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great escape グレートエスケープ 大脱走・ツクダオリジナル

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 great escape グレートエスケープ・大脱走は、1982年頃にツクダオリジナルよリ発売された電子ゲーム。


 この頃は、任天堂ゲーム&ウォッチの大ヒットを受けて電子ゲームブームの最盛期。バンダイ・エポック・トミーの玩具大手に続いて、学研やカシオなど(ナショナル、シャープ、SEIKOなども)、他業種からも続々と参入が相次いでいました。新生やタカトク、増田屋など老舗の玩具メーカーも、負けてはいられないと電子ゲームを送り出していきます。これは、そんな中オセロゲームで有名なツクダオリジナルより発売された電子ゲームです。


 パッケージ。大人びているというかクール。悪く言えば地味。


 今から見ると、まるで70年代の洋画のような良さがありますが、アーケードからの移植ものやキャラクターものに囲まれた中で、これを選ぶ子供は少数だったでしょう。


 本体。こちらもモノクロで統一されていてクール。悪く言えば特徴がない。


 操作系も良くまとまっていて、先行他社をしっかりと研究した様子が伺えます。

 
 あまり特徴らしい特徴がないこのゲーム機ですが、最大の特徴が本体が外枠と分離できるということ。G&Wを意識してか、持ち運びを重視したよう。外枠はシリーズ共通で(といっても2作しかない)、着せ替えも考えられていたかも知れません。


 だからどうなのというこの機構、プレイ中に外れて遊びにくくて仕様がない。デザイン的には、インパクトありますけどね。


 内容は、脱走者となって追跡してくるポリスマンをかわしながら現金ぶくろを集めて、施設よりヘリで脱走するというもの。点滅している現金ぶくろには、ピストルが入っており入手できます。設定としては、電子ゲームにもよく題材として採られた脱走物。学研・サーチライト、バンダイ・大脱走などが代表的。


 施設の上空にはヘリコプターが旋回しており、プレイヤーが出口につくとナワハシゴを下ろして脱出させてくれます。施設の壁はコンピュータにより自動生成されており、プレイヤーは画面中央固定で4方向にスクロールします。この辺りは、深夜のビルディングを徘徊する怪盗ものやスパイ物、追跡物のテイストも入ってます。代表的なところでは、タイトー・ルパン?世、エレベーターアクションなど。


 プレイ画面。4方向にスクロールするのは、電子ゲームとしては大変珍しい。迷路の自動生成もこの時期としては珍しく、しかもかなり広いフィールドになっています。


 画面の左端下が、スタート位置。プレイヤーキャラが動くのではなく、迷路の方が動きます。時代がもう少し後だったら、ファンタジーRPGのダンジョンものとしてもいけるかも。現金ぶくろを集めるドットイートの要素も入ってます。


 点滅現金ぶくろを取り、ピストルを入手。この辺はお約束ですが、迷路の壁も壊せるというのは、なかなか斬新。


 ゲーム中は施設上空をずっとヘリが旋回しています。タイトー・ルパン3世、日本物産・クレージークライマーでもお約束。演出としても、脱走の緊迫感を高めることに一役買っています。
 

 ポリスマン(警備員)出現。追跡してきますが、迷路を迂回することまではできません。壁に引っかかってバタバタする。


 ピストルを撃ちたいときは、右方向にしか撃てません・・・ということはなく、ジョイステックを倒しながらショットを押すことで、好きな方向に撃てます。慣れないと撃ちにくいし、ポリスマンは結構早いので待ち伏せしないと難しい。追跡物の緊張、緊迫感はよく表現されています。


 捕まった!!スタート地点まで戻されて、牢屋にとらわれてしまいます。細かい演出までよくできています。


 かなり難しいし、迷路も単調なので面白いかというと微妙なところ。ただ電子ゲームとしては非常に良く出来ています。題材としては83年頃の初期のPCゲーム等に多く採られてましたが、その時点では固定画面でスクロールしないものも多く、迷路の自動生成まで考えると、それらよりも高度だったかも。


 しまった!行き止まりだ。でも、ポリスマンも壁に引っかかっているぞ。


 全画面表示。たったこれだけのパターンで、画面をスクロールさせ、物語や世界観の広がりを感じさせてくれるのだから驚異的。ただその代償として画面が変化に欠け、幾分単調になっています。


 同じような題材を採ったものはたくさんありましたが、このゲームに匹敵する個性を持ったものとしては、エポック社・デジコムルパンがありました。こちらは探偵と怪盗に別れ、音を頼りに見えない相手を推理して追跡するというもの。このような脱走・追跡物や脱獄物は、ドリフのコントでもよくありましたし、この時代らしい懐かしい題材といえるかと思います。


 ツクダオリジナル社は、参入が遅かったこともあってか、FLゲームは3作しか発売していません。写真は、同シリーズのザ・ドラキュラ。同シリーズらしく、こちらも筐体が分離することが売り。後は、液晶のオセロゲームをたくさん販売してました。70〜80年代にはオセロゲーム、スライム、ルービックキューブとヒット作をたくさん持っていた同社でしたが、少子化には勝てなかったのか、現在ではバンダイ傘下のパルボックス社に業務が引き継がれています。


 当時の思い出としては、存在自体を知りませんでした。あまり売れなかったのか、現在でもデッドストック、未使用品を良く見かけます。オークションでも1,000円〜前後と全く人気がないのですが、結構良く出来ていますので、電子ゲーム好きならお勧めしたい1品だと思います。


 ということで、ツクダオリジナルの遺産great escape グレートエスケープ・大脱走でした。ところで、何でgreat escape小文字なんでしょう。



参考:Wiki ツクダオリジナル、パルボックス、メガハウスの項、そのほかのMSX

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