これは、デジコムシリーズの一つとして発売されたエポック社のマイコンゲーム・デジコムフットボール。
LEDを使用した電子の野球ゲームとしてデジコム9が1979年頃に発売され、その後78年頃からのブームを受けて、80年に電子ゲーム版のインベーダーとなるデジコムベーダーがヒットを飛ばしました。その後、エポック社の電子ゲームはLEDや蛍光表示管を使用した大き目のデジコムシリーズと、液晶携帯サイズのポケットデジコムという2つのシリーズで展開されてゆきます。これは、そんな頃にラインナップに加わったスポーツを題材としたもの。
アメリカン・フットボール(アメフト)が、題材ということでアメフトのフィールドを模したスクリーン。日本では、馴染みの薄いスポーツですが映画などではお馴染み。
1人でCPU戦も可能ですが、スポーツゲームにはお約束の対戦プレイも可能。ダウン&フィールドボタン、スコア&タイム表示ボタン、パスボタン、キックボタン、プレイヤーを動かすランニングボタンなどが配置されています。こちらは、攻撃(オフェンス)側。
こちらは、守備(ディフェンス)側。電源スイッチ、1人/2人用選択スイッチ、プロ/アマ用選択スイッチ。電子ゲームのプロというのもなんだか嫌ですが、何故かこの頃はレベル選択でこうなっているものが多かった。
ゲームは、キックされたボールを受ける側が先攻(オフェンス)となり、ボールをキャッチした攻撃側はボールを1ヤードでも前に進めようとし、後攻(ディフェンス)側はそれを阻もうとして攻防を繰り広げます。日本人には、馴染みのないスポーツのため、ルールもなかなか理解しにくい。電子ゲーム化する際に簡略化されたり、記号化されたりもしているので、余計に分かりにくい。遊び方を理解するには、こちらの取り説が必須になります。
スイッチを入れることでプレーボール。表示されているのは、お互いのスコア00と残りタイムの15.00分。
キックボタンを押すことでキックオフとなりゲーム開始。
表示されているのは、キックの飛距離。
攻撃側、守備側に分かれてフォーメーションを組みます。
ランニングボタンを押すことで、タックルしてくる敵をかわしながらのランニングプレーができる。キックボタンで、キッキングプレイも可能。ただしキッキングを行うと攻撃権の放棄になり、攻守交替となる。
パスボタンを押すことで、一気に距離を詰められるパスプレーも可能。そのままタッチダウンとなる可能性もあるが、途中でボールを取られてしまう可能性(インターセプト)もある。
表示されているのは、ダウン数、フィールド上のボールの距離、フレッシュダウンまでのヤード数。
残り時間とお互いの得点表示。と、このような感じでキャラクターとボールの表示、得点やヤード数などの数値が交互に表示されながらゲームが進行していきます。
数字と記号的なキャラのおかげで何のことか分からなかったかと思いますが、どうにも取っ付きにくい。電子ゲームの購買層である子供なら尚更。70年代頃は、現在と異なり日本でもアメフト人気があったというわけでもなさそうなので、やはりこれは海外向けのものの国内版でしょうか。海外では、アメフトのゲーム化も結構されているようですが、国内だとアーケード、FCともにアイレムの10ヤードファイトしか思いつきません。
やはりこの時期だと、デジコムといえばこれしか目に入らなかったよう思います。インベーダーを尻目にアメフトを買う子供がいたら、渋すぎて逆にかっこ良過ぎてなんか嫌。
今だと違うかもしれませんが、この頃だと国内のスポーツ人気は、圧倒的に野球で次にサッカーの順。バスケやバレーをすっ飛ばして、アメフトに行っちゃうクールさがなんとも言えない。これら以外だとアメリカでは何故かアイスホッケーが人気で、電子ゲームやビデオゲームも結構出ていたりします。
アメリカのスクールカーストでは、ヒエラルキーの頂点に位置するのがジョック(Jock)と呼ばれるスポーツ万能で社交性に富むもの。多くの場合、映画などではアメフト部などとして描かれています。女性の場合は、チアリーダーとして描かれるクイーン・ビー(Queen Bee)。ということで、あちらでは徹底した花形スポーツであり、憧れの対象なんですな。これに相対するのは、ナード (Nerd)と呼ばれるスポーツ以外のことに打ち込むもの。コンピュータなどのおたくギーク(Geek)や、ガリ勉のブレイン(Brain)。甘酸っぱい青春映画などでは、こちらが主役となることも多い。
ということで、紹介もなかなか大変で説明書を見ながら四苦八苦のエポック社のマイコンゲーム・デジコムフットボールでした。
参考:デジコムフットボール取り扱い説明書/エポック社、Wiki スクールカースト、ジョック、ナードの項