プレデター Predatorは、1987年に作られたアメリカ映画。主演は、ターミネーターのヒットで世界的な人気を獲得していたアーノルド・シュワルツェネッガーで、配給元は20世紀フォックス社。
現在に続く息の長いキャラクター、プレデターの記念すべき第1作目。predatorとは、動物学用語で捕食動物、天敵の意味。最も公開当時は、82年のコナン・ザ・グレート、83年のターミネーター、キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2、85年のコマンドーでアクション俳優として一躍知名度を上げたアーノルド・シュワルツェネッガーの出演作という扱いでした。この時点では、プレデターを見るためではなく、シュワルツェネッガーの活躍を見るために劇場へと足を運んだのです。90年の第2作目では、舞台をジャングルからアメリカのロサンゼルスへと移し、シュワルツェネッガー無しで立派に主役を張るまでになっていました。途中でスピンフオフ的な2004年のAVP エイリアンVSプレデター、2007年のAVP2 エイリアンズVS.プレデターを挟んで、第3作目のプレデターズ Predatorsまでは公開されたのが2010年とえらく間が空いています。
物語は、アラン・ダッチ・シェイファー少佐率いる精鋭部隊が、要人の救出のため中央アメリカに到着する。同時期に地球上空の宇宙船より、何者かの乗ったポッドが地球の大気圏内に突入する。その頃ジャングルの奥地では、ダッチ少佐率いる部隊に要人の救出とは真っ赤な嘘で、本当の目的はゲリラの掃討にあることが知らされる。長年の友人の嘘に激怒しながらも、現地よりの脱出を試みるダッチ少佐であるが、そこに姿の見えない謎の敵が襲い掛かってくる・・・。
物語の構造としては、この頃スターロンの出世作となったランボーなどの戦場ものが人気を博しており、シュワルツェネッガーもコマンドーでそのキャライメージを確立しつつありました。筋肉マッチョな男たちがマシンガンを乱射する戦場ものと、79年のエイリアンで確立された地球外生命体の登場するSFものを融合した、いいとこ取りの脚本になっています。この頃は、似たようなB級作品が量産されていたのですが、シュワルツェネッガー主演の大作ということで、それらとは一線を画しています。撮影が途中まで進んでもプレデターのデザインが完成していなかったり、当初はジャン=クロード・ヴァン・ダムをプレデターに配役して、忍者のようなアクションをさせようと予定されているなど、まさにシュワちゃんありきの映画のようにも思えます。紆余曲折がありながらも、最終的には日本のキャラクターなども参考にしつつ、映画史に残るキャラクターが完成しました。
シュワルツェネッガー演ずるアラン・ダッチ・シェイファー少佐。最後は罠を仕掛けての頭脳戦で勝利しているが、なんだかんだいいながら2メートルを越すホッキョクグマなみの体躯を誇るプレデターと肉弾戦でやりあっている。そんなことが少しでも可能なのは、確かにこの人以外にないという気がする。
最初は、シュワルツェネッガーありきの映画ながらも、その後独立した作品としてプレデターだけで客を呼べるようになったのは、そのキャラ造形によるところが大きい。高度な科学力を持ち、敵から見えなくなくなる光学迷彩に身を包み、人間をはるかに凌駕した身体能力を持ちながらも、敵意や武器を持たないものを攻撃しない、力を認めた相手には装備を外して格闘戦を挑むなど、現代文明を持たない原住民のような人間臭い性質を持つ。あるいは、西洋の騎士道とか、日本の武士道のようなところが、人気が出た秘密なのでしょう。その後も、様々なコミックやゲーム、続編の映画などで新たな設定が付け加えられていきました。
同じ地球外生命体映画としては、先駆者となる79年のエイリアン。甲殻類っぽいプレデターの造形にも多大な影響を与えていると思います。
サスペンスホラーだった前作とは一変して、This time it's war(今度は戦争だ)のキャッチコピーのもと戦争アクション映画となった、86年のエイリアン2。プレデターは、姿を見せないエイリアンに追跡される1作目のサスペンス性と2作目の戦争アクションとを融合したような作りになっている。
とにかく、このエイリアン2の宇宙海兵隊という設定は、その後の作品やゲームに多大なる影響を与えました。今日の宇宙を舞台としたFPSの全ての原点といってよいかと思います。
ゲームやコミックの世界では、2大地球外生命体である彼らを対決させた作品が数多く作られていましたが、ファンの空想が遂に現実のものとされた、2004年のAVP エイリアンVSプレデター。この中でのプレデターは、人間と共闘する名誉ある戦士という描かれ方をしています。
近年になってからもミクロマンのシリーズでフィギュア化されたり、海洋堂の特撮リボルテックでフィギュア化されたりと、定番のキャラクターの一つになりました。第1作目の時点では、姿の見えない敵という設定のキャラでしたので、ここまで普遍的な人気を持つキャラクターになるとは、想像もできなかったですね。ちなみに、この第1作目はダイハードのジョン・マクティアナン監督の作品なので、映画の出来としても凄くよいです。個人的評価は星★★★★で、今では古典的名作といえる作品の一つ。
ということで、80年代が生んだ定番の人気地球外生命体キャラ、プレデター Predatorでした。
参考:Wiki プレデター(映画)、プレデター2、プレデター(架空の生物)、アーノルド・シュワルツェネッガー、AVP エイリアンVSプレデターの項