週間を過ごす。新しかったのは、下校会話と呼ばれるリアルタイムのシュミレーションパートを持っており、話題を選択して会話のキャッチボールを行う。
それぞれのキャラごとに好感度と物語性を持つシナリオを持たせたことで、ヒット作となった同級生2。元はアダルトのアドベンチャーゲームだったが、アダルト要素を取り除いてプレイステーション、セガサターン、果てはSFCにまで移植されたほどヒットした。1作目の同級生は、TOKYOナンパストリートと同じようにナンパをゲーム化したものとして企画されたが、キャラごとにバックボーンとなる背景(物語)を付けた事により、恋愛ゲームの元祖となった。
同級生、同級生2の続編といえる下級生。システム的には、同級生2と大体同じようなもので、こちらも元はアダルトゲームだった。
こちらは、リバーヒルソフトより発売されたリフレインラブ。他の作品とはちょっと趣向を変えて大学生活を扱っている。卒業までの半年間を過ごす。こちらの最大の特徴は、女性だけでなく友人となる男性キャラにも好感度が設定されている点。恋愛シュミレーションというより、学生生活シュミレーションともいえる作品になっている。
この本は、定価1,400円ほどの本なのですが、自由価格本としてかなり安い価格で売っている。新本特価(自由価格本)とは、バーゲンブックとも呼ばれ、新古本とも異なり一度も市場にでていないもの。出版社の判断で安い価格を付けて売りに出したものらしい。自由化価格本には目印として、赤で印が入っていたり線が引いてあったりする。一般的なレトロゲーム本と比べて、やはり市場が限られてしまうんでしょうか。ただ90年代中頃のCD-ROMが全盛となった頃の空気感を知るには、なかなか良い本だと思います。
ギャルゲー、美少女ゲームに詳しい人には、物足りない内容みたいですが、ギャルゲーの歴史が簡単にまとめてあるため、ライトなゲームファン層にとっては十分な内容だと思います。自由価格本で安く売られていますので、プレイステーション、セガサターンの頃を懐かしんで買うというのもありかも知れません。
参考:ぼくたちのギャルゲークロニクル(オークスムック730)・株式会社オークス、Wiki ギャルゲー、ときめきメモリアル、トゥルー・ラブストーリー、リフレインラブの項