Quantcast
Channel: 80年代Cafe
Viewing all articles
Browse latest Browse all 298

スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク・タカラトミー/タイトー

$
0
0

 これは、タカラトミーより2009年に発売されたスペースインベーダー ゲーム筐体型バンク。1978年にタイトーより発売されて大ブームを巻き起こしたスペースインベーダーのテーブル型筐体を1/6スケールで再現して、そこに貯金箱の機能を付けたトイ貯金箱。


 この貯金箱のコンセプトは、スペースインベーダーのテーブル筐体の外観を、本体正面のコントロールパネルや画面の左右に貼られていたゲームの説明書など、1/6サイズでほぼ忠実に再現し、当時の懐かしいレトロな雰囲気を漂わせるインテリアトイとして楽しめるデザインとしたもの。発売当時の価格は、5,775円。実売価格2,980円~3,980円位で、全国のトイザらスなどの玩具店やインテリア雑貨店、ドンキホーテなどで販売されていた。


 タイトー協力の下、インパネやインストカードなど、そのままのイメージで再現している。それだけでなく、コインを投入しコントロールパネルの発射ボタン、左右移動レバーを操作して、液晶画面でインベーダーゲームが遊べるようになっている。その上、あのインベーダー独特の電子音まで再現してある。


 ということで、なかなかマニアの心をくすぐる仕様となっており、発売当時はかなりの話題となった。使用可能なコインは、1円硬貨・5円硬貨・10円硬貨・50円硬貨・100円硬貨が投入可能で、メーカ推奨は100円硬貨となっている。メインターゲットは20代~40代の男性で、年間5万個の出荷を目標として発売されていた。


 パッケージを開けたところ。取り扱い説明書と当時のインベーダー筐体に貼られていたオーバーレイを、カラーフィルムで再現したものが入っている。


 こちらが本体。想像するより小さいし、プラスチック部品がほとんどで構成されているので思ったより軽い。


 この貯金箱の一番の売りである筐体の再現性はなかなかのもの。実際に硬貨を入れる貯金箱なので、コイン投入口の周辺などは再現されていないが、イメージを崩さないように上手にデザインに溶け込ませてある。過去には食玩でアーケード筐体を再現したもの①があり、今現在でもハングオンなどのアーケード筐体のプラモデル等はありますが、貯金箱とゲームという2つのギミックが破綻なく組み込まれている点で、他のものよりも優れている。2007年にはコナミがピカデリーサーカス筐体貯金箱、2010年にはバンダイが駄菓子屋ゲーム貯金箱、2011年に電動ライドを貯金箱にしたヒーローバンクを発売しており、それら一連のレトロ筐体型貯金箱の流れにあるものだと思います。


 ただ、テーブルの天板のあたりが艶があり、透明感のあるプラスチックで作られているため、指紋やほこりが付きやすく小傷が入りやすい。ここがガラス製であったならば質感も上がり、玩具臭さも抑えられて、より本物感が出ただろうと思われる。


 電池を入れたりお金を取り出すのは、テーブルの足を外して筐体の下側からなのですが、筐体の足もプラスチック製でポロポロとれて少し興ざめする。ここがアルミであったなら、質感、重量感も出て良かっただろうに。大人向けのインテリアトイと考えた場合の質感はいまひとつ。


 これが発売された時、一番不満が出たのがゲーム部分が、昔のゲームウォッチみたいなセグメント表示の液晶だったこと。カラー液晶モニターではなく、あらかじめプリントされたパターンに沿ってゲームが動くようになっている。これによって、インベーダーがトーチカの上までしか降りてこず、そこを最終ラインとして往復する仕様となっており、ゲーム性まで変わってしまっていた。タイトーの協力を仰いで、ここまでやったなら、一番肝心のゲーム部分の再現に力を注いで欲しかった。貯金箱部分はいらないので、この筐体に液晶モニターを付け、パソコンと接続できるようにしてくれた方が、より広がりが出ただろうと思う。今はこのような自作キットも出ているので、技術のある人ならばそういう改造のベースとしても、使えるのでしょうが。


 貯金箱の機能を付けた5,000円~程度のトイなので、そこまで求めるのは無理という気もするが、2015年に発売されていたこちらのゲーム機では、小さな液晶モニターに108種のゲームを収録して、(UFOキャッチャーの景品にもなっていたので)800円程度の価格でこの機能を実現している。2009年と2015年では、液晶モニターの原価なども違うだろうし、中華製のパチ機ときちんとライセンスを取った国内正規品の違いということもわかるが、ここはもう少し頑張って欲しかった部分だろう。


 とはいうものの、あのインベーダーブームの最中に指をくわえて家庭用インベーダーゲームを夢見ていた世代にとっては、まさに夢の商品。インベーダーが1匹~2匹しか登場しないゲーム機がほとんどだったり、最下段の一列しか表示されないテレビゲームなど、インベーダーゲームをまともに再現したものはなかった。加えて子供は、ゲームセンターやゲーム喫茶などには行けるはずもないので、ゲームセンターあらしを見て想像するよりなかった。


 しばらくすると、インベーダーのパチものが大量に登場し、駄菓子屋やデパートの遊戯コーナーなどでも10円~20円ゲームとして、遊べるようになるのですが、それでもタイトーの純正筐体は憧れだった。特にインベーダーのイラストが書かれ、月面のオーバーレイの入ったモニターにインベーダーが浮かび上がったアップライト筐体はかっこよかった。どうせ作るなら、このアップライト筐体も作って欲しかった。こちらだと、海外にも売れただろうにと思う。


 とはいうもの、インベーダーの筐体をここまで忠実に再現したトイですから、根強い人気はあってオークション、アマゾンなどでも動きは早いです。新品で売られていた当時は、売れ残ってクリアランスされていたり、雑貨店の棚に積まれていたりしましたが、それもいつの間にかなくなってしまった。しばらくは、プレミア価格が付いて売られていたのですが再生産がされたようで、昨年あたりはアマゾンにも再入荷して安くなっていた。今は、再生産分もなくなってじわじわと値を上げているような状況になっています。この形に思い入れのある方は、安く見かけた時には入手しておいても良いのではないでしょうか。



参考:タカラトミー 商品リリース 筐体型貯金箱『スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク』3月26日新発売!2009年03月05日、スペースインベーダー35周年記念サイト/タイトー、食玩魂、Impress Watch AKB PC HOTLINE!、ゲームセンターあらし/すがやみつる・小学館、8bit年代記/ゾルゲ市蔵・マイクロマガジン社

Viewing all articles
Browse latest Browse all 298

Trending Articles