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TZRグランプリライダー(TZR GRANDPRIX RIDER)・アスキー

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 TZRグランプリライダー(TZR GRANDPRIX RIDER)は、アスキーより1986年に発売されたMSX用のバイクレースゲーム。

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 この頃は大変なバイクブームで、オートバイ会社各社ともレーサーレプリカと呼ばれる過激なモデルを発売していました。これは、そのバイクブーム、バイク人気を当て込んで発売されたものだと思います。タイトルにあるTZRとは、ヤマハの市販のスポーツモデルのことで、1985年に発売されています。実在する車種を使ったこともあってかパッケージには、協力ヤマハ発動機の文字が。

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 時期的にバブル期ということもあり、レプリカモデルは毎年のようにモデルチェンジを繰り返し、草レースも盛んに行われていました。峠道に行くと何台ものバイクが集まって、その速さを競っていました。ただ、タイトルであるグランプリライダーとは、2輪車のロードレースにおける最高峰である“ロードレース世界選手権”に出場するライダーのことで、GP用(レース用)のヤマハのワークスマシンはYZRで、草レースにしても市販レーサーはTZ。レースを題材にしていながら市販のスポーツモデルであるTZRをわざわざ使っていることに違和感が残ります。

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 ROMカセット。チェッカーフラッグを模したパッケージに、リアルタイムライディングシミュレーションという長いサブタイトルが。

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 当時このゲームを入手したのは、90年代に入ってからでした。そのため86年当時のこのゲームの評価というのはわかりません。検索するとゲーム誌のレビューで☆ひとつと散々だった模様。このゲーム、処理速度を優先したためか、ただでさえ解像度が低いMSXのさらに低解像モードで作られており、当時としてもかなり見劣りがするものでした。低解像にした一番の理由だと思われますが、カーブに差し掛かると画面が左右に大きく傾いて、ハングオンと呼ばれたバイクのコーナリング姿勢を再現しています。また低解像の背景とは裏腹に妙に請ったコックピット周りが印象的でした。

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 夜間の場面(耐久レース?)。コースは8種類準備されており、規定のタイムや順位をクリアすると次に進めるという、当時としてはオーソドックスな作り。耐久レース以外でのロードレースの夜間はありえませんので、レース部分でのシミュレートは大雑把な模様。

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 君はグランプリライダーだ。スロットルを開くとタコメーターの針は瞬時に跳ね上がる。パッケージにはこのように書かれており、この後も延々とタコメーターの針とシフトアップについて触れられています。リアルタイムライディングシミュレーションとはここの再現度を指したものだと思われます。スペースキーでアクセル、GRPHでブレーキ、↑↓でギアチェンジ、←→でハンドルという操作体系なのですが、タコメーターの針を見ながらレッドゾーン手前でシフトアップをするという操作が求められます。シフトアップする際に一度アクセルを緩めるとエンジンブレーキがかかり、逆にそのままだと針がレッドゾーンを超えてしまいエンジンがオーバーレブをして減点されてしまいます(実車だとエンジンが焼付く)。つまり、クラッチこそ再現されてませんが、実車のオートバイにかなり近い操作が要求されるわけです。

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 ここで、レースを題材にしていながらワークスレーサーYZRでも、市販レーサーTZでもなく、市販のスポーツモデルTZRをわざわざ使っていることにも合点がいきます。つまり、これはレースゲームの体をなした、バイクに乗る行為の楽しさそのものの再現を目指したリアルタイムライディングシミュレーションというわけです。レース部分は実はオマケ程度で、一般的なユーザーが公道でバイクに乗り、タコメーターを見ながらクラッチ操作を行い、ハングオンを気取りながらカーブを抜ける、あの感覚が再現されています。

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 個人的な思い出としても、これで遊んだのは90年代に入ってからで、既に8ビット機も、MSX2も時代遅れになった後でした。学校近くのリサイクルショップで8,000円ほどでMSX2を手にいれ、懐かしいーという感じで遊んでいました。その頃はバイクに熱中しており、この低解像の見た目はぱっとしないゲームが、バイク操作の感覚をリアルに再現していることに驚きを覚えたものでした。

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 ということでMSXのゲームとしてもあまり知られていないマイナーな作品です。ただ当時バイクで遊んだ経験のある方には、お勧めしたい隠れた佳作だったと思います。
 
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参考:Wiki ヤマハYZR、TZ、TZRの項、take to the AIR

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