こちらは2017年1月に出版された負け組ハード列伝 ホビーパソコン編と家庭用ゲーム機編。著者は近年レトロゲーム関連の本を出版しまくっている、元コナミの前田尋之氏。氏は、これまでレトロハードの歴史について扱ったホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史、家庭用ゲーム機興亡史を出版されていますが、それを補完するようなマイナーハードに特化した内容になっている。今、任天堂ファミコンミニやスーパーファミコンミニの影響からか、レトロゲーム本の出版ブームでラッシュと言えるほど出ていますが、こちらは中でも個人的に優先度の高かった一冊。
一般の人にもより親しみやすいと思われるのが、負け組ハード列伝の家庭用ゲーム機編。18機種の負け組み(と言われるマイナーハード)が紹介されている。
レトロゲーム本にしては珍しく、らしくないイラストが表紙となっている。団地内の部屋を想像させるところがどこかノスタルジーをくすぐる。団地に住んだことはありませんが、どうしてなんでしょう。
紹介されているゲームは、インテレビジョン、アルカディア、アタリ2800、アタリリンクス、高速船、3DO、バーチャルボーイ、プレイディア、ピピン@アットマークなどと有名どころ。ある程度ゲームに親しんできた人ならば、大体知っているのではというラインナップが紹介されている。そのため、超マニアックというわけでもない。個人的にも18台中、10台を所有していたりする。ある意味、今では負け組どころかお宝ハードばかり。
こちらは、よりマニアックな負け組ハード列伝 ホビーパソコン編。ナイコンさんとか言われて、家庭にパソコンが入ってくる日を待ち焦がれていた人でないとわからないハードが並ぶ。
この表紙に、ゲーム機やパソコンのハードという内容に関連性の薄いイラストを使用したことについては賛否あるようですが、個人的には綺麗な絵柄で良いと思います。
ナショナルのJR-100・200、富士通のFM-8、東芝のパソピア、日立のS1、ソニーのSMC-777、ソードのM5、トミーのぴゅう太など負けハードだけれども有名どころが並ぶ。変わったところではファミリーベーシックがホビーパソコンの負けハードとして取り上げられている。負けハード=知名度が低い、マイナーというわけでもない模様。最後には、IBM PCにメガドライブが入ったテラドライブで終わっている。この本にはないけれど、シャープX1にPCエンジンがはいったX1 Twinとか、最後にはホビーパソコン自体がゲーム機に負けて飲み込まれてしまった。これらのハードも欲しい人には欲しくてたまらないお宝ばかり。
このような負け組みなどという刺激的なタイトルが付いた場合、面白おかしく揶揄して終わりという安易な企画ものも多い。これはさすが前田氏の著作だけあってそうはなっていない。負け組みハードとは言っても、当時は話題となったり、熱烈に恋焦がれたりして輝きを放っていた。あらためてスポットを当てることにより、その頃の輝きをもう一度再現しようとしているようにも感じる。表紙の団地の窓から見える青い空に何か強烈なノスタルジーを感じるのは、それを表しているのかもしれません。ということで、この本のタイトル、この表紙に何かを感じる人にお勧め。
参考:負け組ハード列伝 ホビーパソコン編/家庭用ゲーム機編・前田尋之/オークラ出版