こちらは、WAVEというメーカーより2015年に発売された、セガのハングオン筐体[ライドオンタイプ]のプラモデル。昔のゲーム筐体は、プラモでも何種類か出ており、貯金箱や完成品フィギュアなど、ここのところ良く発売されています。ネット上では、本物の筐体を集めて自宅のガレージや物置にゲーセンを再現している方々や、海外ではスケールの違う方などおられますが、自分的には全然無理。せめてミニチュアくらいなら・・・ということで。
ハングオンは、1985年に発表されたオートバイレースを題材とした作品。バイクの形をした筐体に跨って操作するという、これまでになかった特徴をもっており、セガの体感ゲームと呼ばれる作品群の最初のものとなりました。作者は、スペースハリアー、アウトランなど、スターゲームデザイナーとして全盛期のセガを支えた鈴木裕氏。
こちらは、その独特なスタイルを持つハングオン筐体をプラモデルとして再現してしまったという一品。ゲーム筐体の中でもセガの体感ゲーム筐体は、ひときわ目立つ特徴を持っており、プラモデル化してもいけるという判断だったのでしょう。食玩としては、過去に何度か商品化されており①、その②、見ていると手元に欲しくなってしまう。
プラモデルとしては、成形色が実物に近い色合いになっており、塗装もある程度は不要、接着剤のいらないスナップフィットになっているなど簡単な部類と言える。ただ数が出るものではないので、値段もそれなりにしますが。
箱を開けたところ。
プラモデルパーツの入った袋が2種類とかなり部品点数も少なめ。
取扱説明書、デカール、ゲーム画面再現用のアクセサリーパーツ。デカールは、昔のプラモにあったような水をつけて貼るやつではなくシール。
もともとの筐体の形自体が、バイクをデフォルメしたもので単純なため、再現度はなかなか。この体感シリーズプラモ、これ以降は続編が発売されていませんが、アウトランやスペースハリアー、アフターバーナー、パワードリフト、ギャラクシーフォース、Sega R-360などやって欲しいところ。渋いところではタイトーのミッドナイトランディング、トップランディング筐体とか。ナムコのポールポジション、ATARIのスターウォーズ、ガントレット、など欲しい筐体はまだまだあります。
プラモは作れないし、そんな時間もないので積どくだけですが、手元にあるだけでも楽しい。
GAME WORKS VOL.1/鈴木裕・アスペクトによれば、ゲームの開発に鈴木祐氏が携わったのは入社2年目とのこと。最初の企画段階でバイク型のキャビネットを動かして遊ぶゲームということが決まっていたようで、バイクの動きを実現するためにトーションバー、ジャイロ、など様々なアイデアが考えられていたそうです。結局コストの問題で、人力で動かすことになったそうですが、それでも本物のエンジンを筐体に入れるとか、タイヤ部分にスピーカーを付けるなど、アイデアは尽きなかった様。またゲーム音楽を単なるBGMではなく丸ごと一曲いれたのも、これが初だったとか。リアルさの追求にこだわった反面、ゲーム性を重視して(当時の)本物のバイクでは不可能だったドリフトを可能にするような調整もしたそうです。このように体感ゲームのリアルさと、ゲームの楽しさを両立させることを目標にして完成されていたのですね
ということで、市場に残っている間に確保しておきたいお勧めな一品。自宅ゲームセンターは無理でも、これくらいのささやかな贅沢ならば許されるのではないでしょうか。
参考:Wiki セガ、ハングオン、鈴木祐の項、GAME WORKS VOL.1/鈴木裕・アスペクト、食玩魂