紅の豚はスタジオジブリ製作のアニメーション映画。監督は宮崎駿監督で1992年に発表された。ルパン三世 カリオストロの城、風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロ、魔女の宅急便に続いて公開された。
元々は、月刊誌モデルグラフィックスに連載されていた宮崎駿の雑想ノートの中の飛行艇時代が原作。子供向けにアニメーションを作ることを自分に課してきた宮崎監督が、自分のために作った趣味的な作品として知られている。
物語は、1929年頃のイタリアが舞台。かってはイタリア軍のエースとして知られ、今では魔法により豚の姿となってしまったポルコは、空賊を退治する賞金稼ぎとして生計を立てていた。そこで、空賊たちは用心棒としてアメリカ人のカーチスを雇い入れる。愛艇のエンジン整備のためミラノに向かって飛んでいたポルコは、カーチスと遭遇し撃墜されてしまうが・・・。主役となるのは、それまで輝かんばかりの少年少女を主役としてきた宮崎映画としてはちょっと異質な中年男。しかも醜い豚の姿となっている。ヒロインも大人の色気を帯びた未亡人。まるで映画カサブランカのような世界観で物語が展開する。
もうひとつの主役ともいえる水上機は、イタリア、アメリカ、ドイツなどの実在のものや監督オリジナルのものが混在して登場している。ルパン三世 カリオストロの城でルパンが乗ったフィアット500(イタリア)、クラリスが乗った2CV(フランス)は、それぞれ作画監督の大塚氏と宮崎監督の当時の愛車であったことは有名だが、アナログなレシプロ機に乗ってドックファイトを繰り返す様は、それらのヨーロッパ製の旧式の小型車を操縦して野を駆け回る監督の姿(趣味が)が反映されているようにも思える。
当時見たときには、ナウシカやラピュタと比べてストーリー的、盛り上がり的にちょっと物足りないかなという印象でした。少なくとも、ジブリ映画として一番好きな作品ではなかった。宮崎監督は飛行機好きなことで有名で、この映画に出てくるような飛行艇も欲しいとインタビューで答えている。但し、それはこの映画に出てくるような秘密の隠れ家とセットでなければならないとのこと。モデルグラフィックス誌上で、同じ趣味を持った同好の士に向けて好きなことをやっていく中で生まれた作品なので、そういう秘密の隠れ家でこっそりと好きなことをして過ごすとことが、監督のやりたいことで、自分の趣味の映画になってしまったと言われる所以なのかも。舞台となった地中海の秘密の隠れ家は、実在する場所がモデルのまさに地上の楽園、天国みたいな場所で、このような秘密の場所で人生の休暇のような時間を過ごすのは、確かに夢の映画なのだと理解できる。年をとってくると良さが分かる作品なのかもしれません。
ということで、人生の余暇ともいえる時間にリゾートを自由に駆け回ったり、自分の秘密基地にこっそりとこもる趣味人の中年男の話。休みの日や休みの前日に見るのにふさわしい映画といえるのかも知れません。
参考:Wiki 紅の豚、ルパン三世 カリオストロの城の項