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クトゥルフの呼び声 スタートセット・ホビージャパン/ケイオシアム

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 去る2018年10月11日にゲームデザイナーであり、ケイオシアム社の創業者でもあるグレッグ・スタフォード(Greg Stafford)氏がお亡くなりになった。テーブルトークRPGの歴史に多大な業績を残した著名なゲームデザイナーだった。ということで、氏の残したもののひとつクトゥルフの呼び声 スタートセットを紹介します。クトゥルフの呼び声 スタートセットとは、アメリカの作家ラヴクラフトが創造したクトゥルフ神話を題材としたテーブルトークRPG。


 ラヴクラフトとかクトゥルフ神話とか、よく聞くのだけれども何故かあんまり縁がなかった。ただ、ダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズなんかと並び超有名作であり、ホラーゲームの古典であるのでいつかは手に入れたかった。こちらは、アメリカのケイオシアム社が1981年に発売して日本では1986年にホビージャパン社が販売した、日本で最初に発売されたクトゥルフのTRPG。ちなみにクトゥルフ神話TRPGは、発売元がエンターブレインに変わって現在でも販売されている。


 開封時。クッション財は箱潰れ防止に販売者が入れてくれたもの。親和版ダンジョンズ&ドラゴンズより、一回りくらい大きい感じ。ボックスはかなりしっかりしている。


 箱の中は、このような感じ。一応、完品ということだった。


 TRPGにはお約束の多面体を含むダイス一式。それほど種類は多くない。


 こちらは、基本となるルールブック。日本版の第一版は、本国では1983年に発売された第二版(Second Edition)の翻訳だそう。ちなみ日本版の第二版(改訂版)からは書籍形式となった。現在のエンターブレイン版クトゥルフ神話TRPGも書籍形式なので、ボックス形式なのはこの第一版のみ。


 シナリオブックレット。Wikiによれば7種のシナリオが収録されている。ちなみに表紙に描かれている、このぬめぬめした海洋生物みたいなのがクトゥルフ(Cthulhu)。


 クトゥルフ神話とは、アメリカの作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトと、その信奉者や周囲の作家たちにより作り上げられた架空の神話体系。神秘的というか、秘教的というか、とにかく神格化され断片的に語られることが多いため、いったい何なのだろうと思うが、もともとはパルプ・マガジン(大衆娯楽誌)に掲載されたもの。


 クトゥルフの呼び声自体が1920年代を舞台としているため、1920年代に関する資料集という冊子が付いている。


 こちらは、広げるとかなり大きなものとなる世界地図。しっかり日本やTokyoも入っている。


 ホビージャパンからのアンケート葉書も入っていた。1986年製のものということを考えると、こういうものまで残っているというのは貴重。


 紙製のキャラクター・フィギュア。この時代だとメタルフィギュアが一般的だったと思いますが、クトゥルフ神話の世界には、ゴブリンやオークなどは登場しませんので、ペーパーフィギュアで代用するというのが一般的だったのかも。


 キャラクターシート。最も特徴的なのが正気度という項目があり、これらはSAN値として表される。SAN値とは恐怖に囚われたり、恐ろしいものに出会ってしまった時などに減少し、これが0になると発狂してしまう。これ以外にも探求者の技能という項目があり、超能力や心理学、天文学、薬学などそれらしいものと並んで、自動車運転や写真、経理、値切りなど、他のRPGでは見慣れない項目が並ぶ。それ以外にも基本能力の欄に学校、学位なんてものもある。


 最初、帯が付いておらず、それは残念だなと思っていたのだけれども、中に保管してあった。外に付けられたままだったとしたら、ここまで残っているということはまずないので、これは元のオーナーさんが物持ちの良い方だったのでしょう。4,500円という当時価格が記載されている。


 クトゥルフ神話をどこで知ったかといえば、80年代のパソコン誌上ではダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズなんかと並んで名前がよく出る作品だった。ゲームブックやTRPGの翻訳を手がけていた安田均氏が、このころクトゥルフ神話をモチーフにしたラプラスの魔というホラーゲームを製作しており、それ以外にもdbソフトのプロデュース、映画を基にしたカプコンのスウィートホーム(バイオハザードの原型とも言われる)など、ホラーゲームが大流行だった。安田均氏が翻訳を手がけたゲームブック地獄の館にも恐怖点というSAN値を参考にしたようなパラメータがあり、これがなくなると発狂した。あとがきの解説でもクトゥルフ神話について言及している。また、東京創元社からはクトゥルフ神話を直接題材にした暗黒教団の陰謀—輝くトラペゾヘドロンという作品も出ていた。


 そんな感じで、80年代のパソコン誌やゲームブック関連の本などで散々見かけたため、実際に遊んだことはなかったのだけれど、妙に懐かしい感じがします。クトゥルフ神話TRPGは現在も続いているわけですが、ボックスセットになっているのは、この1986年のホビージャパンの初版版のみで、これが何ともいえないいい味を出している。この不気味な洋館を前にしたボックスアートも、同時代のホラーゲーム、地獄の館、スプラッターハウス、少し後のバイオハザードなど、あるいは小説、映画など様々な作品に有形無形の影響を与え続けているように感じます。

参考:Wiki クトゥルフの呼び声 (TRPG)、グレッグ・スタフォードの項、地獄の館/解説・社会思想社、ひろせ堂めいど商会、建築家・間宮一郎、シミルボン 暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン

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