これは、80年代のレトロパソコンの周辺を描いたレジェンドパソコンゲーム80年代記。2014年に総合科学出版より発売されたフリーライター佐々木潤氏の手による書籍。同じ著者による80年代マイコン大百科に続いて出版された第二弾になります。
前作80年代マイコン大百科では、筆者のコレクションである当時の雑誌やカタログなどの写真をふんだんに使い、この頃のトピックスを広く浅く紹介するという体裁の本だった。このような書籍は、最近少しずつ増えてきたが、これまでは皆無に近いという状況だったので、そういった意味でも貴重だった。
本作では、80年代を前期、中期、後期と3つに分けて、パソコンのハード、雑誌、ゲームやソフトハウスなどのエッセイをまとめてある。カタログ本という性格が強かった前作と比べて、エッセイや読み物としての割合が大きくなっている。アマゾンでの評価がいまひとつなので、購入に二の足を踏んでいたが、読み物としては前作より一歩踏み込んでいて面白く良く出来た一冊だった。この頃のパソコンは、ネットもない時代だし実用性も皆無でほぼホビー用といった感じで一般的でもなかったが、ログイン(アスキー)誌を初めとして、マイコンBASICマガジン(電波新聞社)、I/O(工学社)、ポプコム(小学館)、コンプティーク(角川書店)、テクノポリス(徳間書店)、Beep(ソフトバンク)などの総合誌や、Oh!PC、Oh!FM、Oh!MZなど機種ごとにも専門誌が発売されているなど、今以上に活気があった。そんな時代を垣間見せてくれる。
惜しむべきことに、アマゾンでの評価がいまひとつなことの理由でもあると思うが、全ページモノクロで版も小さくカラー写真がないため、懐かしさはいまひとつ伝わりにくい。黄色い表紙も目立つことは目立つが、内容が伝わりにくく他の2冊とも区別がつき難いので、そういった意味でも不利でしょうか。
それでも、この時期の広告写真を使ってのエッセイは貴重であるし、この手の本は未だに少ないため資料としての価値も持っていると思う。アマゾンでの評価を見て、二の足を踏んでいる人がいるとしたら、モノクロという点を除けばわりと良い出来なのでお勧めしたい。
こちらは、同じく総合科学出版より2016年2月に発売された激レア! お宝発掘!! 80年代マイコン読本。80年代のマイコンと呼ばれていた頃のパソコンゲームについてより深く掘り下げたもの。著者は佐々木潤氏。80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記に続いての第三弾になります。80年代当時のパソコン雑誌の広告や記事、カタログなど豊富な資料から時代を振り返る。
80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記では、パソコンハードから著名な作品、スターゲームデザイナー、有名なソフトハウスまで幅広く掲載されていましたが、第三弾となる本作ではパソコン誌の広告の片隅に載っていたようなマイナーなソフトハウス、ゲーム作品にスポットを当てている。
そのため前2作と比べてもかなりマニアック。聞いたこともないソフトハウスやらエニックス、光栄、ハドソンといったメジャーな会社の出していた、マイナーソフトまで掲載されている。
パソコンハードのカタログも掲載されているが、こちらも時代に埋もれてしまったマイナーハードから。VIC-1001は、米コモドール社が発売したハードで、これの廉価版がMAX MACHINE。
マイコンベーシックマガジンやI/Oなどのモノクロページには、マイナーな会社の広告やパソコンショップの広告が山のように掲載されていて、メインの記事を読んだ後、そのようなモノクロページをチェックするのも楽しみだった。なんだか、そんな密かな楽しみを思い起こさせてくれるような一冊。扱っているネタがマイナーなので、80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記はすでに持っていて、更にもう一歩踏み込みたいという人向けだと思います。Amazonアウトレットで新古本が安く売られているので、気になった人にはお勧めしたいと思います。
参考:レジェンドパソコンゲーム80年代記、激レア! お宝発掘!! 80年代マイコン読本/総合科学出版