こちらは、2011年にバンダイより発売されたヒーローバンク。1970年頃にデパートの屋上や遊園地、商店街の店頭などに置かれていた、コインを入れると数分間動く乗り物遊具を貯金箱化したもの。
このヒーローバンクは、自宅やオフィスの机の上に置いて、コインを入れるとゆらゆら動く卓上のインテリアや実用性のある貯金箱としての使い方を想定していたらしい。対象年齢は、30代から40代の男性。アニバーサリーイヤー(2011年の発売当時)として、45周年のウルトラマン、40周年の仮面ライダー、35作品目となる戦隊ものの秘密戦隊ゴレンジャーの3種が発売された。発売当時の価格は、税込み3,150円だった。
こちらは、ヒーローバンクの仮面ライダー1号。残念ながら、ウルトラマンは未所有。やはりウルトラマンは、このような遊具を懐かしいと感じる世代に根強い人気があるのか、ものがあってもプレミア的な価格が付けられている。仮面ライダーとゴレンジャーは、アマゾンやオークションで1,000~3,000円程度で売られています。
ギミックは単純で、コインを入れると本体から伸びた軸に取り付けられた人形が、数十秒間ゆらゆらと前後に動くというもの。1円と500円玉は使えず、10円でも最大20枚までと、貯金箱としての機能はあくまでもおまけといった感じ。
デパートの屋上や遊戯施設で、10円入れるとゆらゆらと動いたあの感覚を味わってもらおうという、レトロ感覚な雑貨というほうが近いでしょうか。このようなレトロな貯金箱は、コナミが2007年にピカデリーサーカス筐体を貯金箱にし、2009年にはタカラトミーがスペースインベーダー筐体を貯金箱にして、バンダイ自身も2010年に10円をはじく新幹線ゲームを貯金箱化した駄菓子屋ゲーム貯金箱を発売していた。そのような一連の懐かしいゲーム筐体型貯金箱のひとつとして考えてよいでしょう。
パッケージを開けたところ。透明なプラケースに梱包されている。ちなみに説明書や解説書の類はなし。まあ箱裏の説明だけで、十分に間に合うほど単純な玩具と言えそう。
造形は、流石バンダイということで、実際の仮面ライダーではなく、あくまでも遊具の仮面ライダーを再現している。ちなみにこの遊具は電動ライド、ムーバーと言うそうで、ウルトラマンや仮面ライダーなどヒーローブームの起こった、70年代を中心に製造され、大量に出回ったらしい。遊園地やデパートの遊戯施設だけではなく、玩具店や文具店、薬局、電気屋など一般商店の店頭にまで置かれるほどだったらしい。やはり一番人気はウルトラマンのようで、とにかく子供が多かった時代ですね。
ちなみに本物は足を広げたポーズをとっているので、完全再現を狙ったというわけでもないみたい。仮面ライダーは1号、2号とあるし放送時期も長かったのでバージョン違いがあるかもしれませんが、雰囲気はよく出ていると思う。
このような遊具は、放送が終わりブームが去ってからも長らく遊戯施設の片隅に置かれていたので、なんかどっかで見た事あるなあという印象。そういった意味では、直撃世代ではなくとも、懐かしさを感じるかもしれません。
こちらは、現在までシリーズが続き、アメリカに輸出されてパワーレンジャーというシリーズまで生んでしまったスーパー戦隊シリーズの元祖ゴレンジャー。現在2016年時点では、なんと40戦隊を数える。スーパー戦隊シリーズは東映のオリジナル作品ですが、第1作目の秘密戦隊ゴレンジャーと2作目のジャッカー電撃隊は石ノ森章太郎氏の手によるもの。その後、マーベル・コミック社と東映の業務提携によりスパイダーマン、バトルフィーバーJが製作され、戦隊+巨大ロボという基本のフォーマットが完成した。
ゴレンジャーのリーダー、アカレンジャーを再現。戦隊もののリーダーはレッドというお約束を生み出した。
ゴレンジャーのムーバー、電動ライドの画像は見つけられなかったので、実際に作られたかどうか、正確に再現してあるのかどうかはわからない。ムーバーを紹介しているページは限られているし、当時ものの写真や実物が残っているというのもかなり微妙でしょう。ゴレンジャーの当時の人気から考えて、おそらく実際にあったとは思いますが。
ムーバーが作られたブームが71年~74年くらいということですから、75年~77年放送のゴレンジャーは、ブーム期には少し遅れています。ブーム期の以降もガンダムやドラえもん、、セーラームーンなど時代に合わせてこのムーバーは作り続けられています。バンダイナムコゲームスとして、後にバンダイと一緒になったナムコも作っていたんですね。それは置いておいてもヒーローバンク版ゴレンジャーは、かなり出来がいいと思います。
個人的には、ムーバーに乗った記憶というのはほとんどありません。うちの親は、20円~100円入れて数分間動くだけという乗り物に、お金を出すことはなかった。デパートの遊技場や遊園地の遊戯コーナーに行くのも、お目当てはビデオゲームだったので、このような遊具は片隅に置いてある古い機械でしかなかった。そうであっても、どこの遊園地にもデパートの遊技場にも必ず置いてありましたし、そういった施設には欠かせない風景のひとつではあったので、やはりどこかノスタルジックな気分は感じます。このような遊具に乗れる幼児の頃に乗れなかったので、よけいにそう感じるのかも。もっとも,
公園にある動物の形をした動かない遊具にまたがって泣いている写真(怖かったらしい)が残っているので、乗る気もなかったのかもしれませんが。
参考:Wikiスーパー戦隊シリーズ、ゴレンジャー、石ノ森章太郎氏の項、バンダイ ヒーローバンク公式HP、光跡 巨大ヒーロー自販機の跡、kimcafe Kiddie Rides、ミドルエッジ あの頃ナウ、ノスタル爺の懐かし玉手箱、中川翔子公式ブログ、帰ってきた坂井百貨店座間支店