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ボードゲーム 対戦型テトリス・トミー(現タカラトミー)

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 こちらは、1990年にトミー(現タカラトミー)より発売された、対戦型テトリス。世界的なヒットを飛ばしたテトリスの電源不要のボードゲーム版になります。


 テトリス(Тетрис)は、旧ソビエトの科学者アレクセイ・パジトノフによって1984年に開発されたパズルゲーム。日本では、1988年にアーケードゲームとしてセガから発売された。翌98年には、ゲームボーイ発売と同時に任天堂より発売され、その普及に一役買った。いわゆる落ち物と呼ばれるパズルゲームの原型ともなった。ファミコンを始めとする様々なゲーム機に移植され、90年代中ごろには液晶を使ったミニゲームとしても再ブームが起こった。96年には、あのザ・ブラックオニキスを作ったBPSのヘンク・ブラウアー・ロジャースによりザ・テトリスカンパニーが設立され、テトリスの基本と成るガイドラインの作成や版権、ライセンスの管理が行われるようになった。


 ということで、一般的にも知らない人はいないだろうというくらい有名なゲームです。そのテトリスを手動で遊んでしまおうという変り種の玩具。ネット上にもほとんど情報が無く、あまり知られていない一品だと思います。


 遊び方はパッケージに記載されている。ボードの真ん中に移動可能なテトリスカーソル(中央線)を設け、ブロックを並べても自動では消えないので、ラインがいくつ完成したかをピンでチェックする。完成したラインの数に応じて、テトリスカーソル(中央線)を相手や自分の方に移動させるという仕組み。


 内容物。ボードとブロック。ボード上に見える黒い線がテトリスカーソル(中央のライン)。


 96年以降は、テトリスカンパニーによりテトリスの仕様(ルール)が統一されたそうですが、こちらはそれ以前の玩具。


 リアルピクセルとでもいうような感じの立体化されたテトリスブロック。


 交互にルーレットを押し、その出目によってブロックが決定される。


 イメージとしては、こんな感じで手動でブロックを並べていきます。あのロシア民謡のようなBGMは、脳内で。


 箱の中に1990年の新聞の切り抜き記事が入っていた。この玩具は、目の不自由は子供たちも遊べる盲導犬マークの付いた、共有玩具の試みの第一号として開発された。確かに、ブロックは立体化され触れるようになったことで形が認識できるようになる。ルーレットにも点字のように、触って識別できるよう凸凹が付けられている。トミーの始めたこの共有玩具の試みは、玩具業界全体の取り組みとなって、ユニバーサルデザイン(障がい・能力の如何を問わずに誰でも利用することができる施設・製品のこと)を取り入れた玩具の開発として、今日に至っている。この共有玩具第一号となったテトリスは、売れたそうですが障がいのある方や施設が中心のため市場規模が小さく利益は出なかったそう。トミーは、社会貢献の取り組みのひとつとして続けた。


 この新聞の切り抜きを入れた元の持ち主は、施設の方だったのか障がいをもつ子供の親だったのかは分かりません。ただテトリスは、当時任天堂とセガが自社のゲーム機で出すために、版権の取り合いをして裁判にもなったほどで社会現象にもなった人気ゲームだったので、そのように流行しているゲームで遊ばせてあげたい、触れさせてあげたいという親心を感じます。


 僕らは、当たり前のようにゲームをして大人になってきましたが、あらためて考えてみると目が不自由だとほとんどのゲームが遊ぶことが出来ないんですね。ゲームや玩具の世界でも、ユニバーサルデザインの考え方がより一般的になっていくことを望みます。


 ちなみにこの立体版テトリスというアイデア、Tetris Linkとして2012年にも海外の会社より発売されています。それに先駆けること、実に20年というこのトミー製対戦型テトリス。キャラクターに頼らずアイデア勝負の製品を多く出している、実にトミーらしい玩具だと思います。


 カラフルなブロックがお洒落。

参考:Wiki テトリス、ザ・テトリスカンパニーの項、玩具のユニバーサルデザイン 共有玩具/タカラトミー、ナリナリドットコム

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