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The Black Onyx II〜Search for the Fire Crystal(後編)・BPS/アスキー

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 ということで、The Fire Crystalの後編です。長くなりましたので前・後編に分けてあります。

 ブラックオニキスの方は、様々な展開が見られたりG-mode BLACK ONYXとして携帯のアプリで遊べたりもしましたが、難易度が高くゲームバランスにも問題があるといわれていたファイアクリスタルの方は、その知名度の割には長らく遊べる環境がありませんでした。ところが2006年にアスキーより出版された蘇るPC-8801伝説 永久保存版に突如としてブラックオニキス共々収録され、再び現在でも遊べる環境が提供されました。収録予定だったマジカルズーのザ・スクリーマーが流れてしまったこともあって、この2作の収録が目玉だったようです。


 解説と途中までのミニ攻略あり。ブラックオニキスの方は、最後のカラー迷路まで掲載されているのですが、ファイクリは途中まで。ファイクリは、現役当時にも山下章氏のチャレアベ(チャレンジ!!パソコンAVG&RPG)に攻略記事が紹介されていたのですが、こちらもカラー迷路まで掲載されていたブラックオニキスに対して、ファイアクリスタルは途中までと、どうしても扱いが中途半端になっていました。



 個人的な思い出としては、ブラックオニキスは当時友達のPC-88版とMSX版で遊びました。ファイアクリスタルの方は遊ぶ機会がなく、当時のPC誌や前述の山下章氏のチャレアベ?(チャレンジ!!パソコンAVG&RPG?)に掲載された攻略記事で知るのみでした。これには、敵が比べ物にならないくらい強くなっている点と、戦士の成長が途中で止まってしまう点で、ゲームバランスがかなり厳しくなっている事と、迷路がワープやターンテーブル、見えない壁などでマッピングが困難なほど複雑になっている事などが書かれていました。また最後の壁の色合わせ、魔法の合言葉、ケイマトビの謎にも断片的に触れられており、いったいどんなゲームだったのだろうと、長年の謎でもありました。 


 ということで、MSX版を入手したことをきっかけに、初めて最後まで遊ぶことができました。MSX版は、他機種版と異なりファイアクリスタルのみでも遊ぶことが可能で、ファイクリで作成した勇者は前作のレベル10クラスの能力を持つなど、前作からキャラクターを持ってくるよりこちらで作成した方が良い模様。戦士が成長しない点に関しては、魔力で攻撃力と防御力を強化できる(幾らでも重ねがけできる)事と、〜スレイヤーと呼ばれる魔法の武器の存在で何とかなります。複雑なマップも、マップの壁をすり抜けてしまう呪文の存在で、特にマッピングをしなくとも強行突破が可能でした。戦闘中に逃走することで魔法の合言葉のフロアを抜けて、最後の大広間に入り、ケイマトビの柱の間を抜けて、無事ファイアクリスタルに到達できました。


 前作ブラックオニキス共々、ウツロの町や地下迷路にはイベントらしいイベントもない、ただひたすらキャラを強化しながら迷宮内を突破する内容です。現在のすべての空間が3次元データ化され、実在の他のプレイヤーと競い合うゲームからすると、隔世の感があります。ただし当時の状況を知るのに欠かせないアイテムの一つとして、ゲームブックの存在がありました。日本では、まずPCから海外の作品の影響を受けてRPGの要素を取り入れた作品が83年頃から出始めており、それらを完成させさものとしてザ・ブラックオニキス、ドラゴンスレイヤー(ともに84)などが発売されます。メジャーなところでは、初めて成長の要素を取り入れたドルアーガの塔(84)、その影響を受けたハイドライド(84)が発売されて、RPG人気が一挙に盛り上がる状況が生まれました。それがドラゴンクエスト(86)へとつながっていくわけです。


 そのような世界的なRPG人気の盛り上がりを受け、RPGの冒険の要素を書籍に盛り込んだゲームブックが刊行されました。迷路探求ものの基本を押さえた火吹き山の魔法使いより始まって、キャッスル・アドベンチャーの要素をもつバルサスの要塞、フィールド・アドベンチャー運命の森、SF・さまよえる宇宙船など次々と発表されていました。写真は、シティ・アドベンチャー型の冒険譚盗賊都市。


 こちらは、迷宮探索そのものを競技(ゲーム)として物語に織り込んだ死の罠の地下迷宮。他冒険者の存在やパーティプレイをゲームブックに持ち込んだ実験作でもあります。これらのゲームブックは小説という媒体ですから、幾らでも想像力でイメージを膨らませることが可能でした。ブラックオニキスの何もないウツロの町も、盗賊都市や城砦都市カーレのように冒険者でにぎわう町の喧騒を感じることができていました。昔のゲームは、解像度や容量の問題もあり、表現力が限られていたのですが、これらの助けを借りながらリアルな冒険を楽しむことが可能でした。


 もう現在ではゲームはしませんので、今の状況がどのようなところにあるのかは、よくわかりません。ただRPG黎明期の熱気は、現在のもの以上に楽しくて、次々と未知のものが生まれてくる状態でした。それは、現在の高度化されたゲームと比しても、決して劣ってはいないものだったと思います。



参考:Wiki ザ・ブラックオニキス、ザ・ファイアクリスタル、スーパ−ブラックオニキス(ゲームブック)、BPSの項、ドナドナを聴きながら

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