マッドマックス(Mad Max)は、1979年公開のオーストラリア映画。かなりの低予算で作られたにもかかわらず世界中で大ヒットとなり、続編マッドマックス2(Mad Max2・The Road Warrior/82)、マッドマックス/サンダードーム(Mad Max Beyond Thunderdome/85)が作られました。
ということで、カーアクション&近未来バイオレンスの原点、マッドマックス・シリーズの記念すべき第一作目。主演のメル・ギブソンは、この映画が撮られた当時はまだ演劇学校に通う学生で、監督のジョージ・ミラーともども大出世作となりました。その後のカーアクション、近未来ものに多大な影響を与えた古典(金字塔)のひとつといってよいと思います。
物語は、暴走族が闊歩する荒廃した近未来。警官であるマックスは、捜査中に暴走族の一員を誤って死なせてしまうことになります。これにより、同僚のグース、マックスの家族ともども、暴走族の集団に付け狙われることになります。グースが彼らに焼き殺され、ショックを受けたマックスは警官を辞職してしまいますが・・・。物語としては、かなりシンプルな復讐劇です。前半は我が物顔で暴れまわる暴走族を描き、我慢に我慢を重ねて、ついに妻子にまで彼らの手が及んでしまい・・・という展開。
2作目は、更に荒廃した(核)戦争後の文明すら崩壊してしまった世界が舞台となっていますが、本作では、暴走族を釈放してしまう弁護士が登場するなど、荒廃はしているけれど文明はまだ残っています。後半のマックスの復讐劇へのカタルシスを盛り上げるため、ひたすら暗く、気の滅入るようなシリアスな展開が続いていきます。後半インターセプターとともに変わってしまったマックスによる復讐が果たされますが、ラストも救いがなく終わってしまいます。
これは日曜ロードショーみたいな番組で、アメリカの古い映画に混じってみたものだと思います。当時の記憶はありませんが、カーアクションというよりバイオレンスものといった印象だったよう思います。
この映画のもう一つの主役はなんといっても警察の特殊追跡車両V8インターセプター。2作目にも登場しますが、2作目ではガソリンを奪い合う世紀末世界にあわせて改造が施されていたり、フロントのエアロが外されていたりと、形が変わっています。今作では、新車同様の漆黒のボディで登場します。この車、特に武装があるわけではなく、スーパーチャージャーで驚異的な加速をするだけなのですが、マックスの片腕となり次々と暴走族を追い詰めていきます。ギューンと回って驚異的な加速をみせる、漆黒のボデイを持つ大排気量のアメ車。この車も様々な作品に引用されていきます。
この物語、妻子を失ったマックスが復讐を果たしたところで終わるのですが、何の救いもなく、閉鎖感に包まれたまま物語は終了します。ところが現実では、この映画のヒットによりメル・ギブソンは一躍有名になり、ハリウッドへの道が開けるなど映画内の展開とはまったく逆の方向に向かいます。2作目では、1作目より更に荒廃したモヒカンバギーが駆け回る、文明崩壊後の未来が舞台となっていますが、(現実を反映してか)この未来は1作目に比べるとどこかカラリとしていて明るいです。
第1作目のマックスは、妻子を連れて暴走族より逃げ回り(妻子の安全も考えて)警官も辞めてしまうなど、どこか優男で優等生な彼。
そんな彼が、第2作目ではこんなにやさぐれてしまいます。相棒は犬しかも雌犬。第3作目では、遂にハリウッド製の作品となり、マックスは子供たちのヒーローとなります。インタセプターも登場しません。
警官、近未来、復讐劇というと、どこかロボコップ(87)にも同じような共通点を感じます。ロボコップの車も少しだけ印象に残りますが、こちらはフォードトーラスで特別な活躍はしません。ちなみにロボコップの設定年代は2010年・・・ってもう過ぎてます。マッドマックスに影響されて作られた核戦争後の近未来を描いたものは、世紀末1999年だとか19××年となっているものが意外と多く、荒廃した未来はもう過ぎてたりします。バック・トゥ・ザ・フューチャー2は2015年、ブレードランナーは2019年。ちっとも車は空を飛びそうではないですね。
ということで、80年代、90年代を席巻した近未来バイオレンスの原点、マッドマックス(Mad Max)でした。
参考:Wiki マッドマックス、マッドマックス2、マッドマックス3サンダードームの項