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BABYMETAL、METAL RESISTANCE・BABYMETAL/BMD FOX RECORDS(TOY'S FACTORY)

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 こちらは、昨年2016年に発売された2ndアルバムMETAL RESISTANCEが、全米総合アルバムチャート(Billboard 200)で39位を記録し、坂本九以来53年ぶりの快挙となったことが話題となった日本のメタルグループBABYMETALの1stアルバムと2ndアルバム。BABYMETALは、2010年にアイドルとメタルの融合を掲げて結成されたティーンの女の子3人組によるヘビーメタルダンスユニット。あちこちで話題となっていたため、その名前は知っていたのだが、そもそも現在のアイドルの楽曲自体を聞かないので、特に注目したり曲を聴くこともなかった。それがなにかのきっかけでライブ動画を見ていて、なぜ海外で受けているのかその理由が少しだけ理解できたためアルバムを入手した。


 元々BABYMETALとは、アミューズのローティーンアイドルさくら学園内の企画ものユニットとして登場した。同社に所属するPerfumeがアイドルとテクノの融合を掲げて成功していたことと、プロデューサーのKOBAMETALがメタル好きであったことから企画された。最初の楽曲ド・キ・ド・キ☆モーニングはコアなアイドルファンに話題となった程度で、広く知られることはなかった。ただし、この時点からYouTubu上では海外よりのアクセスが多かったそう。2012年にはヘドバンギャー!!、2013年にはメジャーデビュー曲イジメ、ダメ、ゼッタイ、BABYMETALのアイコンとなった狐をテーマとしたメギツネを発表と順調に楽曲をリリースしていく。日本国内のツアーやロックフェスにも出演し、2013年には14.7歳という武道館公演の女性最年少記録を更新している。2014年には海外ツアーもスタートし、中でも転機となったのはyoutube上にギミチョコ!!の映像が公開されたこと。これが海外より注目され異常な再生回数を記録する。これをきっかけとしてレディー・ガガの北米ツアーにオープニングアクトに抜擢される。また、海外のロックフェスSonisphere Festivalに招待され、6万人の観客を魅了する。これを境として、海外での評価が飛躍的に高まり、単なる企画ものではなく新しいメタルの潮流として認知されることになる。


 2014年に発売されたファーストBABYMETALの海外(UK)版。彼女らの凄い点は、楽曲をほとんどすべて日本語で押し通していること。アイドルのCDだというのに写真すら掲載されていない。海外版では、日本語の歌詞カードと訳詩ではなくローマ字による日本語の歌詞カードが付いている。元々、歌詞を意味ではなく、音の響きとして使っているそうで、日本語が理解できたとしてもあまり意味はわからない曲が多い。


 2016年に発売されたセカンドMETAL RESISTANCE。2015年からは海外ツアーを積極的に行い、海外老舗メタル雑誌の表紙を飾るようになる。2016年からは更に加速して、英国の12000人規模のウェンブリー・アリーナで日本人としては初の公演を行い、同会場内での史上歴代1位となるマーチャンダイズの販売記録を更新する。7月には米国の雑誌オルタナティヴ・プレスが主催するAlternative Press Music Awards 2016に出演、メタルゴッドの愛称で知られるJudas PriestのRob Halfordと共演する。9月にはワールドツアーの最終として東京ドーム2日間公演を成功させている。12月にはRED HOT CHILI PEPPERSのUKツアーにゲストアクトとして帯同、2017年にはGUNS N' ROSES日本公演の前座、METALLICA韓国公演の前座が決定しており、最新の情報として4月からのRED HOT CHILI PEPPERSのUSツアーへの参加も発表された。また米ワーナー・ブラザースによるアニメ化も予定されている。


 個人的には、特に洋楽に詳しいというわけでもないのですが、90年代に入った頃に友達に影響されて聞くようになった。世界史、思想史を勉強するのと同じように、ロック史に付いてもお勉強をした。


 これらロック史の偉人のエピソードの数々は、過ぎ去った遠い過去の物語、遠い国でおこった伝説であるかのように感じられた。そのような場所に、日本のそれもティーンの女の子3人組のバンドが登場してくるとは、想像もできなかった。ヘビーメタルは、70年代に誕生し80年代に全盛を迎えたジャンルで、日本より人気が根付いている海外でもコアなリスナーは40代~50代~(の特に白人男性)といったところらしい。BABYMETALの登場は、驚きと拒絶の両方の反応を引き出したようで、未だに評価が両極端に分かれるらしい。


 70年代の末にどんどん複雑になり芸術的になっていく、ハードロックやプログレッシヴ・ロックへのアンチテーゼとして登場してきたSex Pistolsの勝手にしやがれ!!Never Mind the Bollocks。そもそもロックとは、社会の主流派、体制側への反抗、反逆としても機能してきた。そういった意味では、BABYMETALはどんどん細分化してゆき複雑になっていたヘビーメタルへの最大の破壊者なのかも。実際には、高齢化してきていたリスナーの間口を広げる、若い人への導入口としても期待されているらしい。


 多くの人は、初見でなんじゃこりゃと感じるみたい。そこからいくつかの映像を見ていく過程で、①バックバンドの驚異的な演奏能力に気付く、②ヘビーメタルの爆音にかき消されることもなく、音を切り裂いて突き抜けるボーカルの声の特異性に気付く、③デビュー時のローティーンの頃から何百回と繰り返しただろうバックダンスやパフォーマンスの完成度の高さに気付くというプロセスを辿る様です。つまり、なぜ海外でそれも日本語で歌って受け入れられたかというと、単純に質が高かったからだろうということになります。


 海外のアンチの意見として根強いのは、彼女らは自分で楽器を演奏していない、楽曲を作っていない、資本により作られたギミックじゃないかというもの。特にロックは、アーティストの主張に共感してファンになることが多いという点からすると、そこが本物ではないということらしい。ただ、ローティーンの女の子たちがヘビーメタルを聞き込んでいるわけもないし、自分で作詞作曲をしたり、超絶的な演奏を披露することを期待する方が無理がある。それぞれの専門家が互いの専門に特化したものを持ち寄って、より完成度の高いものが作られたとしたら、そのほうが自然だと思われます。ちなみにBABYMETALの振り付けは、Perfumeやリオ五輪閉会式、恋ダンスを担当したMIKIKO氏。


 BABYMETALを最初に見た海外の人の反応が面白く、わけがわからない、AMAZING、日本にしかこんな狂ったものは作れない、Fuckinすげえとか、そういう反応が多い。METALにJ-POP(アイドル)の要素を持ち込んだこと、ダンスを組み合わせたこと、日本の民謡やカラオケ文化のような合いの手を持ち込んだことなどが新鮮に映っているようです。このよくわからない多幸感(UK)や、意味は分からないままに蹴飛ばされて走り続けるような疾走感(Switzerland)を見ていると、なぜ受け入れられたのかなんとなく分かってくる。


 BABYMETALが、海外で最初に大きく認識されたSonisphere Festivalは、Sonisphereの奇跡と呼ばれる。招待をした主催者側でもこれほど受けるとは思っていなかった様で、最初は小さなテントで演奏してもらう予定だったものが、反響が多かったため急遽メインステージに格上げされたのだそう。日本好き、アニメ好きが集まるジャパンフェスティバルのような場所ではなく、演奏が悪いと小便入りのペットボトルが飛んでくるようなガチのメタルフェスティバルの会場で、当時15歳~16歳の日本人の女の子たちが見せたパフォーマンスは、遠い過去の伝説でもなく現在進行形で進んでいるまさに奇跡なのだと思います。そういった意味でも、昔ハードロックやヘビメタなどにはまっていた年代(おっさん)の方が、彼女らの凄さはより理解できる(泣けてくる)のかもしれません。


 なんだか、このままロック史に残る名盤になっちゃいそうな楽しい2枚。昔、ロック少年、ヘビメタ青年であったおっさん世代にもお勧めDEATH。

参考:Wiki BABYMETALの項、Youtube BABYMETAL公式チャンネル、ハワイとプログレとBABYMETAL、BABYMETALまとめ

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