ドラゴンスレイヤー DragonSlayer(ロールプレイングゲームブック)は、1986年に発売されたゲームブック。著者は、日本ファルコムとファルコムの宮本恒之氏。
このゲームブックの題材になっているドラゴンスレイヤーは、当時日本ファルコムに在籍していた木屋善夫氏が、1984年に発表したアクションRPG。これと、この続編のザナドゥで木屋氏は80年代のスタープログラマーの一人となった。オリジナル版のドラゴンスレイヤーは、ハイドライドと並んでアクティブ(リアルタイム)RPGの最初のものとして知られているが、実際には1ターンの時間が短いターン制のRPG。自分を育てるためのアイテムを拾って自宅まで持ち帰り、モンスターを倒して経験値が上がってくると魔法が使えるようになる。三つ首の竜(ビオライン)を倒し、財宝である王冠を持ち帰るとクリアとなる。
ゲームブック版の内容は、4つの話に分かれた4部構成になっていたり、後戻りも可能でマッピングもできる迷路が入っていたりと、かなり本格的。世界観もシリアスになっており、ドラゴンスレイヤーというよりザナドゥのモンスターが登場している。ドラゴンスレイヤーのモンスターだと、足とかピロエースだとか、タモリだとかなので、やりようがなかったのでしょうが。ゲーム自体は、ドラゴンスレイヤーやザナドゥというより、ザ・ブラックオニキスやウィザードリィ風といった感じ。
特定の部屋に入るとNPCがいて、イベントが挿入される。
このゲームブックの一番の特徴と言えるのが、巻末に魔法やアイテム、装備品などのページが用意されており、ページには折れ線が入っている。アイテムや情報を入手したときには、対応するページを折り曲げてしおりのように検索がしやすくなるという仕掛けがしてある。アイデアとしては面白いと思うが、本を折り曲げるのには抵抗があるし、素直に記録用紙に書いた方が良いかなと思う。
このMIAというのはアスキーの出版ブランドで、ゲームブックや攻略本を当時出版していた。このドラゴンスレイヤーは、数が出たのか1,000円以内くらいで入手できるのだが、ストラットフォード・コンピュータセンター(マジカルズー)と東本昌平氏により書かれた魔塔バイアスの謎―ザ・スクリーマーの方は、10,000円超という希少本になっている。これは、ドラゴンスレイヤーと同じくパソコンのゲームが原作でゲームブック内に東本昌平氏の漫画が挿入されるという作りだった。これが当時欲しくて、今も欲しいゲームブックの一つになっている。
手持ちのドラゴンスレイヤーはMSX版。ドラゴンスレイヤーはPC-88など当時の主要機種のほとんどに移植され、エポック社のスーパーカセットビジョン版、ゲームボーイ版、セガサターン版なども後から発売された。
これはなんとスクエア製。日本を代表するゲームメーカーとなったスクエアにも、他社の作品を移植して販売するという下請けみたいなことをしていた時期があったんですね。
オリジナル版のドラゴンスレイヤーには、前代未聞麻薬的爽快遊戯というキャッチコピーが付いている。このゲーム、アクションRPGという単純な定義をすり抜けてしまうほど変わったゲームでもあり、倉庫版のようにブロックを押してパズルをさせられたり、ペンゴのようにブロックを蹴飛ばしてモンスターを倒したりと色々な遊び方ができた。登場するモンスターも足(ピロエース)だの、怪物君のフランケンだの、仕舞いにはタモリまで登場する怪作であった。
続編のザナドゥでは、一変して超が付く本格的なRPGとなった。これは当時40万本を売り上げ、チャートに何年も留まり続けるなどパソコンのRPGの金字塔となった。発売から30年が経過した現在でもこれを越える記録は無いとされている。ドラゴンスレイヤー自体は、ゲームブック化することが不可能な作品なので、モンスターや世界観などはこちらから取ったのでしょう。ちなみにザナドゥのゲームブック自体も発売されており、こちらはプレミアの付く希少本となっている。
ということで、ある種の日本ファルコムファン、木屋善夫氏ファンのためのファングッズのひとつといってよいでしょう。ドラゴンスレイヤー(ロールプレイングゲームブック)でした。
参考:ドラゴンスレイヤー(ロールプレイングゲームブック)・MIA/日本ファルコム、Wiki ドラゴンスレイヤー(ゲーム)、ザナドゥの項、山口 浩の汚い部屋、なんとか庵 サルモン神宮外苑、Rest In Peace