これは、1980年代初頭に学研より発売されていたLSI(蛍光表示管)ゲーム・『パックモンスター』
この当時の学研といえば、「○年の科学・学習」を出版していたどちらかというとお堅いイメージの出版社でした。ただ学習教材以外にも、電子ブロックやマイキット、メカモなどの(科学)玩具なども販売していました。80年代初頭のブームの時期には電子ゲームにも参入して、蛍光表示管や液晶を使用したゲーム機を発売していました。当時「○年の科学・学習」には、電子ゲームの折込広告(カタログ)が掲載されており、クリスマスや正月にはどれを買おうかと首を長くして眺めていたものです。この『パックモンスター』は、時期的には『パックリモンスター』(バンダイ)や、『パクパクマン』(エポック社)、『パックマン』(トミー)などと同時期(81〜82年頃?)に販売されていたものだったと思います。他社のものに比べると、学研製の電子ゲームはちょっと真面目(というかお堅い)イメージがありましたね。ただ中期以降からは、平安京エイリアン(電気音響)、フィッター(タイトー)、フロッガー・スーパーコブラ・アミダー(コナミ)、クラッシュローラー(アルファ電子)、ディグダグ(ナムコ)などの、移植ものの傑作を連発するようになります。個人的には、もっとも好きな電子ゲームメーカーだったように思います。ということでナムコのパックマンを移植した学研版“パックマン”が、この『パックモンスター』ということになります。
ということでゲーム内容としては、『パックマン』の電子ゲーム版です。このゲームが発売されてた頃は、パックマンのブームの頃でもあって、各社が『パックマン』風のゲームを発売していました。まだこの頃までは、権利関係もおおらかだったのでしょうね。この学研版の特徴としては、出来が非常に良かったことが上げられると思います。
おいかけモンスター(写真左)と、パックボーイ(写真右)。キャラクターのデザインがとても良い。
学研製電子ゲームの例にもれず、本体デザインも非常に秀逸。
パックモンスターのロゴもかわいい。CとOがパックボーイになっているなど、細かなところに凝ってます。
学研製電子ゲーム共通のGAKKEN LSI GAMEのロゴがしびれる。
裏面、大きなスピーカー穴が開いています。音量はそれほど大きくは無い。
バンビーノ製のものにも通じる、デザイン性の良さ。洒落てます。
迷路もアーケード版と同じ縦型で、(ワープ)トンネルも同じ位置に配置。中央には“モンスターのあじと”(箱の解説にそう書いてある)が配置され、パワーえさも4個再現されています。オリジナル要素として、迷路が8パターン準備されクリア毎に変化するようになっています。ゲーム1とゲーム2の(レベル)切り替えスイッチも用意されており、モンスターの数も難易度に応じて2〜4匹まで増えるようになっています。ゲーム2では、4000点を超えると“パックボーイ”が一匹増えるようになっており、ほぼ完璧にオリジナルのアーケード版(の雰囲気)を再現しているといってよいでしょう。今から考えると、なんということはないのですが、この当時としてはこの再現度(移植度)というのが、非常に大きかった。学研はこれ以前に、『平安京エイリアン』を電子ゲームに移植していましたが、これは蛍光表示管の制約(迷路が狭い、キャラの重ね合わせが難しい)の中で、奇跡的な再現度を誇っていたように思います(無理やり移植でしたが、確かに平安京エイリアンになってた)。
ゲームスタート時。Wikiによれば、蛍光表示管パックマンで唯一パターン化もできるらしい。
モンスターのあじと。ここより出現してくる。やられるとここに戻る。
パワーえさを食べて、モンスターがいじけたところ。後ろ向きになって逃げているという表現なのでしょうか。
追われた後、パワーえさを食べて逆転!
喰われた!(捕まった?)
散財日記でも書きましたが、本体はもっていなかったのですが、当時より(なぜか)箱だけを持っていました。今回本体を手に入れ、実に25年以上ぶりに箱と本体がそろったのですが、当時のノートなどと共に押入れに放り込んだままでしたので、このように破けてボロボロでした。こんなものを何で(ワザワザ)持っていたのか、またなぜ捨てず(捨てられず)に後生大事にしまっていたのか謎のままですが、当時としては(電子ゲームは)それほど特別なものだった、ということができるかもしれませんね。ということで、せっかくなので裏に厚紙をあてがって補強をして、破れてなくなってしまった部分の再生を行いました。
バンダイのFLパックリモンスター。パックモンスターとたった一文字違い。
ナムコより正式に版権を取得したトミーのLSIゲーム・パックマン。
エポック社は液晶のパクパクマンで勝負。これもパターン化できた。
この学研『パックモンスター』は、数ある電子ゲームのなかで特に有名ということもありませんし、特にプレ値が付いているということもありません。というより数ある『パックマン』ゲームのなかでも、どちらかというと地味(マイナー)な方だと思います。ただ個人的には、不思議な縁がありましたので、思い入れが強いゲーム機です。珍しいものではないのですが、あまりネット上でも紹介されていないので、紹介できたことを嬉しいと感じます。
※2008年02月24日の記事を、写真を差し替えして再構成
参考:Wiki パックマンの項