みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001は、2005年にアスキー書籍編集部より発売されていたムック本。80年代のNEC製の8ビットパソコン PC-8001・PC-6001に焦点を当てて、当時のゲームを収録したレトロパソコンのエミュレータ本。15年くらい前にMSXマガジンの復活という形をとってこのような書籍が少しだけ話題となり、アスキーよりMSX本が3冊、PC-98本が2冊、PC-88本が1冊発売された。これで、当時のアスキーレトロコンピュータエミュレータ本はすべて揃った。
当時思い入れがあるパソコンはPC-88、FM-7、X1の新御三家の頃なので、PC-8001とPC-6001には触れたことがなく、それほど思い入れはなかった。そのため定価が3,000円ほどと高価だったこともあり、当時迷って買わずにスルーしてしまっていた。後から探したのだけれど、プレ値が付いていてなかなか手が届かなかった。ここ最近になりようやく手に入れることができた。
PC-8001は1979年とMZ-80Cと同世代のパソコン。PC-8001の頃はパソコンゲーム市場も未発達で、どちらかというとビジネス機という売られ方だった。友達の持っていたPC-8801mkIISRにはV1モードという互換モードがあり、そこで幾つかのPC-8001のゲームを遊ぶことができた。PC-6001は88シリーズより安めの10万円を切るような価格帯で発売されたホビーパソコンの元祖みたいな機種であり、これは欲しかったけれど当時触れる機会はありませんでした。
PC-8001やPC-6001の当時の開発者のインタビュー記事が収録されている。コンピュータに個性があり、夢があった時代。今は、道具として必要不可欠だとは思うけれど、こんな楽しさはないかな。
こんにちはマイコンでPC-6001を取り上げた、キーマンのひとりすがやみつる先生にもインタビューがなされている。あらしの新作も収録されている。
チュンソフトの中村光一氏、芸夢狂人氏、Bug太郎氏、五代響氏など、当時の有名プログラマーのインタビュー記事も収録。これらは、今となってはそうとう貴重な記事だと思う。アマチュアとプロとの垣根がまだ曖昧だった、ゲームにとってもプレイヤーにとっても幸福な時期。
PC-8001やPC-6001のゲームが31本も収録されている。残念ながら1本を除いてすべて知らない。
PC-6601添付用ソフトウェアとして、日本電気ホームエレクトロニクスが制作したコロニーオデッセイ。チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲームでも紹介されていた。個人的に知っているのは本作のみ。これがこの本の一番の売りのようで、大研究と称して攻略記事が掲載されている。
チャレアベみながら、遊んでみてえと思ったものです。
この頃だと、そもそもアドベンチャーゲームというもの自体が未知の領域。高価なパソコンを所有していなければ遊ぶことができなかった。後にファミコンにもアドベンチャーゲームが移植されて広く一般的に遊べるようになった。
ゲームの収録されたCD-ROM。単に古いパソコンの紹介記事ならば、ああ懐かしいねで終わってしまうところを、この本では当時のゲームを付ける事により追体験できるようになっている。この1点において、このアスキーのシリーズは他の解説本を寄せ付けない。当時1本5,000円~8,000円ほどしたゲームが何十本も収録されているというお買い得感も大きい。今ではダウンロード販売が主流だけれども、このようなレトロゲーム本をまた企画して欲しい。
他にもおまけとして袋とじになった月刊アスキー・パロディ版のAhSKI 1984年版、2005年度版や、PC-8001やPC-6001のペーパクラフトなどが付いている。
ということで、PC-8001やPC-6001自体に思い入れがないため後回しになり、買いそびれてしまっていたムック本だったのですが、記事としては一番充実しており、インタビューなど読み物として面白いと感じる。このアスキーの書籍+当時のゲームCD-ROMのシリーズ内では最も良く当時の空気感を伝えてくれる。PC-8001やPC-6001自体に思い入れがない方でもベーマガなどを読んでいた方であったなら楽しめる一冊だと思います。
参考:みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001/PC-6001・アスキー書籍編集部