Ultra2000 サンソフト クラシック ゲームズは、2001年にメディアカイトより発売された、ファミコンの全盛期に人気のあったサン電子のファミコンゲームを集めたオムニバス集。クラシック ゲームズ 2は、クラシック ゲームズ 1に続いて発売された第二弾。
クラシック ゲームズ 1では、サン電子のファミコン参入第一弾であるスーパーアラビアン、スーパーマリオ風冒険アドベンチャーのアトランティスの謎、ビキニアーマーの美少女剣士にRPG風の味付けをしたマドーラの翼の3本でしたが、こちらではこの時期には珍しい和風の世界を舞台としたいっき、横スクロールアクションのかんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次東海道五十三次の2本が収録されています。特にいっきは、イラストレーターのみうらじゅん氏によりク○ゲーという言葉が生まれるきっかけとなった作品でもあり、2003年にiアプリ版、2007年にはWiiのバーチャルコンソール版、2010年にはプロジェクトEGGにてWindows版、2013年にはPS3にていっきオンラインが登場するなど、SUNSOFTを代表する歴史的作品と言える一作だと思います。
クラシック ゲームズ 1では、面クリア型アクションのスーパーアラビアン、スーパーマリオ風アクションのアトランティスの謎、アクションRPG風のマドーラの翼とバラエティに跳んだラインナップでしたが、こちらは1985年のいっきの好評を受けて続いて発売された、1986年のかんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次という時代劇路線を収録。翌1987年には、諸国を漫遊して事件を解決するアクションアドベンチャー水戸黄門が発売されています。せっかくならば、こちらも収録して時代劇シリーズ編として欲しかったところ。
未開封品なので、まっさらで綺麗。説明書、メディアカイトのカタログ、葉書なども付いていた。
いっきのオリジナルはアーケードですが、こちらではファミコン版を収録。このUltra2000 サンソフト クラシック ゲームズの発売は2001年(発売元はメディアカイトでWindows版)、同年のPlayStationメモリアル☆シリーズ サンソフト Vol.1にも収録されている。2003年アプリ版、2006年にはいっき萌バイル、2007年にWiiのバーチャルコンソールにファミコン版、2012年にはアーケード版、2010年にはPS3でいっきオンライン、2013年にはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでファミコン版、2014年にはPlayStation 4のアーケードアーカイブスでアーケード版が配信されているなど、いまだに現役と言えるほどの人気振り。ファミコン芸人フジタ氏のネタとしても使われてました。
1プレイヤー側が農民の権べ、2プレイヤー側が田吾を操って、いっきをおこして悪代官の屋敷に向かうといった内容。敵は、黒忍者、赤忍者、触れられると一定時間攻撃できなくなったり、動けなくなるお邪魔キャラとして幽霊、腰元が登場する。竹やりや大根などのパワーアップアイテムも落ちており、マップ内の小判を8枚全て拾うと一面クリア。4面構成で、また最初からとなる。
個人的には、アーケード版のいっきの方が馴染み深い。アーケード版では、コミカルなオープニングや面の合間に権べたちのせりふが入り、物語を説明してくれる。マップの横にはラリーXやボスニアンのようなレーダーが付いており、画面外の小判の位置もわかるようになっていた。マップも8面構成で、後半の面では迷路のように入り組んでおり、レーダーを見ながら作戦を考えて行動する必要があるなど、そのゲーム性も異なっている。今でも人気があることからわかるように、この一種独特な世界観やゆるい雰囲気は狙って作られており、ク○ゲーというよりは馬鹿ゲーといった方が近いようにも感じる。
テグザーのように自動で標的に向かって標準を合わせてくれる、なにげに高性能な武器(鎌)を装備している権べ。
かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次の方は、いっきの翌1986年の発売。こちらは、ファミコン版のみ(iアプリやバーチャルコンソールでは配信)といっきに比べるとマイナーな作品だと思います。京都での修行を終えた花火職人のカン太郎が、カンシャク玉を武器にしながら、愛しのももこが待つ江戸へと戻るという内容。こちらは、忍者、素浪人、仕事人、鷹匠、僧侶などが敵として登場します。この頃人気を博したがんばれゴエモン(86年)っぽい雰囲気ですが、武器がカンシャク玉ということで放物線を描いて飛ぶため落下位置の見極めが肝心だったり、地面において爆発させる使い方もできます。またタイトル通り実在した旧東海道の五十三の宿場をモチーフにしており、それを再現しているという要素もあります。
世にも珍しい花火職人という職業の主役キャラカン太郎。敵キャラも忍者や侍に混じって仕事人が登場するなど、弥次喜多道中記とか、ああいったコミカルな道中記のイメージ(パロディ)で作られていると思います。スーパーマリオの大ヒットにより、横スクロールのマリオ風アクションが量産されたこの時期としては、十分に個性的で魅力がある。
東洋や日本を舞台とした作品としては侍とか忍者などはありましたが、農民、花火職人といったところにスポットを当てた点はこの時代としては新しかった。ギャグテイストというか、今でいうゆるキャラみたいなノリも斬新だったと思います。スーパーマリオが40キロバイト、ドラゴンクエストが64キロバイトと、この頃まではまだカセットの容量に制限があって、アーケード版の要素をかなり削除しての移植となった。それもあってク○ゲーの代名詞としても知られていますが、みうら氏がク○ゲーといったのは、たった2人で一揆をするという世界観の馬鹿馬鹿しさを指してのことであり、ゲームバランスが悪くて遊べない意味でのク○ゲーではなく、お馬鹿テイスト、ゆるい世界観と雰囲気を持った愛すべき作品という意味合いの方が強いかなと思います。
参考:Wiki サン電子、いっき、かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次、弥次喜多道中記の項、いっきオンライン公式HP、芸夢亭