こちらは、総合科学出版より2013年に発行された永久保存版 80年代マイコン大百科。
80年代のマイコンと呼ばれていたパーソナルコンピュータ周辺の事象を扱ったもので、著者はフリーライターにしてコレクターでもある佐々木潤氏。当時の主要なPCのハード面とゲーム面、それらを扱った雑誌など、主に当時の広告写真を織り交ぜながら紹介しています。ファミコン関連やセガなどコンシューマを扱った書籍は数多く出版されていますが、PC周辺のものは本当に少ない。そういった意味で貴重な一冊。
扱うのは主に当時のハードのちらし、雑誌記事や広告など。それらに著者の解説が付いています。
構成は、第1章ハード編、第2章雑誌編、第3章ゲーム(ソフトハウス)編1980-1984、第4章人物編、第5章ゲーム編(ソフトハウス)1985-1989編、第6章アダルトゲーム編、第7章そのほかのトピックとなっています。
当時、一世を風靡したホビー機のPC-88シリーズ。広告に登場するのは、武田鉄也さん、斉藤由貴さん。
徳間書店より発行されていたPC雑誌テクノポリス。
21世紀まで持ちこたえた電波新聞社のマイコンBASICマガジン。
日本で最初のRPGであるザ・ブラックオニキスを出したソフトハウスBPS。テトリスの方が有名に。
このようなレトロパソコンゲーム周辺の書籍や資料は、なかなか出版されません。電波新聞社より発売されていた山下章氏のチャレンジ!AVG&RPGの復刻版などが、いまだもって第一線級の資料としてプレミア価格で取引されています。
2000年代のはじめ頃に、当時のゲームを収録したCD-ROM+雑誌の形でアスキーより出版された甦るPC-88伝説。PC-98本が2冊、PC-6001、PC-8001本などが出ていました。
同じ頃に、これらと同じ形式でCD-ROM+雑誌(当時の雑誌MSXマガジンの復活)という形を取って出た、MSXマガジン永久保存版。第3弾まで発売されました。
同じく2000年代前半に、当時の記事をそのまま縮小して収録するという形で出た、Beep復刻版(ソフトバンク)。
スタバ斉藤氏と船田戦闘機氏が、所有していたPCの思い出を語った100台のコンピュータ。1998年にアスキー出版局より出版。
世界初のコンピュータから人工知能、人口無能、電子ゲーム、映画や小説に登場したコンピュータまで、古今のコンピュータにまつわる事柄を扱ったモンドコンピュータ。1995年頃にアスキーより出版されたもの。
ということで、企画ものとしては素晴らしいですが、いくつか不満点も。オールモノクロのページで占められており、カラー写真がありません。また当時の広告主体で著者の解説も少なめなため、喰い足りないようにも感じます。これらの点については、あとがきで続刊について触れられていますので、それを期待しましょう。どちらにしても、30年前のPC事情についてまとめられた書籍は少ないため、読み物(資料)としての価値は高いと思います。
参考:永久保存版 80年代マイコン大百科/佐々木潤・総合科学出版