これは、1982年頃にツクダオリジナルより発売されたLSI Compoシリーズ ザ・ドラキュラ THE DRACULA。
同じくLSI Compoシリーズと銘うったグレートエスケープと同時期に出た、数少ないツクダオリジナル製の蛍光表示管ゲームのひとつ。ツクダはFLは3種しか出ておらず、後のもうひとつはFLスロットエレパチ。
当時、ドラキュラを題材に採ったゲームは数多く、脇役として登場したものまで含めると数を数えるのが面倒なほど。ドラキュラハンター、モンスターパニック、悪魔城ドラキュラ…。80年代にはドラキュラ映画のブームはとっくに終わっていたと思われますが、丁度その頃の製作者たちが子供の頃に影響されたということもあるのかもしれません。尾道3部作、宇宙刑事3部作と、3部作は色々ありますが、電子ゲームドラキュラ3部作のひとつ(嘘)。
本体。当時、7,980円もした玩具だけあって、ちょっと高級そうな雰囲気。
同LSI Compoシリーズのグレートエスケープと共通のフォーマット。クールな筐体ですな。
サウンドON/OFF、レベルセレクトなど操作部も共通。
このシリーズ最大の特徴、LSI Compo。本体が枠から外れます。FL機は、筐体が大型になることが多かったため、携帯性を重視した物と思われます。G&Wは、学校や公園などに持ち寄って、外で遊ぶことも多かった。
でもゲームをする際、電池を入れる際に、カパカパ外れ遊びにくい。
ゲームは、パックマン型のドットイートというよりは、ドラキュラを題材に採ったそのまんまパックマン。ビデオゲームや電子ゲームの出始めの頃は、まだ権利関係も整備されておらず、海賊版やヒット作をそのまま真似たものが多かった。そんな中でも、なんとかオリジナリティを出そうと頑張っています。
自機はドラキュラ(唇の形)、パックマンでいうところのえさはお姫様で、モンスターが(ドラキュラだけに)十字架、パワーえさがコウモリといった按配。モンスターのあじとの代わりに中央には城が配置され、城には女王様がいます。この女王様の血を吸うのがゲームの目的。
ゲーム画面は、このような感じ。左下の棺おけは、ドラキュラの出現地点であり、安全地帯でもあります。
このゲームで最もオリジナリティを感じるのが、右上のサンライトタイマー。これは現在の時刻を表しており、三日月が徐々に右側へと移動し、満月へと変化していきます。
三日月の下の唇は、ドラキュラの残機数。
このような感じでタイマーの月が右端まで移動してしまうと…
朝になり画面の端がフラッシュを始めます。この演出が、とても綺麗。昼間は棺おけに戻ることで太陽光を避けることができます。3回朝を迎えてしまうとゲームオーバー。
ドラキュラ出現。画面内をこうもりになって飛来する演出が施してあります。
こちらが城の中に鎮座する女王。城の入り口はランダムで開閉します。
城の入り口が開いている状態。この時に城内に進入し、女王の血を吸います。ドットイートのドットですから、食べてるイメージですが。
場内からは十字架が出現。迷路内を移動し、ドラキュラを退治します。
パワーアップは、こうもりをキャッチすると3秒間ほど無敵状態なり、十字架を倒すことが出来ます。パワーえさと同じ働きをしますが、コウモリなのでこちらも移動しています。
十字架にやられた!!
全体的なイメージとしては、操作が若干重いことを除けば、よく出来ていると思います。ドラキュラという設定、お姫様がドット、十字架が動き回るのには違和感が残りますが。
ドラキュラというのは、それほど特殊能力を持っているイメージではありませんが、ゲームでは強大な敵として登場することが多い。ウィザードリィでは、ラスボスの大魔術師ワードナーを守るバンパイアロードとして、最強クラスの敵となって登場しました。
ドラキュラ伝説そのものがテーマとなったウィザードリィ6。不死というだけでなく、知性や伯爵といった階級も兼ね備えているところが、数あるモンスターの中でもドラキュラが優遇される理由でしょうか。
D&Dのルールを用いたゲームブック暗黒城の領主。
当時の思い出としては、同シリーズのグレートエスケープと同じく存在自体を知りませんでした。ただこの発売当時は、コロコロコミックで怪物くんがリメイクされ、アニメ化もされていましたので、こちらの方がまだ子供にも親しみやすかったのではないかと思います。変に子供に媚びて、かわいらしいキャラにせず、恐怖感を強調したパッケージイラストも良いですね。
ということで、80年代90年代を駆け抜けて消えていった、ツクダオリジナルの遺産LSI Compoシリーズ ザ・ドラキュラ THE DRACULAでした。
参考:Wiki ツクダオリジナルの項、帰ってきた電子ゲーム、シネマとグルメでレトロゲームなおうち