マッドマックス Mad Maxは、1979年公開のオーストラリア映画。監督は、ジョージ・ミラー、主演は当時まだ無名だったメルギブソン。81年に続編マッドマックス2 Mad Max2、85年にマッドマックス/サンダードーム Mad Max Beyond Thunderdomeが公開されています。
物語は、近未来の荒廃した世界が舞台。警察官であるマックスは、暴走族の一員を追跡中に死なせてしまったことから、彼の仲間に付狙われる事になります。休暇の家族旅行中に彼らの襲撃を受けて妻子を失ってしまうことに。スーパーチャージャーを搭載した高性能な特殊警察車両V8インターセプターを駆って、マックスの復讐が始まる・・・。という物語で、1作目はほとんど無名の監督が無名の俳優を使って取った低予算映画だったそうです。1作目のヒットを受け、10倍の予算を使った2作目が撮られ、ハリウッド映画となった3作目では、ティナ・ターナなど豪華なキャストで作られています。
中でもインパクトがあったのが、文明が崩壊してしまった(核)戦争後の世界を舞台とした第2作目。1作目は、低予算映画ということもありストイックな内容なのですが、2作目では崩壊した戦争後の荒野をバギーを駆ったモヒカンが跋扈するSF超大作になっていました。一応続編であり物語も繋がっているのですが、監督の意向で1作目より主人公であるマックスとインターセプター以外は持ち越さないということで作られたことが理由のようです。この世界観は、当時の創作物に影響を与えまくり、荒廃した核戦争後の世紀末を舞台にした作品群が、数多く作られることとなりました。
世界観もインパクトがありましたが、主人公とインターセプターだけが引き継がれたように、高性能車インターセプターにも多大なインパクトがあったよう思います。スーパーチャージャーがボンネット上に飛び出しており、サイドからは左右に4本ずつ排気管が突き出すなど、造型的にも高性能ということを視覚的に伝えていました。マックスが手元のスイッチを入れることで、スーパーチャージャーが回転を始め、驚異的な加速を見せることになります。実はこれは電動で動くダミーで、そもそもスーパーチャージャー自体が手元のスイッチで任意に動かすようなものではないそうです。高性能を視覚的に見せるための演出だったのでしょう。劇場ではなく、ゴールデン洋画劇場とか日曜劇場とかで見たと思いますが、高性能=大排気量のアメ車+スーパーチャージャーの図式がすっかり刷り込まれてしまいました。
マッドマックスの影響を受けた創作物としては、北斗の拳が最も有名ですが、当時はFCブームでもありましたので、ゲームにも多大な影響を与えていました。こちらは、1985年にデーターイースト社が発表したLDゲーム・ロードブラスター(のPS移植版)。LDとはレーザーディスクのことで、流れるアニメーションの映像に合わせて、タイミングよく操作をすることでゲームを進めてゆく仕組みの作品です。
この世界観がまんまマッドマックスの世界。新婚旅行中に暴走車を避けるために花嫁を失った主人公が、真っ赤なアメ車を駆って暴走族に復讐をするという内容。画面にスーパーチャージャーマークが点滅したときに、アクセルを踏み込むと自車が敵車にアタックをかまして攻撃をするという無茶苦茶な設定。崖などを飛び超える際にもスーパーチャージャーマークが点滅をして、上手く使うことで窮地を切り抜けるようになっています。
ゲームの世界に登場する車には、ターボスイッチとかチャージャーとか加速をする要素が必ずと言ってよいほど盛り込まれていましたが、これほどスーパーチャージャーを間違った方向にインパクトを持って使用した作品はなかったと思います。
第1作目が公開された当時は、オーストラリアで暴走族が社会問題となっていたそう。日本でも事情は似たようなもので、そのためそれなりに物語にもリアリティがあったのだと思います。2作目では、更に荒廃したモヒカンバギーが駆け回る世界となっていますが、第1作目が破格の成功を収めたことなどもあり、深刻さは薄れてどこかお祭り気分です。日本でもバブル景気を目前に控えて、世紀末のカウントダウンみたいな雰囲気で、本作の影響を受けた世紀末作品が次々と発表されていました。それらは、核戦争後の文明が崩壊した世界を描いてはいるのだけれど、開放感に満ちた新しい世紀へのわくわく感も秘めていて、どこかあっけらかんとした世界であったよう思います。
参考:Wiki マッドマックス、マッドマックス2、ジョージ・ミラー、スーパーチャージャーの項