Quantcast
Channel: 80年代Cafe
Viewing all articles
Browse latest Browse all 298

ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生・NTT出版

$
0
0

 ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生は、2013年のファミコン生誕30周年の節目にNTT出版より発売されたファミコン本。この本の一番の売りは、シャープから任天堂に移ってハードの設計を担当された上村雅之氏が直接書かれた一冊であること。京都の立命館大学がコンピューターゲームの情報収集、データベース化を目的としたゲームアーカイブプロジェクトというものを行っており、その一環として書かれたもの。執筆者も立命館大学の先生たち。


 いわゆる攻略本や懐古本としてのファミコン本などとは異なり、ファミコンが生まれてきた時代背景、時代に与えた影響などを記した、学術書みたいな作りになっている。コンピュータやコンピュータゲーム史が学問の対象となる時代がやってきているんですね。現代史の一部として、あるいは考現学、民俗学、社会学的な視点からも色々と考察ができそう。


 そういうつくりの本のため、ファミコンソフトなどの紹介は基本的になし。2部構成になっており、第1部はテレビゲームの誕生と題して、ファミコンが生まれてきた時代背景を世界初の家庭用テレビゲーム・オデッセイやATARI社のPONGの時代から、アタリショックを経て、日本での電子ゲームやゲームウォッチのブームまでを紹介しつつ紐解いていく。第2部に入って、ようやくファミコンの開発史となる。


 欄外には参考文献も明記されていて、まったく専門書みたいな作り。大学でもテキストとして、使われているんじゃないでしょうか。こういう教科書なら、眠くならないでしょうし、講義も楽しいでしょうね。そのような夢のような講義を受けてみたかった。


 写真は、巻頭に少しとモノクロの小さなものがあるだけで、ほとんど文字だけで構成されている。


 図表や参考文献など、このような感じのお堅い本。このようなゲーム史を扱った書籍としては、2005年に発売された“それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち”が有名。この本は長らくプレミア価格で売られていたのだけれど、2015年に再販されたようで、現在では普通に定価で買うことが出来る。もっと古い本としては、1988年のテレビゲーム―電視遊戯大全が有名。こちらは、再販される見込みが薄いため、とんでもないプレミア価格が付いている。1994年には電視遊戯時代―テレビゲームの現在として、続編も書かれている。


 この本も専門書の一種なので定価2,808円と決して安い書籍ではないのですが、帯付きのほぼ新品が1,200円程度で出ていたので買ってみた。とにかく、ファミコンの開発をされた当事者が書かれていますので、資料としても一級品でその価値は高い。NHKの電子立国、新電子立国とかが好きだった方にもお勧め。幼少期や少年期にファミコンの時代を経験して、ファミコン好きを自認する方ならば、とりあえずもっておきたい必須の一冊だと言えると思います。

参考:ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生・NTT出版、aucfan.com/テレビゲームを大学がマジで研究!立命館大学の「ゲームアーカイブ・プロジェクト」がすごい

Viewing all articles
Browse latest Browse all 298

Trending Articles