蘇るPC-9801伝説 永久保存版は、2004年に月刊アスキー別冊として発売された80年代~90年代に国民機として一世を風靡したNECの16ビットPC、PC-9801シリーズを扱った書籍。好評だったのか2007年に蘇るPC-9801伝説2も発売されています。元々は、アスキーが80年代から90年代にかけて発行していたMSXマガジンの復活ということで、2002年~2005年にMSXマガジン 永久保存版を発行しており、これはエミュレータと当時のゲームを収録したCD-ROMを付録に付けたムック本として企画されていました。この本が好評だったのか、蘇るPC-8801伝説 永久保存版、みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001と矢継ぎ早に、このようなムック本が出版された。
このような当時もののゲーム+エミュレータを付けた書籍は、他社にも飛び火して、コンプティークを発売している角川書店よりPC8801mkII SRゲーム リバイバルコレクション PC‐9801ゲームリバイバルコレクションなども発売されていました。懐かしい記事が読めるということと、当時1本5,000円~8,000円ほどしていたゲームが、複数付いているということなどから受けたのだと思います。
ホビー用途より主にビジネス用途が主だったPC‐9801本ということで、内容も技術書寄り、ビジネス書寄りのものになっている。ただゲームも26本収録していて、クリスタルソフトの夢幻の心臓Ⅲ、ゲームアーツのシルフィード、日本初のテキストAVGとして名高いアスキーの表参道アドベンチャー、南青山アドベンチャーなどが収録されていることが売りになっている。ちなみにこれはオークションで落としたのだが、収録されているCD-ROMは未開封の状態だった。
巻末には袋とじで月刊アスキー82年度版の復刻、パロディ版の季刊アスキー2004年度版が収められている。ビジネスマンや技術者としてPC-98を使用していた人には、懐かしく読めるものだと思います。
個人的には、友達がPC-8801を持っていて、それで遊ばせてもらっていた。そのうちフライトシミュレータを遊びたいからとその友達がPC-9801に乗り換えたので、PC-9801にも少しだけ触れることができた。仕事でPCを使うようになったのはウィンドウズが普及してからなので、国民機として一世を風靡していたにも関わらずビジネス機であるPC-9801にはあまり縁がなかった。80年代頃ではホビー機として最強だったPC-8801と比べると、まだまだビジネス色が強くて、それほど思い入れが強い機種ではありませんでした。
そういった事情もあるためか、値が上がりがちな絶版もののレトロゲーム本としては入手しやすい。アマゾンでもオークションでも3,000円~4,000円ほどでまだ手に入る。当時の価格が2,800円なので、この手のエミュレータ本だとどれもプレミア価格になっている中では、プレミアもついておらず比較的入手しやすい方だと思います。この手のエミュレータ本は、元々の定価が高かったですが、さすがに元値の2倍以上というのは抵抗がある。
続いてこちらは、蘇るPC-9801伝説 永久保存版の第2弾。蘇るPC-9801伝説が好評だったのか、2004年の第一弾に続いて2007年にアスキーより発売された。この手の書籍は、安くても大体3,000円~くらいしますが、これを買ったときには2,000円前半のものが3冊ほど出ていて、どうしようかと迷っていると直ぐなくなるため、とりあえ入手しておくことにした。
80年代から90年代初めにかけて、国民機として事実上日本のスタンダードPCだったNECのPC-9801シリーズを取り上げたムック本。当時もののゲームがエミュレータとともにCD-ROMに収録されて付いている、この頃に流行ったレトロパソコンのエミュレータ本。当時、7~8,000円程度はした市販のゲームソフトが7本収録されている。後は、PC-9801にまつわる技術的な話やビジネスの話、インタビュー記事などが収められている。
収録されているゲームは、ウィザードリィの6作目であるWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-、一世を風靡した戦略シミュレーション大戦略IV、推理物のAVG琥珀色の遺言、伝説的プログラマー、マーク・フリント氏のZONE、ハイウェイスターなど。収録されている数は少なめですが、割と重量級の作品が収められている。
ビジネス機であるPC-9801のもう一方の側面、アダルトソフトなども蘇るPC-9801桃色伝説として袋とじになっている。ラッキーなことに、廉価なものであったにもかかわらず、袋とじ、CD-ROMとも未開封だった。前作では、技術寄り、ビジネス寄りな内容でしたが、結構ゲームやホビーよりのネタが多くて、紙面の4割ほどは収録ソフトの紹介や攻略記事となっている。PC-98に関係する人物のインタビューも安田 均氏、黒田 幸弘氏、古谷 徹氏など、渋いところを付いている。個人的には、PC誌コンプティークでクロちゃんのRPG千夜一夜を連載していた黒田 幸弘氏のインタービューを持ってきたところが、ツボだった。
基本的にPC-9801はビジネス機であり、ホビー用途にはPC-8801あるいはシャープのX68000、富士通のFM TOWNSなどが使われることが多かったので、個人的にはあまり PC-9801には、思い入れや思い出が無い。80年代後半から90年代にかけて、パソコンからも離れていたので、80年代の8ビットPCから仕事で必要に迫られて使ったウインドウズにまで一気に飛んでしまっている。特に技術的な記事には、まったく付いていけなかった。
この本が出ていた当時、電気店の書籍コーナーで見かけて買おうか、どうしようかと迷った思い出がある。その理由は、やはりWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-のPC-9801版が収録されていること。これは、スーパーファミコンにもウィザードリィVI 禁断の魔筆として移植されており、セガサターンでもウィザードリィ Wizardry 6&7コンプリートとして出ているのだが、オリジナルのIBM PC版からは、かなりアレンジが施されており、オリジナルに忠実なPC-9801版が欲しかった。スーパーファミコン版だと流麗な末弥 純氏のデザインが施されているのだが、オリジナルではどう考えても日本人受けしそうにない、海外製のゲームブックの挿絵のようなキャラデザインだった。しかし、今見るとこちらも捨てがたい味がある。
これでアスキーより出ていたエミュレータレトロPC本は、PC-8001、PC-6001本を残すのみとなった。今だと、ダウンロード販売がメインになっていますので、このような書籍が発売されることもありませんが、この手の本は書店やパソコンショップの店頭で見かけた時に、凄くときめくんですよね。アスキーとカドカワも一緒になったことだし、またこのような企画をやって欲しいと思います。ちなみに、誌面ではPC-98伝説 第三弾の予告がされており、収録ゲームの希望などが募集されています。結局、それが実現することはありませんでした。
参考:蘇るPC-9801伝説 永久保存版&蘇るPC-9801伝説 永久保存版第2弾・アスキー書籍編集部