これは、1981年にトミーより発売されたLSIゲームのCAVE MAN ケイブマン。
大ヒットとなったナムコのパックマンの移植作品LSIゲーム・パックマンに続いてヒットとなった、アーケードからの移植作スクランブル(コナミ)と同時期にひっそりと発売され、その陰に隠れてあまり目だ立たなかった作品。長らくデッドストックの常連だとか、売れ残りを今でも入手しやすいというネタ的な扱いをされることも多かった。近年では、ゲームアイドル杏野はるなさんなどが取り上げてプッシュをしたこともあってか、(極一部で)再評価されているようです。
こちらが本体。初期トミー共通の横型+レンズスクリーン型。スクランブル、TRON、ルパン黄金強奪作戦と同じもの。
得点表。ドラゴン10点、ダイナサウルス(気絶させると)30点、ダイナサウルスの卵10点と、後のインフレ化した得点を思うと、随分牧歌的でほのぼのした感じ。
筐体の色は土色に塗られ、原始時代というゲームのイメージを反映したもの。
ゲームの画面構成。固定画面で、4ステージ制。ゲームの内容は、ケイブマンを操作してダイナサウルスの卵を奪い、洞窟に持ち帰るというもの。画面中央右にデカキャラ・ダイナサウルスが陣取っており、このゲームの一番の売りだったと思われます。キングマン、エイリアンチェイスのUFOと並んでトミー3大デカキャラのひとつ。ただどれも人気なかったり・・・。
ダイナサウルスの首は左右に動いており、隙を見て卵を奪うか、石斧を投げて気絶させます。
気絶している間に足元の卵を奪う。起きている時に不用意に間合いに入ると、火を噴かれてMissになります。卵は取らずに放っておくと、羽化して子ダイナサウルスになってしまいます。キャラの表情が、実にコミカルで豊か。
2面目からは、ドラゴン(プテラノドン?)が襲来。石斧で落とします。これも放っておくと、せっかく貯めた洞窟内の卵を奪っていきます。
3面目からは火山が噴火し、降り注ぐ溶岩を避けながら卵を奪います。今まで背景だった火山が突然動き始め、降り注ぐ溶岩の表現がとっても幻想的。4面目からは1〜3面の総攻撃となります。
こちらが、実際の画面。とても味があります。丁度ゲーム発売時にリンゴ・スターの同名の映画(CAVE MAN/邦題はおかしなおかしな石器人)が公開されて、海外では良く売れたそう。日本だと、世代的にはこれより少し前にアニメもやっていた初め人間ギャートルズだとか、原始家族フリントストーン的なイメージでしょうか。
当時開発された方の書かれたものを読むと、移植ものや権利ものはお金がかかるということで、自社でオリジナルの設定のものを開発しようというのが経緯のようです。電子ゲームとしては、画期的な表現だったスクロールをするスクランブルと比較すると地味に映りますが、ゲームは良く練られていて遊べます。牧歌的な世界観も楽しい。
同時期に発売されたスクランブル。コナミより版権をとったアーケードからの移植作品。
少し遅れてルパン黄金略奪作戦(こちらもオリジナル)とともに発売されたTRON トロン。こちらは、ディズニーのCG実写映画からの版権もの。
原始人とか、恐竜などは、70年代の映画や漫画に良く使われた題材。現在では、ほとんどありませんので、逆に新鮮。ただ当時7,000円〜8,000円する高級な玩具でしたから、アーケードからの移植やG&Wを尻目になかなかこれを選ぼうという子供は少なかっただろうと思います。
当時の思い出としては、スクランブル、TRONは知っていましたが、これは存在すら知りませんでした。周りに持っている友達もいなかったので、やはり売れ残ってデッドストックとなったものが多かったのでしょう。ちなみに現在では、オークションではそれほど見かけるというわけでもなく、意外と値が上がります。レトロゲームが再評価され始めた頃、綺麗なものはマニアのところに行ってしまったのでしょう。デッドストックが眠っているような昔からの玩具店も、無くなってしまいました。
ということで、牧歌的な世界観が素敵なトミーのCAVE MAN ケイブマンでした。
参考:帰ってきた電子ゲーム、TimeComm's blog