PasocomMini MZ-80Cは、2017年年の10月に株式会社HAL研究所より発売された小型のパソコン。シャープ株式会社の協力のもと、1979年に発売されたシャープの8ビットパソコン、MZ-80Cを現代の技術で再現したもの。限定生産ではないが予約制を取っていて、2017年の5月くらいから予約が始まり1次予約、2次予約ときて、ようやく10月に発売された。販売もBeep秋葉原さんのみとえらいマニアックな販売方法で販売された。
私が一番思い入れがあるのは、PC-8801mkIISR以降、FM-7やX1が御三家となった時代で、MZ-80Cの時代はちょっと古すぎてよく知らなかった。そういう関係でスルーしようかとも思っていたのですが、予約販売が終わった後にキャンセル分の販売が行われていることを知った。当時268,000円もしたコンピュータが、今になって新品で買えるというロマンに負け、迷いに迷って購入に踏み切った。
箱より出したところ。梱包は今のフィギュア風でロマンはない。発泡スチロールとは言わないが、紙製の内箱をつけて欲しかった。Raspberry PiA+を使用しているので、ラズパイの説明書付き。ちなみに箱のデザインは、当時のシャープ純正の外箱のデザインを再現しているそう。
外観を造形したのは、あの青島文化教材社。そのため再限度は相当にクオリティが高い。
大きさ的には、手のひらに乗るサイズ。ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ、ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンと同じような大きさ。モニタ部分には画面を再現するためのシートが付属しているが、付けないとRaspberry PiA+の基盤がそのまま見える。
カセットのミニチュアやシールも付属している。その他、取り扱い説明書、ソフト供給用のmicroSD、本体横と後部の蓋などが付いている。
外から見えている部分、モニター、キーボード、カセットなどはすべてダミー。ネット上では、結局Raspberry PiA+用のケースではという評価も見受けられる。
もうひとつ残念な点としては、MZ-80Emulatorは内蔵しているのだが、権利の関係でMZ-80で使われていたBASICが付属していない。そのため、ベーマガに収録されていたような当時のBASICのプログラムを打ち込んで、遊ぶという使い方ができない。その代わり最新のベーシックであるSmileBASICが搭載されており、プログラムを組むことはできる。また当時のMZ-80用プログラムでもマシン語ならば動く。もうひとつの目玉として当時のゲームが5本収録されている。
Raspberry PiA+はAmazonでも4,000円ほどなので、Raspberry PiAを買って無料で配布されているEmulatorを入れれば済むという話もあったりはする。けれどRaspberry Pi本体、アオシマ製の筐体、MZ-80Emulator、SmileBASIC、microSD、5本のゲームを付属して、すべての権利関係をクリアしていることを考えれば、手間に比してもうけはないのではという気もする。利益というより製作者が作りたいから作ったというロマンための製品だと思える。これの売れ行きしだいでPC-8001、FM-7のシリーズ化もあるらしい。
個人的には、すべて権利関係をクリアにした株式会社HAL研究所の製品というところに価値を感じた。HAL研究所と言えば、多くの方には星のカービィや元任天堂社長の故岩田聡氏だろうが、個人的にはジョイボール(MSX用の青いバージョン)とぶた丸パンツ。それにMSXで発売されていたエッガーランドミステリーとホールインワン。
10年くらい前にMSXの機能をFPGAという特殊なチップを使って再現した1chipMSXというものが、これも予約制で発売されていました。価格も同じ2万円くらいだったのですが、MSX実機を持っていることもあり当時スルーしてしまった。今や1chipMSXは5万以上して入手不可能になったので、とりあえず押さえておきたいという事情もありました。
この時期にはこのようなミニ復刻版が流行り始めており、中でも象徴的なのが2016年11月に発売されたニンテンドークラッシックミニ。ながらく入手困難で転売価格で売られていた。2017年10月17にはニンテンドークラッシックミニスーパーファミコンが登場。こちらも発売直後は入手困難で転売によるプレミア価格が付いていた。
こちらは、RaspberryPi用のミニチュアケース X68000 for RaspberryPi 2/3。RaspberryPiにはレトロパイというエミュレータのようなソフトが用意されており、その中にX68000も含まれている模様。つまり、これとRaspberryPiを用意すれば、自分でPasocomMini X68000が作れるということになる。個人的には、PC-8801mkIISR以降、FM-77AV、X1turbo、X68000のミニが欲しい。ゲームまで収録したこれらが出たらかなりの話題になるでしょう。
個人的なMZ-80Cの思い出といえば、のみの市や植木市などが行われる野外の催事場で電化製品やパソコンなどの展示会が行われていた際に、グリーンモニターの機種を見たことが記憶にある。パックマンのパチもののようなゲームや上から槍が降ってくるゲームウォッチみたいなゲームが展示されていた。触ることもできず、買ってもらえるなんて想像もできない中で、ただ遠い夢のような機械として眺めていただけでした。ということで、続編のPC-8001、FM-7を期待したいHAL研究所のPasocomMini MZ-80Cでした。
参考:PasocomMini MZ-80C公式サイト、公式Twitter、Wiki MZ-80、HAL研究所の項、MSX Laboratory、株式会社D4エンタープライズ 1チップMSX