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蘇るPC-9801伝説 永久保存版&蘇るPC-9801伝説 永久保存版第2弾・アスキー書籍編集部

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 蘇るPC-9801伝説 永久保存版は、2004年に月刊アスキー別冊として発売された80年代~90年代に国民機として一世を風靡したNECの16ビットPC、PC-9801シリーズを扱った書籍。好評だったのか2007年に蘇るPC-9801伝説2も発売されています。元々は、アスキーが80年代から90年代にかけて発行していたMSXマガジンの復活ということで、2002年~2005年にMSXマガジン 永久保存版を発行しており、これはエミュレータと当時のゲームを収録したCD-ROMを付録に付けたムック本として企画されていました。この本が好評だったのか、蘇るPC-8801伝説 永久保存版、みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001と矢継ぎ早に、このようなムック本が出版された。


 このような当時もののゲーム+エミュレータを付けた書籍は、他社にも飛び火して、コンプティークを発売している角川書店よりPC8801mkII SRゲーム リバイバルコレクション PC‐9801ゲームリバイバルコレクションなども発売されていました。懐かしい記事が読めるということと、当時1本5,000円~8,000円ほどしていたゲームが、複数付いているということなどから受けたのだと思います。


 ホビー用途より主にビジネス用途が主だったPC‐9801本ということで、内容も技術書寄り、ビジネス書寄りのものになっている。ただゲームも26本収録していて、クリスタルソフトの夢幻の心臓Ⅲ、ゲームアーツのシルフィード、日本初のテキストAVGとして名高いアスキーの表参道アドベンチャー、南青山アドベンチャーなどが収録されていることが売りになっている。ちなみにこれはオークションで落としたのだが、収録されているCD-ROMは未開封の状態だった。


 巻末には袋とじで月刊アスキー82年度版の復刻、パロディ版の季刊アスキー2004年度版が収められている。ビジネスマンや技術者としてPC-98を使用していた人には、懐かしく読めるものだと思います。


 個人的には、友達がPC-8801を持っていて、それで遊ばせてもらっていた。そのうちフライトシミュレータを遊びたいからとその友達がPC-9801に乗り換えたので、PC-9801にも少しだけ触れることができた。仕事でPCを使うようになったのはウィンドウズが普及してからなので、国民機として一世を風靡していたにも関わらずビジネス機であるPC-9801にはあまり縁がなかった。80年代頃ではホビー機として最強だったPC-8801と比べると、まだまだビジネス色が強くて、それほど思い入れが強い機種ではありませんでした。


 そういった事情もあるためか、値が上がりがちな絶版もののレトロゲーム本としては入手しやすい。アマゾンでもオークションでも3,000円~4,000円ほどでまだ手に入る。当時の価格が2,800円なので、この手のエミュレータ本だとどれもプレミア価格になっている中では、プレミアもついておらず比較的入手しやすい方だと思います。この手のエミュレータ本は、元々の定価が高かったですが、さすがに元値の2倍以上というのは抵抗がある。


 続いてこちらは、蘇るPC-9801伝説 永久保存版の第2弾。蘇るPC-9801伝説が好評だったのか、2004年の第一弾に続いて2007年にアスキーより発売された。この手の書籍は、安くても大体3,000円~くらいしますが、これを買ったときには2,000円前半のものが3冊ほど出ていて、どうしようかと迷っていると直ぐなくなるため、とりあえ入手しておくことにした。


 80年代から90年代初めにかけて、国民機として事実上日本のスタンダードPCだったNECのPC-9801シリーズを取り上げたムック本。当時もののゲームがエミュレータとともにCD-ROMに収録されて付いている、この頃に流行ったレトロパソコンのエミュレータ本。当時、7~8,000円程度はした市販のゲームソフトが7本収録されている。後は、PC-9801にまつわる技術的な話やビジネスの話、インタビュー記事などが収められている。


 収録されているゲームは、ウィザードリィの6作目であるWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-、一世を風靡した戦略シミュレーション大戦略IV、推理物のAVG琥珀色の遺言、伝説的プログラマー、マーク・フリント氏のZONE、ハイウェイスターなど。収録されている数は少なめですが、割と重量級の作品が収められている。


 ビジネス機であるPC-9801のもう一方の側面、アダルトソフトなども蘇るPC-9801桃色伝説として袋とじになっている。ラッキーなことに、廉価なものであったにもかかわらず、袋とじ、CD-ROMとも未開封だった。前作では、技術寄り、ビジネス寄りな内容でしたが、結構ゲームやホビーよりのネタが多くて、紙面の4割ほどは収録ソフトの紹介や攻略記事となっている。PC-98に関係する人物のインタビューも安田 均氏、黒田 幸弘氏、古谷 徹氏など、渋いところを付いている。個人的には、PC誌コンプティークでクロちゃんのRPG千夜一夜を連載していた黒田 幸弘氏のインタービューを持ってきたところが、ツボだった。


 基本的にPC-9801はビジネス機であり、ホビー用途にはPC-8801あるいはシャープのX68000、富士通のFM TOWNSなどが使われることが多かったので、個人的にはあまり PC-9801には、思い入れや思い出が無い。80年代後半から90年代にかけて、パソコンからも離れていたので、80年代の8ビットPCから仕事で必要に迫られて使ったウインドウズにまで一気に飛んでしまっている。特に技術的な記事には、まったく付いていけなかった。


 この本が出ていた当時、電気店の書籍コーナーで見かけて買おうか、どうしようかと迷った思い出がある。その理由は、やはりWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-のPC-9801版が収録されていること。これは、スーパーファミコンにもウィザードリィVI 禁断の魔筆として移植されており、セガサターンでもウィザードリィ Wizardry 6&7コンプリートとして出ているのだが、オリジナルのIBM PC版からは、かなりアレンジが施されており、オリジナルに忠実なPC-9801版が欲しかった。スーパーファミコン版だと流麗な末弥 純氏のデザインが施されているのだが、オリジナルではどう考えても日本人受けしそうにない、海外製のゲームブックの挿絵のようなキャラデザインだった。しかし、今見るとこちらも捨てがたい味がある。


 これでアスキーより出ていたエミュレータレトロPC本は、PC-8001、PC-6001本を残すのみとなった。今だと、ダウンロード販売がメインになっていますので、このような書籍が発売されることもありませんが、この手の本は書店やパソコンショップの店頭で見かけた時に、凄くときめくんですよね。アスキーとカドカワも一緒になったことだし、またこのような企画をやって欲しいと思います。ちなみに、誌面ではPC-98伝説 第三弾の予告がされており、収録ゲームの希望などが募集されています。結局、それが実現することはありませんでした。

参考:蘇るPC-9801伝説 永久保存版&蘇るPC-9801伝説 永久保存版第2弾・アスキー書籍編集部

OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編&Vol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編・メディア・パル

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 OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編は、メディア・パルより2014年に発売されたレトロゲーム本。レトロゲームについてまとめたOLD GAMERS HISTORYシリーズのアクションゲーム編。1972年から1986年に登場したアクションゲームが収められています。


 アクションゲームに関しては、Vol.5 アクションゲーム黎明期編、Vol.6 アクションゲーム黄金期編、Vol.7 アクションゲーム戦国時代編と3冊に分冊して取り上げられている。元々このシリーズ、2005年のOLD GAMERS白書というところから始まっており、2010年のARCADE GAMERS白書で高井商会を取材した成果が生かされたのか、このVol.5 アクションゲーム黎明期編では貴重な筐体の写真が表紙を彩っている。


 OLD GAMERS白書の頃は、ファミコン、PC-エンジン、メガドライブなどのゲームを並べて紹介しただけのわりとライトな作りだったのだが、このシリーズ段々と本気度が上がっているように思う。


 ライトなゲームの歴史本だと、せいぜいブロック崩しやサーカス、へたするとスペースインベーダーから始まってしまうものも多い中、ちゃんとATARIのPONGから掲載されている。日本だとインベーダーゲームのヒットからビデオゲームが始まったかのような印象も持ってしまいがちですが、そこに至るまでにも数多くのゲームが発表されていた。これらの古いゲーム機は、80年代以降ビデオゲームが主流となってからもエレメカなどと一緒にデパートの屋上やゲームコーナーの片隅に置かれており、この時点でもまだ遊ぶことが出来た。


 OLD GAMERS HISTORY Vol.3のRPG編では、ちゃんとパソコンのRPGゲームから取り上げられていたことに驚いたが、このアクションゲーム編でもその本気度は生きている。


 もちろんドンキーコングやパックマン、クレージークライマーなどの有名どころは、しっかりと押さえられている。72年から86年までなので、スーパーマリオもナムコの黄金期のゲームも収録されている。その上で、セガのトランキライザーガンやSNKのファンタジー、アルファ電子のJump Bugなど、かゆいところにも手が届く作りになっている。


 それだけでなく、ATRI2600やぴゅう太、カセットビジョン、MSXなどアーケードやファミコン以外のゲーム機からも入れられている。ただあまりにも風呂敷を広げすぎたのか、これらのゲーム機からは1~2本程度と少なめ。書籍の半分くらいまでいったところで、やっとファミコンのゲームが登場するというなかなかマニアックな構成になっている。


 それらのゲームを搭載していたゲーム機の紹介やテレビゲームの成り立ちなども入れられている。


 ただ、風呂敷を広げすぎたのか、どういう基準で取捨選択をしているのかという問題はあります。3冊に分冊されているとはいえ、ファミコンのアクションゲームだけでも紙面が埋まってしまうほどの量があると思われますので、あれが入ってない、これが入ってないという不満は残る。それでも、近年発売された1,000円程度のゲーム本としては、異例の本気度を誇るシリーズだと思います。


 引き続きメディア・パルより出版されているOLD GAMERS HISTORYシリーズのVol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編。このメディア・パル社のレトロゲームシリーズ、最初はOLD GAMERS白書として出版され、その時にはファミコンやPC-エンジン、メガドライブなどのゲームをありきたりに紹介しているといった感じで、あまり食指が動くようなものではなかった。回を重ねるごとに本気度を増してゆき、今作でもなかなかのマニアック度を誇っている。


 Vol.11では、アドベンチャーゲームの歴史とパズルゲームの歴史がひとつにまとめられている。ここが少し惜しいところで、Vol.12もアドベンチャー&パズル編みたいだけれど、ここはやはりアドベンチャー編で2冊、パズル編で1冊と分けて欲しかった。このシリーズ、まとめて揃えればゲームのアーカイブズとしても機能しそうなほど出来が良いため、余計にそう感じる。


 前半は、当時の8ビットPC市場で花開いたアドベンチャーゲームの黎明期の作品が多く収録されている。これがなかなかの濃さで、光栄やエニックスなどの黎明期のアダルトゲームなども収録されているマニアックぶり。電波新聞社のチャレアベ以来、久しぶりに見たと思うような作品群も見受けられる。


 少年ジャンプの人気連載漫画をエニックスがゲーム化したウイングマン。北斗の拳などもゲーム化されていた。


 ディズニーランドをパロった、ハドソンのデゼニランド、デゼニワールド。まだファミコンに軸足を移す前、初期のハドソンはアドベンチャーゲームを得意としていた。


 初期ハドソンのアドベンチャーの代表作のひとつといえるサラダの国のトマト姫、略してサラトマ。ファミコンにもアレンジを施されて移植された。MSX版では、なんとライン描画のみの白黒。これは機種の性能差というよりメディアにカセットテープを使用していたため、容量の問題だと思う。メガロムやMSX2が発売されるまで、MSXユーザーは歯がゆい思いをした。


 1985年以降は、少しずつファミコンのアドベンチャーが増えてくる。Vol.12では、プレイステーションなどで花開いたバイオハザードなどのアクションAVGが中心になると思われます。


 パズル編はちょっと少なめ。ロードランナー、テトリス、ザ・キャッスル、キャッスルエクセレントなどの有名どころを中心に収録されている。8ビットPCでもファミコンでも、マイナーどころのパズルゲームは山ほどあったと思われるので、それらを集めてパズル編として一冊にして欲しかったところ。


 ということで、アドベンチャー編とパズル編が一緒になっている点が惜しいところですが、それ以外では出色の出来。8ビットPCを知らない世代にも、光栄やハドソン、エニックスの黎明期を知る貴重な資料としてお勧めしたい。

参考:OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編、Vol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編・メディア・パル、高井商会HP、ぼちゃけ

ブラックレーサー・トミー

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 ブラックレーサーは、タカラと合併する前のトミーより、1978年(昭和53年)に発売されたゲーム機。LSIを使った電子ゲームではなく、モーターやギアを駆使したいわゆるエレメカの一種。電子ゲームがブームになるちょっと前に、このような電子ゲーム(テレビゲーム)風のエレメカというのがちょっと流行りました。当時の価格は2,980円。5,000~6,000円が主流だった電子ゲームと比べても、リーズナブルで手に入りやすいということから、当時は大変なヒット商品となったようです。


 オークションなどにエレメカが出てくる場合、なかなか不動品が多い。LSIで制御されてる電子ゲームと比べても、モーターやギアなどで物理的にゲームを制御しているためか経年劣化が出易いのでしょう。この手のエレメカはそれほど値段も高くなりませんが、1,000円~3,000円といったところ。当時相当売れたためか、オークションでは今でもたくさん見かけます。


 フイルムに自動車が印刷されており、モーターの力でフイルムを動かすことにより、レースゲームを再現している。自機の移動はハンドルで行い、その動力は手動である。ギアの切り替えもあり、2車線の道路上に車が並んで避けられなくなった場合、ギアを変えてやることで左右のフイルムのスピードが変わってきて、それによってライバル車を避けられるという仕組み。操作系は、ステアリングにシフトレバーとスタートボタン。成績を表示するラップカウンターが付いている。スタートを押すとタイマーのメーターが動き出しゲームが始まります。


 スペースインベーダーの生みの親であるタイトーの西角友宏氏製作のスピードレースとか、初期のレースゲームを再現している。またエレメカという観点からは、関西精機のミニドライブを再現しているともいえるでしょうか。ただ、ギアとモーターだけで制御している関係でゲーム性は単純。子供でもLSIを使った電子ゲームではないということはわかりますので、すぐ飽きてしまっていた。今となっては、アイクスクリームやゼリーなどについてくるプラスチック製のスプーンみたいな透明の板に書かれたレーシングカーが、キッチュで実にいい味を出している。


 ブラックレーサーが好評だったためか、続編ともいえるブラックライダーも登場している。バイクで障害物を跳び越す、スタントサイクルを題材にしている。これにも元ネタとなったスタントサイクルというATARI製のゲームが存在している。


 こちらは、1976年に発売された世界初の電子ゲーム機Mattel Auto Race (マテル オートレース)。ブラックレーサーの2年も前ですから、まだまだ海外との技術差が大きく舶来品が高価で珍しかった時代。


 もうちょっとお金持ちの子の家庭では、任天堂が同じく1978年に発売したテレビゲーム型のレースゲーム、レーシング112で遊んでいた。これは、任天堂が三菱電機と共同開発したもので、112種類のレースゲームで遊べるというのが売りだった。とはいっても、ゲーム性はかなり単調だったのですぐ飽きられてしまい大ヒットとはならなかった。高価なテレビゲームや海外製の電子ゲームは、誰でも手に入れられるというわけにはいかなかったので、ギアとフイルムで安価にゲームセンターのゲームを再現したブラックレーサーが必要とされたのでしょう。個人的には、団地に住んでいた友達が持っていて、遊ばせてもらった思い出がある。


 当時はかなり売れた有名なゲーム機ですから知名度は抜群で、思い出の中にこれが登場する人は、結構多いのではないかと思います。

参考:ぼちゃけ、CVS ODYSSEY、しおんパパのひみつきち、Japan-Games.com

JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド&JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッド・メディアソフト社

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 こちらは、メディアソフト社より2015年11月に発売されたJK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド。タイトル通り、女子高生とバイクという近年流行っている、艦これのようなメカニカルなもの+萌えという系統の本です。漫画にばくおん!!というバイクと女子高生の組み合わせをテーマにした作品が、2016年よりアニメ化されるなど人気を博していますので、こちらもその路線を狙った一冊だと思います。
 

 艦これやメカ+萌えものには、あまり関心がないし、ばくおん!!自体も見たことがないため、普通であればふ~んとパラパラとめくって終わりなのですが、これは書店で見つけて心に引っかかった。この本を出版しているメディアソフト社も、クロスワードパズルとかそういったものを主に扱っている出版社なので、バイク専門誌というわけでもない。


 レイアウトとしては、バイクと女子高生のイラスト+そのバイクの簡単な解説、時代背景などの解説になっている。何が引っかかったのかと考えると、バイクのラインナップが現代のものからだけではなく、多くを80年代周辺のバイクブームの頃のものから引っ張ってきていること。YAMAHA TZR250R後方排気などという、バイク好きをくすぐるチョイスがなされている。


 こちらは、YAMAHA FZ400R。FZRでないとこが渋い。いったいどんな年齢層の読者を対称にしているのだか。


 このような感じで、いわゆる旧車と呼ばれるもの、それも有名な名車ではなく、知る人ぞ知るみたいなチョイスがされていて楽しい。もうひとつは、このような旧車、ビンテージバイクを扱った書籍というのは珍しくなく、数多く出版されているのだけれども、伝説の名車とかクラッシックみたいな扱いで紹介されていることがほとんど。この本では、女子高生と組み合わせることで、(例えば)MVX250Fが発売された現役当時、若者に求められていた頃の輝きが表現されていると感じた。MVX250Fの発売当時の輝きなんて私自身も知らないのですが、バイクが若者のものであり、憧れでもあった頃の輝きが表現されているよう感じられた。この頃は大変なバイクブームであったため、女性専門のバイク誌レディースバイク(今でもあります)やレディースライダーズマニュアルとか、女性がバイクに乗っていても不思議ではない時代背景がありました。


 アマゾンでの評価も高評価が付いており、バイク専門出版社のものではないのに、各バイクの解説も読んでいて楽しい。逆にバイク専門誌でないということで、自由な発想ができたのかも。ということで、バイク好きな人にはお勧め。まだ店頭にあると思われますので、興味のある方は一度手にとって見られることをお勧めしたい一冊になってます。


 JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッドは、2015年に発売されたJK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッドの第2弾。ばくおんに代表されるバイク+女子高生という、メカものに萌えの要素をプラスしたムック本。前作JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッドがバイク本として見てもなかなか良かったということと、帯付きが1,000円を切る価格で売られていたため購入。


 このシリーズのポイントは、前述のとおりバイクの車種の取捨選択が絶妙だという点。最新のものに織り交ぜて、バイクブームの80年代~90年代から通常のバイク雑誌などではまず取り上げない、マイナーな車種やマニアックな車種などを集めている。今のレトロバイクを扱った書籍だと、今でも高値で売れるいわゆる名車といわれるものがほとんどだが、こちらはそんなことおかまいなしに絶妙に懐かしい車種が多数収録されている。


 個人的にツボだったのは、昔所有していたFZ250フェザー、今も所有しているドリーム50、はじめてのバイクであるヤマハJOGが収録されていた点。女子高生のイラストは普通だと思いますが、バイクのイラストはかなり精巧に描かれていて出色の出来。この頃の大学生なんかはスクーターを足代わりにしてることも多く、学生街ではあちらこちらにスクーターが溢れている光景が見られた。バイクブームの少し前には、HY戦争なんてホンダとヤマハのバイク販売合戦が繰り広げられたりもしたそうです。最近、ヤマハのスクーター(原付)をホンダから調達するというニュースが流れましたが、この頃の熱さが嘘のような話になっている。そのような熱気を少しだけ、今に伝えてきてくれる。


 イラストだけでなく、当該車種の紹介、時代背景なども解説してありますが、これもなかなかの良い出来。メディアソフト社はパズル誌などを出版しているところでバイク専門誌を出版している出版社ではないのだが、縛りがない分ライター氏の思い出や思い入れなど独特の視点が加味されている。


 ということで、80年代~90年代のバイクブームにはまった人には、なかなかのお勧め。今はバイクを降りてしまった人でも、バイクが青春の象徴であった頃の輝きを取り戻していて、忘れていたことを思い出せてくれる楽しめる一冊だと思います。

参考:JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド&JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッド・メディアソフト社

少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)もの他/串間努・晶文社&路上ポップ・ドールのひみつ/町田忍・扶桑社

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 少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)ものは、2003年に晶文社より出版されたレトロホビー本。著者は、日曜研究家の串間努氏。近年のレトロブームに合わせて出版されたものというより、そのレトロブームを作り出して牽引してきた第一人者による一冊。昭和の時代の懐かしい流行(はやりもの)が、これでもかと詰め込まれています。


 後述する町田忍氏やこの串間努氏などが、このような昭和レトロものネタの先駆者のひとりだと思います。90年代あたりから2000年代初頭にかけて、昭和の玩具や雑貨、お菓子などいろいろなテーマで本を書かれていました。出版社が文芸書や思想書、サブカル本などで有名な犀のマークの晶文社という点もポイント。サブカルチャーの香り漂うちょっと知的な感じも漂わせており、レトロブームに便乗してきた他のレトロ本とは一線を画しています。


 串間努氏は、1964年の生まれなので70年代がやはり中心。氏がストライクな世代としては、特撮、ゴジラ、仮面ライダー、ウルトラマン、スーパーカーブームなんかの頃だと思います。それだけではなく、メンコやベーゴマ、忍者ごっこなど戦争直後からびっくりマンやキン消しなど80年代の末あたりまで、戦後の昭和を網羅するように取り上げている。氏の世代とはちょっとずれてしまうためなのか、ファミコン関係は少なめ。ゲームや任天堂関係だとゲーム&ウォッチに一章を割いています。


 メーカーに取材したり、串間氏の手持ちの資料を駆使したり、資料としても通用するなかなかの労作。


 玩具や商品にとどまらず、牛乳の蓋や熱帯魚のブーム、昆虫、オカルトなどとにかく幅広い。レトロ本としては、なかなか他に類を見ない質の高さだと思います。


 この本は、10年ほど前に図書館で読んだことがあるような記憶があります。図書館においてあっても違和感のないレトロ本の教科書的なテキストだといえるでしょう。そこはかとなく漂っているサブカル臭がたまらない。


 串間氏と同年代か40代あたりだと楽しめる書籍だと思います。それ以外の年代であっても、古い昭和の時代を知ることの出来る貴重な資料のひとつとしてお勧めできる一冊だと思います。


 ザ・おかしは、同じく串間努氏の手による一冊。1996年の発行とここで紹介する本の中では古め。そのタイトル通り、懐かしいお菓子の歴史について書かれた本。串間努氏は、ザ・ジュース大図鑑、駄菓子屋百科事典、ザ・ガム大事典など、懐かしい商品を取り上げた書籍も数多く書かれている。


 串間氏はおかしのパッケージなどを捨てずに大切に収集していると何かで読んだ記憶がありますが、そのような膨大な串間氏の手持ちの資料やお菓子メーカーへの取材などを通して、主に戦後に発展してきたお菓子の業界史をいっぺんに俯瞰できるよう書かれている。カラーなので見ているだけでも楽しい。


 当時、流行ってバンバンCMが打たれ話題となったお菓子や、今現在でも売られているお菓子でも、発売当初はパッケージが異なっていたりして面白い。さすがにひとつひとつの商品のパッケージ遍歴とかは無理だろうが、ああ懐かしいと感じるような定番の菓子はだいたい網羅されている。仮面ライダースナックなどは、カード目当てにお菓子を捨ててしまうことが社会問題と化すなど、後にビックリマンでも同じような現象が起こった。


 ゲームや玩具だと人を選ぶと思いますが、こちらは万人が楽しめる一冊。最近だと、懐かしい商品を扱った辰巳出版の日本懐かし大全シリーズが好評なようですが、こちらはその元祖と言える一冊だと思います。


 こちらは、懐かしいもの研究家の町田忍氏による路上ポップ・ドールのひみつ。発売も1998年と最近数多く出版されているレトロものとは一線を画していて、このような書籍の元祖みたいな正統派のレトロ本。この90年代中頃だと、なんでも鑑定団の人気とともに古いものに価値があるということが一般にも知られ始め、ホーロー看板の本とかブリキやソフビの玩具の本とか、色々と出版されていた。これは、10年以上前に図書館で見たことがあるような気がします。


 ジャンルとしては、企業のキャラクターやノベルティを詳しく扱ったもの。有名どころでは不二家のペコちゃん、興和のケロちゃんコロちゃん、エスエス製薬のピョンちゃん、佐藤製薬のサトちゃんなど、店頭に置かれていた懐かしいキャラクターが紹介されている。


 企業のノベルティグッズなどはプレミア的な価格が付くことで知られていますが、ノベルティやフィギュアではなく、それらが街中に置かれている状態で収集して、その歴史などを詳しく調べた書籍は珍しいと思います。昔は、ナショナルのお店を始めとして日立、東芝、シャープなど、電機メーカー系列の販売店が多く、その店先などに各メーカーのキャラクターが飾られていた。


 サトちゃんを10円の乗り物にしたサトちゃんムーバー。薬局も大手チェーン店が市場を席巻してしまい、このようなものが置かれている町の薬局は、すっかり数を減らしてしまいました。昔は薬局で風船や駄玩具なども販促として配っていたんですね。


 18年前の書籍ですが、ある意味その内容は古くなっていない。今でも十分通用する一冊だと思います。企業ノベルティグッズが好きな方にお勧め。

参考:少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)もの/串間努・晶文社、ザ・おかし/串間努・扶桑社、路上ポップ・ドールのひみつ/町田忍・扶桑社

バンビーノ サッカー Bambino Kick the Goal Soccer・Bambino

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 こちらは、1979年製のLSIゲームBambino Soccerです。バンビーノは電子機器を製造していたエミックス株式会社のブランドで、電子ゲームブームの初期の頃にデザイン性に優れた作品を発売していました。


 バンビーノといえば、トミーにOEMしていたUFOマスターブラスターステーションやテレビCMもしていたスペースレーザーファイトやBoxing(ボクシング)が有名なのですが、日本国内だけでなく海外でも売られており、数種類のスポーツゲームなどを販売していたようです。これらは珍しいといえば珍しいのですが、特に有名なものでもプレミアが付くようなものでもありません。


 特にスポーツゲームの主な市場は海外だった模様で、箱裏の説明書きもすべて英語。MADE IN JAPAN 日本製の文字が今となっては貴重。エミックス株式会社は神奈川にあったようですが、 アメリカでのBambino,INC.は、カリフォルニアのロサンゼルスにあった模様。


 デザインは、こんな感じ。洒落たものが多いバンビーノのゲームとしてはずんぐりとした印象。


 裏はこのような感じ。裏の説明書きもすべて英語。単三電池4本で動きます。


 説明書が付属していなかった上に箱の説明書きもすべて英語のため、いまひとつわかりにくい。フィールドプレイヤーを操作するための4方向キーと、キーパー操作用の2方向キーが付いています。プレイヤーの人数も選べるようですので、2人プレイができるのでしょうか?


 ゲームが始まるとますます分かりにくい。スタートボタンに該当するものがなく、キャラが動かなかった。壊れているのかな・・・?と思いきや4方向キーの上を押すとゲームが始まった。しかし、すぐにゲームが止まってしまい、いまひとつ遊び方も分からない。


 こちらは、もう少し後に発売されたエポック社のデジコムサッカー。これも対戦プレーが可能で11人は無理ですが、キーパーを除いて3×3でプレイできるようになっている。ただし、これも操作が独特で説明書を見なければ理解しにくいと思われる。多人数を一度に動かすサッカーゲームは、位置が固定された野球と比べるとなかなかゲームに再現しづらかったようです。


 帰電さんに解説がないため、国内の他サイトで解説されている可能性はほとんどない。Handheld MuseumのBambino Kick the Goal Soccerの項には、英語版のマニュアルが上がっているのだが、これもなかなか要領を掴みにくい。Youtubeなどの動画を見ると、どうもパスなどなしでプレイヤーは1人のみを操作してゴールまでドリブルでもっていくゲームっぽい。そもそもバンビーノは、電子ゲーム初期のものがほとんどなのでゲームデザインがシンプルすぎるほど単純なものが多い。そのため抽象的すぎて、どのようにサッカーらしさを演出しているのか分かりにくい。サッカーゲームというとCPUが操作している他プレイヤーにパスをしたら、そのプレイヤーを操作できると思い込んでしまうが、そのようなサッカーゲームのフォーマットが出来る以前の製品ということみたい。


 ただしバンビーノは電子ゲーム出始めの頃に数多く製品を発売し、海外にも出すことを考えて製作されていたためか、すごく洒落ていて値段も高く手の届かない憧れの玩具メーカーというイメージだった。バンダイやトミーなど大手玩具メーカーではない謎の会社というところも、海外の製品ぽくミステリアスだった。デパートのショーケースに鎮座して、買ってもらおうとすら思えなかった記憶があります。なので、バンビーノというとちょっと特別なものという感情が残っているでしょうか。実際遊んでみると、電子ゲームの出始めのものでゲーム専業メーカーでもなかったため、単純ですぐ飽きてしまうのですけど。


 ちなみにこちらは箱もぼろぼろで綺麗なものではありません。オークションでも、最初はもっと高い金額3,000円~?で出ていたものが、入札がなくって徐々に値が下がって1,000円程度にまでなった。まあ、値段が値段な上に珍しいといえば珍しいので、遊び方は分からないけれど良しとしましょう。

参考:Handheld Museum

電子ゲームなつかしブック・コアマガジン社&Electronic Plastic/Jaro Gielens・Die Gestalten Verlag

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 こちらは、コアマガジン社より2016年9月末に発売された電子ゲームなつかしブック。なぜか2016年というこの時期になって、彗星のごとく突如として発売された電子ゲーム本。


 このムック本、タイトル通り電子ゲームに特化した内容。ファミコンミニの影響からか今はファミコン本が多いですが、ちょっと変化球ですね。1983年の発売から1994年の最後のソフト発売まで、約10年という期間現役だったファミコンに比べると、電子ゲームは78年~85年頃まで、実質3年くらいしかブーム期がなかったため、思い入れのある層や知っている人が少ない。そのため、このような資料本も極端に少なくて、出版してくれたこと自体が奇跡だと思える。


 帰ってきた電子ゲームの中の人と、任天堂本をいくつか書かれている任天堂博士の山崎功氏が関わっているため、有名どころは過不足なく押さえてあります。ページ数の関係でそれほど数は多くないため、マニアの人には物足りないと思いますが、書店で見つけて懐かしいと手に取る人にとっては十分だと思います。


 もちろんゲーム&ウォッチも収録されていますが、省かれてしまうことの多い蛍光表示菅(FL)ゲームが多く取り上げられているのが嬉しい。あら、インベーダー2000の発売元がバンダイとなってますな。


 電子ゲームといえばこれも外せないサイモンなどもきちんと収録されている。


 さらになつかし電子ゲーム100として、100本分の電子ゲームのミニレビューが掲載。簡単な紹介や遊び方、攻略などが書かれている。ファミコンの攻略記事は多いですが、電子ゲームの攻略というのはほぼ皆無なためこれは貴重。


 アーケードから移植された名作電子ゲームという企画。惜しむべきことにページ数が少ない。ファミコンやゲームボーイも収録されていて、ファミコン芸人の藤田さんも登場しているのだが、Amazonのレビューにも書かれているように、ここは電子ゲームに特化して欲しかったところ。出版する側としては、電子ゲームのみの本だとあまりにも市場が狭すぎるため、安全策としてファミコンの記事も入れたいのでしょうけど。


 電子ゲームだけではなく、同時期のテレビゲームなども多数収録されている。このため、電子ゲームの情報を求めて買う人には物足りない内容となっていますが、バラエティにとんだ内容になっていて読み応えもあります。Amazonでは、★三つ半と微妙な評価になっていますが、ここ的には星★★★★★を進呈したい。


 どちらにしても、今この時期に電子ゲーム本を出版してくれたというだけで価値がある。この時期のことを知っている人ならば、書店などで見かけられたら、ぜひ手にとって見て欲しい楽しい一冊になっていると思います。


 こちらは、ドイツのDie Gestalten Verlag社から2001年に出版されたElectronic Plastic。筆者のJaro Gielens氏は、オランダ出身のドイツ在住の電子ゲームコレクターで、デザインなどを本業とされているインタラクティブデザイナーさんのよう。洋書としては、わりと日本でも有名なものだと思います。


 1970年代年後半から85年頃までに発売されてブームとなった電子ゲームを扱った一冊。こういうのは、なかなか無い。当時ものの電子ゲーム百科などは、1万円以上のプレミア価格となっている。


 特徴としては、本業がデザイナーということでレイアウトがなかなか工夫されていて綺麗。


 洋書とはいっても、掲載されているもののかなりの数が日本製品なので、特に抵抗なく読める。


 この本の表紙にもなっているのは、バンダイより1985年に発売されたW-RACING。すでにファミコンがブームとなっていた頃に、ひっそりと発売された液晶ゲームで、特に有名というわけでもない。というより、ほとんど知られていないマイナーな機種。任天堂のドンキーコングやトミーのパックマンなどではなく、なぜそれが拍子になっているのかというのは謎。


 独立したスロットルを2つ備えており、4方向ジョイスティックで、スピード、ブレーキ、ハンドリングを全て行え2人で対戦もできる。多分この辺りが、Jaro Gielens氏の琴線に触れたのでしょう。


 この本に掲載されている電子ゲームメーカーが世界地図で示されているが、北米と欧州、そして日本。当時としては最先端の玩具であったため、やはり先進国ばかり。今だと中国、台湾、タイなど、この地図もまったく様変わりしていると思います。中でも日本メーカーの数は圧倒的。アニメやゲームなどのサブカルチャーは、日本が本当に強かったことを再確認します。2010年に製作されたNHKスペシャル~世界ゲーム革命~では、日本のゲーム産業の最盛期は1995年頃で、全世界シェアの7割を日本製ゲームが占めていたと紹介されている。その後、今日までにゲーム産業の規模は3倍ほどになり、日本製ゲームのシェアは3割にまで落ち込んでいるのだとか。


 このような本で、わりと新しめのものとしては、2013年に発売された携帯ゲーム機コンプリートガイドがある。電子ゲームに特化したものとしては、2000年の電子ゲーム70’s & 80’sコレクションなどが有名。


 このようなレトロゲーム本は、絶版になるととんでもないプレミア価格となっている場合が多いが、このElectronic Plasticは、アマゾンでも入手可能でとわりと手に入れやすい価格なのが嬉しい。電子ゲーム関係は、あんまり人気が無いということの裏返しかもしれませんが。


 ということで、電子ゲーム好きな人にはお勧めな一冊。安く売っているうちに手に入れておきたい一品。

Pacman Wind-Up Toy/トコトコ パックマン・トミー

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 こちらは、ぜんまい仕掛けでパックマンがとことことあるく海外製のトイ。元ネタは、1982年にトミーより発売されたトコトコ パックマン。さすがに今売られているものは、海外のクローン品でトミー製ではないと思います。


 パックマンは、ナムコ(現バンダイナムコ)より1980年に発表されたアーケードゲーム。作者は、当時ナムコ所属のクリエーターで現東京工芸大学教授の岩谷徹氏。日本でも人気を得たが、海外特にアメリカで爆発的な人気を誇り、テレビアニメ化されるなど80年代のミッキーマウスと称されるほどだった。マリオと並んで、80年代を代表する日本製のアイコンのひとつだと思います。
 

 ぜんまいを巻くと、足を上下させながら、口をパクパクさせて歩きはじめます。ボディサイドにボディと同色の小さな車輪があって、足はここに連動されている。なんということはないぜんまい仕掛けのトコトコ人形ですが、デザイン的にも凄く完成されていてえらく可愛い。このような小さな玩具にも、口と足を連動させる仕組みが組み込んであって、ここは繊細な日本製ならでは。


 口の中にモンスターが。これを引っ張るとカチカチカチと口を開け閉めしながら歩き出して、最後にはパクッと食べてしまうギミックを想像したのですが、これは単なる装飾でした。昔、そういった玩具もありましたね。ちなみにトミーは、スターウォーズの公開当時にものこのこR2-D2というぜんまい仕掛けのグッズを販売しており、これも爆発的に売れたそう。監督のジョージ・ルーカスもこれを大変気に入ったという逸話がある。


 この元ネタであるトコトコ パックマンが発売された時期はパックマン人気が盛り上がっていた頃でもあり、各社からパックマン関連のゲームやグッズが発売されていた。こちらは、81年にバンダイより発売されていたFLパックリモンスター


 学習教材などでお堅いイメージがある学研からも発売されていた。1982年のパックモンスター。学研は、スーパーパックモンスターなど他社からのOEMやバージョンの異なるものを何種類も出していた。


 1981年頃のトミーパックマン。ゲームの著作権という概念が明確でなく、勝手に移植が多かった当時、ナムコよりライセンスを取った正規のパックマン。そのおかげでパックマンロゴやパックマンのキャラクターなどをCMやパッケージなどにも使用できたため、人気が高く当時大変売れた。


 1981年製のエポック社のパクパクマン。廉価なパクパクマンⅡが後に販売されるほど売れた。パターン化することが出来て、液晶ゲームという利点を生かして音楽やキャラクターも軽快だった。


 こちらは、近年発売されたamiibo版パックマン。これらの玩具だけではなく、その人気を反映してパックマン2、ハングリーマン、スキャンダルマンなど海賊版も溢れ、特に駄菓子屋などにはナムコの正規版よりも安価なこれらのものが多く置かれていた。海賊版とはいっても、迷路の形が異なっていたり、ワープトンネルが増えていたり、キャラが代えられていたりして、駄菓子屋で菓子などを食べながら遊ぶ分には、こちらの方が本家よりも面白かったりもした。


 アマゾンやオークションで300円~500円くらいでアメリカン雑貨などとして売っていますので、机の上の飾りとしても良いのではないでしょうか。


 ということで、Pacman Wind-Up Toy パックマン、トコトコ パックマン。パックマンのぜんまい玩具でした。

参考:Wiki パックマンの項、エディットモードオフィシャルウェブサイト、Handheld museum.com、Kazzy's Impression、電撃ホビーウェブ

ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付き (TJMOOK)&「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100・宝島社

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 ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付きは、宝島社より2016年6月に発売された一冊。発売時にはレトロサイト界隈でちょっとした話題となりました。最近では、ファミコンなどのレトロゲーム回顧本がちょっとした流行で次々と出版されていますが、これはちょっと珍しいゲーム音楽に焦点を当てています。


 ゲーム音楽というとCDがプレミア付きの価格で売られていたりと、マニアックすぎてなかなか付いていけないディープな世界。ゲームミュージックを扱った書籍というと、先駆者として電波新聞のゲーム・ミュージック・プログラム大全集なんかが浮かびますが、あれは打ち込みをする人向けに楽譜が収録されているというマニアックさぶりでした。この本では、そのような知識や音楽的な素養がなくとも楽しめるように一般的な作りになっています。


 ディグダグやゼビウス、ドラゴンバスターのBGMを作曲したサウンドクリエイターの慶野由利子氏、チャレンジャーや迷宮組曲を作曲したハドソンの国本剛章氏、ゲームデザイナーの遠藤雅伸氏、高橋名人など、ゲーム音楽やゲーム業界の著名人のインタビューが収められている。


 この本の一番の売りでもあるナムコ名作CD付。ファミコンの音源が収められています。未開封だったため、ほとんど新古本といっても良い感じ。この書籍が出たとき約1,700円という価格に躊躇しましたが、この音源がアーケード版かFM音源であれば迷わなかったのに。ここが一番惜しい点。


 内容のほうは、冒頭の10ページほどを駆け足でゲーム音楽の歴史を解説してある。しかし、日本初のゲーム音楽のアルバムである細野晴臣氏のビデオ・ゲーム・ミュージックにはちょこっとしか触れていないし、タイトーのZUNTATA、コナミ矩形波倶楽部、PCでは日本ファルコムの古代祐三氏とかにも触れていない。ナムコのゲーム音楽には欠かせない大野木宣幸氏や、ゲーム音楽で遠藤氏を引っ張り出したからには小沢純子氏も欠かせないと思うが、こちらもあまり詳しく取り上げられていません。スーパーマリオやゼルダを作曲した近藤浩治氏、GoGoマリオ!!を歌った谷山浩子氏とか、ネタは幾らでもあると思われるのですが。


 この本の売りのひとつがファミコンコレクターKUBOKEN氏による、全ファミコンミュージックレビュー。音楽の専門でないコレクター氏によるレビューとは?とも思ったが、全ファミコンソフトのレビューともなれば、確かにコレクター氏にしかできないという気もする。大変な手間がかかったと思われます。


 ということで、特にゲームミュージックに詳しい人だと色々と物足りない出来だと思いますが、第2弾も予定されているそうなので、そちらに期待しましょう。一般のライトな層がああ懐かしいと懐かしむ分には、ゲームミュージックのCDも付いてくるしなかなか楽しめる企画だと思います。


 「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100は、2003年に宝島社より別冊宝島の一冊として発売されたムック本。ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付きに対して、こちらは10年以上前の別冊宝島ものになります。内容は、70年代~90年代のゲーセンの歴史を振り返ったもの。2000年代の初期頃にも、ファミコンソフトの相場が高騰したり、様々なジャンルで復刻版が流行るなどレトロブームが起こっていました。その頃によくあったレトロゲーム本ですね。


 巻頭ではインベーダーの生みの親西角友宏氏のインタビュー記事、ゲームセンターあらしの新作、すがやみつる氏へのインタビューの後、主に80年代を代表するアーケードゲームが掲載されていますが、100と銘打ってあることからもわかるように、すべてが収録されているわけでもありません。


 巻頭のあらしの新作漫画。あらしは、この頃のレトロゲームブームの中で引っ張りだこでした。記事のほうでは、ひとつのゲームに1ページを使っての解説。惜しむらくことにモノクロ。この本に限らず、このような解説記事はライターさんとの相性もありますから、なかなか満足できるようなものって少ないですね。


 まあ、それでも主要な有名どころは押さえてあるので、この手のライトなレトロゲーム本としては満足。アーケード限定ですがゲーム音楽大全の副読本としても機能するでしょうか。


 それよりも、この本で特記したいことは「ゲーセン」最強読本と名乗っている通り、ビデオゲームだけにとどまらず70年代のエレメカや90年代のプリクラなどゲームセンター全般を扱っている点。エレメカの記事は、なかなかありませんので、そういった意味では貴重なのかなという気がします。

参考:ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付き (TJMOOK)&「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100・宝島社

週刊少年ジャンプ秘録-ファミコン神拳・ホーム社書籍扱コミックス/「ファミコン神拳」伝承委員会&ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書・スクエアエニックス

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 週刊少年ジャンプ秘録!! ファミコン神拳は、1985年から少年ジャンプの巻頭に掲載されていた、ファミコン神拳のコーナーを復刻したもの。レトロゲームを扱うサイトやブログ界隈では、発売前から話題となっていました。


 Dr.マシリトとして知られる、元ジャンプ編集者の鳥嶋和彦氏が、当時のファミコンブームの時期に仕掛けた企画で、ゆう帝として当時ライターだった堀井雄二氏が関わっていたことでも有名。少年ジャンプの巻頭で袋とじとして、ファミコンゲームの紹介などを行っていた。ファミコン神拳の名前の由来は、当時人気のあった北斗の拳からのパロディで、ゲームの評価をあたたたたと擬音で表現していた。


 復刻されたファミコン神拳では、その鳥嶋和彦氏、堀井雄二氏、ミヤ王の宮岡寛氏、イラストの土居たかゆき氏など、当時のスタッフが参加して作られている。ファミ熱プロジェクトということで、専用のサイトが作られ、この後にも様々な企画が考えられているよう。


 ファミコン神拳の連載と平行して、堀井氏はドラゴンクエストの製作に取り掛かり、ジャンプ誌上でもその過程が紹介されていた。ウェブに掲載された鳥嶋和彦氏のインタビュー記事を読むと、堀井氏や森田の将棋の森田和郎氏、チュンソフトの中村光一氏らを排出したエニックスのゲーム・ホビープログラムコンテストの時点から、すでにジャンプの協賛が決まっており、鳥嶋氏も関わっていたのだとか。ドラクエの開発過程においても堀井氏と中村氏が先に決まっており、鳥嶋氏が鳥山明氏を抜擢したとのこと。ということで、このファミコン神拳とドラクエ誕生は切っても切れない関係にあったということになります。


 ドラクエ1には、堀井氏のお遊びでゆう帝、みや王、きむ皇、ちゅん(町外れで恋人を待つ中村氏)などが登場してきます。ドラクエの元ネタとなったウルティマでは、製作者のリチャード・ギャリオット氏は、一貫して世界を統べる王様でしたから、こういうところにも堀井氏の個性が出ていて面白いですね。


 この本の凄いところは、当時のファミコン神拳をそのまま縮小してすべて収録していること。当時のゲームの採点表も完全収録されています。後は、鳥嶋和彦氏、堀井雄二氏、宮岡寛氏、土居たかゆき氏などの座談会、それぞれの個別のインタビュー記事などが収められている。なんといっても、今となってはゲーム史に残る大御所となった堀井氏を引っ張り出したことが、一番の売りだと思います。


 ということで、当時ファミコン神拳を読んでいた人、ジャンプのファミコン記事を楽しみにしてた人、ドラクエや堀井氏のファンの人などにお勧め。復刻企画としてもかなり力の入ったものだと思います。


 ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書は、ドラゴンクエスト25周年を記念して2011年にスクウェア・エニックスより発売されたドラクエの公式のファンブック。製作は、チャレアベの山下章氏率いるスタジオベントスタッフという豪華な造り。同じ時期にドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑、 ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III 超みちくさ冒険ガイドなども発売されていた。


 永久保存版ドラゴンクエスト25年の記憶と銘打ってある通り、1986年のドラクエ1からドラクエ9までの作品紹介が収録されている。ドラゴンクエストの歴史を俯瞰するには、これ以外ないといった決定版的なドラクエ世界の参考書。


 鳥山明氏デザインの各キャライラストはもちろんのこと、キャラクター同士の相関関係やモンスター関連、町の住人にいたるまで、こまかく解説されている。


 裏パッケージにはロゴデザインが並べられ、各作品のロゴの遍歴が分かる。なにか歴史を感じる作り。

 1~9までの作品紹介の合間には、ドラクエが発売された時代の世相が解説され、物語の歴史、ゲームシステムの歴史、モンスターの歴史、道具の歴史、呪文の歴史、特技の歴史、職業の歴史、寄り道の歴史、裏技の歴史などを解説したドラゴンクエストシリーズ研究というコラムが挟み込まれている。移植作品や関連の玩具など、関連作品のライブラリーも収められ、まさにドラクエ百科と呼ぶにふさわしい作りになっている。


 ぱっと見、薄い攻略本に見えるのですが、450ページもあるという分厚い本。収められた情報量が膨大で、写真も字も細かいので一度に読んでしまうことはほぼ不可能で、なかなか読み応えあります。


 昔はドラクエ懸命にやったけど、今の新作はやってないなあというような人が、何か一冊だけドラクエ関連の本を買うとしたら、まさに最適な一冊。一応攻略の手順を記したチャートは載っていますが、攻略本ではないので広く浅くというような感じでしょうか。ゲーム攻略本ではなく、読み物として。


 ドラクエ関連の書籍は数多く出版されていますが、どれか一冊だけというのなら、ぜひ手元に置いておきたい一冊だと思います。ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑とそろえて入手しておけば、より完璧といえるでしょう。

参考:ファミ熱プロジェクト、電ファミ記事置き場、週刊少年ジャンプ秘録-ファミコン神拳・ホーム社書籍扱コミックス/「ファミコン神拳」伝承委員会、ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書・スクエアエニックス

ファミコン通信 ・エンターブレイン&ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazine&超実録裏話 ファミマガ 創刊26年目に明かされる制作秘話集・徳間書店

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 ファミコン通信(エンターブレインムック)は、2016年に発売されたムック本。ファミコン通信は、現在でもファミ通として発売されているゲーム誌ですが、ファミコンミニにあわせてファミコン通信の名が復活した。


 裏面は同じく復活したゼルダの伝説の広告入り。このイラストが使われるのは何年振りなんでしょうか、これも雰囲気作りに一役買ってますね。


 内容としては、最新のニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータを扱っているのだけれど、出来るだけ当時の紙面を復活させたような作り。クロスレビュー風の収録ソフトの紹介。これを見ていると、なんだか本当にこれらのソフトが新作として発売されたような錯覚に陥る。


 ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータのハード紹介も抜かりはない。


 高橋名人や毛利名人の対談、カラーコピーにとって切り取って組み立てるファミコンのペーパークラフト、ファミコンソフトのシールと楽しませようという仕掛けはこれでもかと入っている。ファミコン通信独特のノリがあった読者の投稿ページや桜玉吉氏の漫画など、アスキー系の雑誌で見られた独特の空気感も再現している。元々、ファミコン通信はログイン誌で連載されていたファミコン通信、MSX通信というコーナーが独立して出来た雑誌。そのため、ログイン誌の真面目なんだがふざけているのだかわからないノリもそのまま移植されていた。


 ということで、なかなか頑張っている紙面づくりなのですが、Amazonでの評価は星三つ半と微妙な感じ。その理由は、肝心の個々のソフト紹介が、ひとつのゲームに付き一ページしかない上に、文字も大きく文字と文字の間も離れていて、えらくあっさりしたものになっているという点。攻略記事などではなく、簡単に紹介しているといった感じ。


 後半には、当時の紙面も収録されているのだが、マップが掲載されて細かな解説が入るなど熱量が全く異なっている。これならば攻略や紹介は、いっそのこと当時の記事を再録すればよかったのにと思ってしまいます。ファミコンミニを買った何人の人が、収録ソフトを攻略するかといえば、雰囲気だけ楽しむという人が多いはず。なので紹介は簡単なものでもかまわないと思いますが、当時の熱気が再現されていない。そこが惜しむべき点かなという気はします。


 そうは言っても、価格も1,000円ほどだし、再びこの紙面を復活してくれただけでも買いというのは確か。ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとあわせて買えば、より当時の空気を再現してくれます。出してくれたことに価値がある企画と言えるでしょう。願わくば、クロスレビューなど当時の記者にやって欲しかったかな。


 ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazineは、ファミコン通信と同じくファミコンミニの発売にあわせて、徳間書店のファミリーコンピュータMagazineが復活したもの。表紙には、実に222ヶ月(約18年)ぶりの大復活と書かれています。ファミコン通信を発売していたアスキーはもう元の形としては存在しませんが、スタジオジブリや大映、徳間ジャパンコミュニケーションズなど数々の関連会社を抱えていた徳間書店も、従来の会社は解散するなどかなり会社の形が変わってしまっています。あれから、随分と月日がたったことを感じさせます。


 裏表紙はファミコン通信と同じくゼルダの広告。この初期ゼルダのイラスト、どこかスタジオジブリっぽい。


 紙面は、出来るだけ当時の雑誌の雰囲気を再現しているかのような作り。こちらもファミコンミニ収録のソフトが、昨日発売されたかのような錯覚をもたらす。


 ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ本体の解説も詳しく載っている。


 ファミマガの売りであった超ウル技のコーナーも再現、当時っぽい漫画なども収録されている。


 1,980円とファミコン通信の倍という価格なのですが、こちらのAmazonでの評価は星★★★★☆となかなかの高評価。その理由が当時のファミマガの記事をスキャニングしたデータが、PDF形式でまとめて1000ページ超えほど収録されたDVDが付録についているという点。おまけでスーパーマリオブラザーズ完全攻略本まで入っているという熱の入れよう。当時の記事なので、当然ながら当時の熱気までDVD内に収められていることになります。


 価格はちょっと張りますが、ファミコン通信とどちらか一冊をということならば、やはりこちら。ただし、2冊買っても3,000円くらいだし、このような復刻の機会はめったにないことだと思われますので、ここは2冊とも買っておくというのが正解でしょう。どちらも、価格のわりには出来が良いと思います。


 超実録裏話 ファミマガ 創刊26年目に明かされる制作秘話集は、徳間書店より2011年に発売されたファミリーコンピュータマガジンの2代目編集長だった山本直人氏による回想録。この本の存在は以前より知っていたのですが、当時ファミコン通信は読んでいたのですがファミマガ読者ではなかったため、なかなか手が出せなかった。


 ファミマガといえば、ファミコンミニに合わせて18年ぶりに復活した復刊号が、なかなかの好評ということは前述しました。こちらは、その熱い熱気を帯びたゲーム誌が、どのようにして作られていたのかという舞台裏を紹介している。


 文字中心の白黒のエッセイ集だと思っていたら、いい意味で裏切られた。当時ファミマガで漫画を連載していた作家によるカラーのイラストが入っており、当時の紙面や攻略記事などもカラーで掲載されている。エッセイもかなり面白い。例をひとつ挙げると、当時ファミコンのギャラクシアンの裏技を掲載したところ、ナムコよりクレームが入った。デモ時にコマンドを入力すると、隠しで入れられたシバの女王や風の谷のナウシカの音楽が流れるというもの。人気作を多数抱えゲーム業界の大手だったナムコからのクレームに編集部は騒然となったが、ファミマガの出版元は徳間書店であり、当時はジブリの親会社でもあった。そのためクレームは無しとなってしまったそう。


 それ以外にも、アスキーのドルアーガ本(初のゲーム攻略本)に倣って、スーパーマリオの攻略本を初めて出版したところ、重版がかかりにかってゲーム攻略本が2年連続で書籍の年間ベストセラーの1位に輝いた話や、編集部に電話をかけられるサービスを導入したところ、回線がパンクしてNTTが飛んできた話だとか、今の時代からは信じられない熱い時代の話が収められている。出せば売れた今からだと考えられないくらいに熱かった時代の話。


 読んでいて、なぜこんなに面白いのだろうか、初々しく清々しいのだろうと考えてみたが、これはひとつの青春の物語だからと思い当たった。ファミマガの読者だった方には、子供として(読者として)接していた知られざる雑誌編集の裏側を、そうでないにも社会人に成り立ての頃を思い起こさせてくれる、優れた青春の書としてお勧め。

ファミコンの思い出/深田洋介編・ナナロク社&僕らのファミコン日記 ―80's熱中時代―・少年画報社ほか

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 ファミコン時代の周辺を取り扱ったエッセイ集、漫画を集めてみました。こちらは、ナナロク社より発売された70年代~80年代生まれくらいの人が、それぞれのファミコンの思い出を投稿するというWebサイト思い出のファミコンの書籍版。本に収録されているのは、サイトに収録されている内容と同じものなので書籍として買う意味はそれほどないかもしれませんが、ファミコンを模した装丁が書籍ならではでよい感じだったので。


 ゲーム機としてのファミコンという大きな括りではなく、一本一本のソフトのそれぞれについての思い出が語られている。サイトだと一本に付き5本~20本程度掲載されているが、書籍という構成上見開き一ページにゲームソフトは1本、思い出は2~3つほどという形で年代別になっている。


 書籍という形を生かしてファミコンキャラのステッチや画面写真なども掲載されていて、よりイメージがつかみやすくなり雰囲気も出ている。思い出のファミコンサイトの方は膨大な量があるため、いっぺんに見ることは出来ないが、書籍という形ならば全体を通して読みやすくなり、また違った印象も出てくる。


 おばあちゃんの思い出とか、あまり仲が良くなかった兄弟との思い出とか、なんともいえない郷愁がある本です。あの有名なおばあちゃんのドラゴンバスターも収録。ドラえもんのおばあちゃんの思い出とか、ああいいう世界に泣けてしまう人にお勧め。


 僕らのファミコン日記 ―80's熱中時代―は、2014年に少年画報社より発売されたアンソロジーコミック本。いわゆるカバーのないペーパーバックといわれる形式の本であり、日本だとコンビニ本といったほうが伝わりやすいかも。ファミコンのあるあるネタを集めた作品集になります。


 様々な作家さんが、ファミコンのそれぞれのゲームについての思い出話や、当時においてよくある風景を描いています。一話辺り10ページほどの短編ですので、16本もの話が収録されている。人の数だけ、それぞれのゲームにまつわる思い出があるということが実感できる。


 本格的なゲーム本というよりは、コンビニコミックにありがちなB級グルメとか、駅弁の旅みたいな漫画のファミコン版といった感じの企画なので、ゲーム画面とかはほとんど登場しない。あくまでも、ゲームにまつわる当時の子供たちの思い出話というところに焦点が当たっていて、ゲームを通しての親や友達、兄弟との関係など、ゲームを通じての人との関わりの話になっている。


 今ではコンビニで買い物自体ほとんどしませんが、24時間スーパーが出来る前はよく立ち寄っていた。ネットが普及する前だと、コンビニでこのようなB級グルメの本とか、ゆるいコミックスを買って帰ることもありました。そういう意味でも懐かしい。収録されている漫画も、有名作家さんのものはありませんが、ゆるく楽しめる。中でも売りは、あさいもとゆき先生の大人のファミコンロッキーでしょうか。


 意外とよく出来ていて楽しかったです。アマゾンでの評価より予想したよりは高ポイント。それにしても、この本における一番の傑作は、ノスタルジーを刺激するこの表紙のイラストかなと思います。


 ピコピコ少年TURBOは、太田出版より2011年に発売されたピコピコ少年の続編。作者は、ハイスコアガールの押切蓮介氏。80年代後半から90年代にかけて、1979年生まれの作者の少年期から青年期にかけてのゲームに関連する思い出話。


 1979年生まれということで、ファミコン世代より少し後のPC-エンジン、ゲームボーイ世代といったらよいでしょうか。少年時代を描いた前作から、少し成長して小学校高学年~高校卒業くらいまでを描いている。


 主に中学生~高校生ということで、もてないゲームおたくだった作者の痛く感じる青春が赤裸々に綴られている。このような痛いと感じる部分を、ユーモアを交えながら、同年代の読者層に伝えてくるという作風は、女性の漫画家であれば西原理恵子さんや近年だと山本さほさん、黒川依さんだとか多いと思いますが、男性の作家としては貴重なのでは。また、ホラー畑出身の漫画家ということで、押切蓮介氏の描く女性は、どこか神秘的で魅力的な気がします。


 押切氏は、ピコピコ少年ではお馴染みのこのお母さんを主人公に据えた漫画も描いています。ハイスコアガールも再開されたみたいだし、なんかいろんな新境地を切り開いてますな。


 単なるノスタルジーには終わらず、青春の痛い部分を痛いまま読者にぶつけてくるという凄い作品です。この作者の次の展開が楽しみになるような一冊だと思います。


 はじめてのファミコン―なつかしゲーム子ども実験室は、マイクロマガジン社より2005年に出版されたファミコン本。ゲームサイド誌の前身ユーゲー誌上で連載されていたまるやきくんのなつかしゲーム人体実験というエッセイをまとめたもの。


 ファミコンのゲームを、今時の子供であるまるやき君に遊んでもらい、その反応を見るというもの。ファミコンで遊んでいた世代の子供がそろそろゲームをする年齢になり、そういった意味でも興味深い企画だったのでしょう。


 あまり詳しく読んでいないため、詳しい内容やまるやき君の反応はいまひとつわかりません。ただ連載開始時期2001年に中学生で、連載終了時には高校生になっていたということですから、今だと30歳前くらいになるのでしょうか。プレステ懐かしい~とか言っていそうです。


 子供はすぐに大きくなりますから、次はまるやき君と同世代の人が、子供にセガサターンやらプレイステーションをやらせて、反応を楽しむ時期が来ているのかも知れませんね。時代は繰り返します。


 ということで、ファミコンの時期も懐かしいし、セガサターンやらプレイステーション1の時期も懐かしいし、一冊で2度懐かしい本と言えるのかもしれません。


 こちらは、マイクロマガジン社より2010年に発売された21世紀ファミコン(ゲームサイドブックス)。前術の紹介したはじめてのファミコンと同じくユーゲー誌、ゲームサイド誌に連載されていたものを書籍としてまとめたもの。


 ユーゲー誌やゲームサイド誌は、熱心に読んでいたわけではなのだが、書店で見かけたときには手に取っていたため、そういった意味でも懐かしい感じがする。


 レトロゲームを懐かしむという趣旨ではなく、21世紀ファミコンのタイトル通り、21世紀にもファミコンを楽しんでしまおうというコンセプトで書かれている。スーパーマリオを2人プレイでやろうとか、ディグダグの地面を全部掘り進もうだとか、魔法使いのみでウィザードリィをやってみようだとか、新しい遊び方が提案されている。


 変わった遊び方をして面白いかどうかというと、あまり面白そうではない。けれど、新しい遊び方を成立させるために、何度も繰り返しプレイしており、やり込みプレイみたいな乗りになっている。そのため、読み物としてはなかなか面白い。


 当時、ユーゲー誌やゲームサイド誌を読んでいた人には、懐かしい感じがする一冊だと思います。そうでない人にも、古本でわりと安く手に入るファミコンエッセイ本としてお勧め。

参考:思い出のファミコン、ファミコンの思い出/深田洋介編・ナナロク社、僕らのファミコン日記 ―80's熱中時代―・少年画報社、ピコピコ少年TURBO・太田出版、はじめてのファミコン―なつかしゲーム子ども実験室、21世紀ファミコン(ゲームサイドブックス)・マイクロマガジン社

ザ・ナムコ・グラフィティ〈1〉完全保存版!NG総集編&特別編集号・ソフトバンク&チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム 3―パソコンゲームの楽しさを伝える本・電波新聞社

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 こちらは、ソフトバンクより1994年に発行されたザ・ナムコ・グラフィティ〈1〉完全保存版!NG総集編&特別編集号。キャロットハウスなどで無料配布されていた、ナムコの広報誌(namco COMMUNITY MAGAZINE)NGを収録したムック本。80年代ナムコもの(ALL ABOUT NAMCO――ナムコゲームのすべて、新明解ナム語辞典など)とか、電波新聞社のものなどは、とんでもない高値が付いていることがほとんどなのですが、こちらは付属のCDが欠品していたことから安めのに入手できた。


 NGは、1983年に創刊され、ナムコ直営のキャロットハウスなどに無料で配布されていたナムコのゲーム広報誌で、情報誌のはしりのような冊子でした。この当時だとゲームが発売される間隔も広くて、ナムコの新しいゲームが発表されると、楽しみにしてゲームセンターに足を運んだものでした。


 ようやく電波新聞社のベーシックマガジンに、1983年11月頃よりスーパーソフトマガジンというゲーム攻略を専門に紹介した冊子が付き始めた頃で、まだファミ通などのゲーム情報誌も影も形も無い頃でした。そのためメーカー自らが出したゲームの情報というのは貴重だった。


 NGだけではなく、80年代ナムコにまつわる周辺の事情にも触れられています。ナムコがスポンサーであった、大橋照子のラジオはアメリカンなども懐かしい。NGは、季刊時代、月刊時代、隔月間時代をへて、1993年4月号のNo.52を経て終了しますが、このムックが発売されたのはすぐ後の94年。そのため94年特別号として、新作のNGが収録されている。このときの特集は、次世代機とリッジレーサー。このムック内では94年の時点で80年代黄金期のナムコは、良かった、凄かったと懐古されていますが、この94~95年という時期はプレイステーションやセガ・サターンが発売されて日本製のゲーム機、日本製のゲームが世界を制した絶頂期とでもいえる時期だったわけで、まだまだ良い時代だった。


 というわけで、80年代黄金期ナムコを取り上げつつ、この本自体が94年発行と2重の意味でも懐かしいムック本、ザ・ナムコ・グラフィティ〈1〉完全保存版!NG総集編&特別編集号でした。


 チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム・通称チャレアベは、1980年代にマイコンベーシックマガジンに掲載されていた山下章氏の連載を別冊としてまとめたもの。80年代当時のPCゲームの攻略法を紹介したゲーム攻略本の先駆けと言えるものです。84年からチャレンジ・アドベンチャーゲームとしてベーシックマガジン誌上で連載を開始し、Ⅰ~Ⅴまで発売されていた。80年代後半にも版を小型化した復刻本が出され、2003年にも復刊ドットコムの企画で再販されている。古い8ビットPCゲームの資料としては、これ以上のものはないため、今でも根強い人気があってアマゾンでもオークションでもプレ値で取引されている。


 Ⅲの方は、残念ながら収録数が7本と少ない。チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲームが25本、Ⅱが10本と当時のゲームの内容の高度化、複雑化にあわせて少しずつ掲載本数が減っている。マイクロキャビンのめぞん一刻、うる星やつら、日本ファルコムのイース、工画堂スタジオのサイキックウォー、ウィザードリィⅠ~Ⅲが収録されている。ウィザードリィの攻略は、別にチャレアベでなくとも読めるため、チャレアベの中ではそれほど人気がない号にあたるかもしれません。


 何故これを買ったかというと、なぜかアマゾンで新品が売られていたから。このチャレアベは2003年に復刻されて以降、ずっとプレ値が続いてきたのですが、なぜだかこのⅢのみ2016年になってもアマゾンに2回ほど入荷していた。入荷するなり1~2日ほどであっという間に完売してしまっていましたが。


 再販されたかなと思って発行年月日を確認すると2003年のまま。Ⅲのみまだ出版社に在庫が残っていたということなのかも。何度かアマゾンや楽天ブックスなどに在庫が復活し、今現在では品切れとなっていることから、最後の在庫だったのかも知れません。ただし、最近まで売っていたということで、まだ新古本や未読本などは見付けられるかも。


 ということで、チャレアベとしては収録本数も少なく、いまひとつといった感じなのですが、新しめの再販本が入手しやすいというだけでも貴重。最近になって、当時の8ビットPCゲームを扱った書籍もちらほらと出版されていますが、資料としての価値としては、未だに一線級と言えるものなので、買える機会があれば押さえておきたい一冊。

のんきな父さん(アスペクトコミックス)・アスキーほか&WAVE〜ウェーブ〜・秋田書店&Final Re:Quest ファイナルリクエスト(1)(シリウスKC)・講談社

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 今回は、レトロなパソコンやゲームの周辺を描いたちょっと変わった漫画作品を集めてみました。のんきな父さん(アスペクトコミックス)とおやじの惑星 愛蔵版は、どちらも漫画家、イラストレーターの桜玉吉氏の漫画。のんきな父さんはMSXマガジン、アスキーコミックスなどに80年代から90年代にかけて連載されていた四コマ漫画。おやじの惑星の方は、桜玉吉氏の初期短編集で2000年に再販された愛蔵版。


 MSXマガジンといえばべーしっ君、のんきな父さんを連想するほど、MSXマガジンを読んでいた読者層には有名な作品。桜玉吉氏の実父をモデルとしたらしい荒井注似のお父さんと、お父さんにおちょくられる息子の話。落ちの無いどちらかというとシュールな漫画で、ログインやMSXマガジンなどこの当時のアスキーが発行していた書籍には、このようなシュールな作風のものが多かった。


 おやじの惑星の方は、カラーあり、短編ありの雑多な内容。白夜書房の四コマ漫画誌などに掲載されていたものが集められている。こちらはシュールなんだけど、一般受けもしやすい可愛らしいキャラも登場している。


 のんきな父さんの初出一覧を見ていたら、MSXマガジンの1989年2月号よりとなっています。松下電器産業とソニーが本体・キーボード一体型の低価格機として、30,000円前後のFS-A1とHB-F1というMSX2の普及機を出してMSX規格が黄金期を迎えたのが86年ですから、結構連載開始時期が遅かったことになります。自分が熱心に読んでいた時期は、ザナドゥ、ハイドライドⅡが出た85年~86年頃。のんきな父さんが連載されていた時期には、実際にはもうあまり読んでいなかったのですが、なぜかMSXマガジンというとのんきな父さんを連想してしまうという、不思議なインパクトのあった作品でした。


 WAVE〜ウェーブ〜は、2007年よりヤングチャンピオン誌に連載された原作 藤村ZEN氏、監修 藤下真潮氏、漫画 THE SEIJI氏の作品。ホ○エモンをモデルにしたとおぼしきIT長者の回想録より物語が始まる。時代は、そこから現在より一気に飛んでパソコン文化の黎明期1980年代へ。そこで、黎明期のコンピュータ業界を舞台に、のし上がろうとする3人の若者を主人公に描く。


 この漫画の素晴らしいところは、80年代当時のコンピュータ業界の裏事情を描くとともに、実名で当時の実機が登場しているところ。PC-98、PC-88、ファミコン、ディスクシステムは当然ながら、カシオの最廉価MSXのPV-7やカシオのポケコンPB-100、富士通のFM-77AVなど、時代を彩った名機が登場している。


 PB-100が活躍する漫画は、世界広しと言えどもこれだけであろう。カシオのポケコンPB-100とは、カシオ計算機が1982年に発売した入門用のポケットコンピュータ。必要最小限の機能とメモリーしかなかったが、ベーシックが使えた。安価なので、ナイコン族の多くの人に愛用された。これにスポットがあたっていて、そういった意味では超貴重。


 作者のTHE SEIJI氏は、ゲーム会社でゲーム製作にも携わった経歴の持ち主の様。成年誌に掲載された作品なので、昔を回顧するほのぼの漫画という路線ではなく、IT版のナニワ金融道とかミナミの帝王とかああいったアダルトな乗り。監修の藤下真潮氏の解説がこちら


 ヤングチャンピオン誌から連載が移って、コミックスは2巻までで止まっているみたいです。アダルトな要素も含まれているので、万人にお勧めではないですが、FM-77AVとかカシオのPB-100とかというキーワードにビビっとくる方にはお勧め。


 Final Re:Quest ファイナルリクエストは、2014年より講談社月刊少年シリウス及びニコニコ静画で連載されている漫画作品。作者は、日下一郎氏と株式会社ヒューガということで、セガガガのゾルゲ市蔵氏の新作だと思います。


 新感覚の全編ドット絵漫画、すべての元勇者に捧ぐ、勇気と再出発の8ビットファンタジーと謳っています。


 この作品の凄いのは、新感覚の全編ドット絵漫画と謳ってあるとおり、全編がスーパーファミコンみたいなドット絵でしかもフルカラーで描かれていること。ユーゲー誌で長い間連載を続け、8ビット読者をくすぐる手を知り尽くした、実にゾルゲ氏らしい作り。


 書籍の冒頭は、取り扱い説明書の体裁を取っており、冒険の手引き、キャラクターの紹介、使用上の注意など、ゾルゲ節が炸裂している。


 物語は、ファイナルクエストという架空のRPGゲーム内での出来事。最終ボスを倒し大円団を迎えたゲーム内で、ある一人のキャラが目を覚まします。異変を感じたそのキャラ(主人公)は、他のキャラに話しかけ彼らが止まったまま動かないことを知る。


 異変の正体は、BUGによりゲーム内の世界が消え去ろうとしているということ・・・。ネバーエンディングストーリーですね。


 この異変を食い止められるのは、勇者様(かってのプレイヤー)しかいないということで、主人公の旅が始まります。途中で人間になりたいと願うモンスターを仲間に加えたり、悪のトルネコみたいな商人が仲間になったりと、どこかで見た事のあるような懐かしい展開が待っています。


 単なる色物っぽい漫画のようにも見えますが、まるで火の鳥未来編を読んでいるかのような重厚な読後感が広がったりもします。誰しも、経験してきたRPGの数だけカセット内にセーブされた(思い出と)キャラクターがいるはずで、何かどこかで忘れ物をしてきたような、そんなポイントを付いた作りになっています。連載中で、現在3巻までが刊行中…。果たして物語の顛末はどうなるのか、気になります。

参考:のんきな父さん(アスペクトコミックス)・アスキー、おやじの惑星 愛蔵版・白夜書房、WAVE〜ウェーブ〜・秋田書店、Final Re:Quest ファイナルリクエスト(1)(シリウスKC)・講談社、WAVEの時代もしくはWAVE補完計画/藤下真潮、ガジェット通信

ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生・NTT出版

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 ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生は、2013年のファミコン生誕30周年の節目にNTT出版より発売されたファミコン本。この本の一番の売りは、シャープから任天堂に移ってハードの設計を担当された上村雅之氏が直接書かれた一冊であること。京都の立命館大学がコンピューターゲームの情報収集、データベース化を目的としたゲームアーカイブプロジェクトというものを行っており、その一環として書かれたもの。執筆者も立命館大学の先生たち。


 いわゆる攻略本や懐古本としてのファミコン本などとは異なり、ファミコンが生まれてきた時代背景、時代に与えた影響などを記した、学術書みたいな作りになっている。コンピュータやコンピュータゲーム史が学問の対象となる時代がやってきているんですね。現代史の一部として、あるいは考現学、民俗学、社会学的な視点からも色々と考察ができそう。


 そういうつくりの本のため、ファミコンソフトなどの紹介は基本的になし。2部構成になっており、第1部はテレビゲームの誕生と題して、ファミコンが生まれてきた時代背景を世界初の家庭用テレビゲーム・オデッセイやATARI社のPONGの時代から、アタリショックを経て、日本での電子ゲームやゲームウォッチのブームまでを紹介しつつ紐解いていく。第2部に入って、ようやくファミコンの開発史となる。


 欄外には参考文献も明記されていて、まったく専門書みたいな作り。大学でもテキストとして、使われているんじゃないでしょうか。こういう教科書なら、眠くならないでしょうし、講義も楽しいでしょうね。そのような夢のような講義を受けてみたかった。


 写真は、巻頭に少しとモノクロの小さなものがあるだけで、ほとんど文字だけで構成されている。


 図表や参考文献など、このような感じのお堅い本。このようなゲーム史を扱った書籍としては、2005年に発売された“それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち”が有名。この本は長らくプレミア価格で売られていたのだけれど、2015年に再販されたようで、現在では普通に定価で買うことが出来る。もっと古い本としては、1988年のテレビゲーム―電視遊戯大全が有名。こちらは、再販される見込みが薄いため、とんでもないプレミア価格が付いている。1994年には電視遊戯時代―テレビゲームの現在として、続編も書かれている。


 この本も専門書の一種なので定価2,808円と決して安い書籍ではないのですが、帯付きのほぼ新品が1,200円程度で出ていたので買ってみた。とにかく、ファミコンの開発をされた当事者が書かれていますので、資料としても一級品でその価値は高い。NHKの電子立国、新電子立国とかが好きだった方にもお勧め。幼少期や少年期にファミコンの時代を経験して、ファミコン好きを自認する方ならば、とりあえずもっておきたい必須の一冊だと言えると思います。

参考:ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生・NTT出版、aucfan.com/テレビゲームを大学がマジで研究!立命館大学の「ゲームアーカイブ・プロジェクト」がすごい

おもちゃのすぎやま―小さな町の昭和のおもちゃ屋/斎藤 巧一郎・有峰書店新社

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 おもちゃのすぎやま―小さな町の昭和のおもちゃ屋は、有峰書店新社より2013年に発売された写真集。カメラマン斎藤 巧一郎氏の作品で、東京都練馬区桜台で2012年まで57年間営業していたおもちゃのすぎやまという小さな玩具店の日常から閉店までの一年間を追ったもの。


 個人の玩具店は、すでに80年代頃から姿を消し始めていたように思います。電子ゲームやファミコンのブームでそれまでプラモデル、人形などの素朴なおもちゃを扱ってきたお店が対応できなくなり、90年代に入るとアメリカからの外圧で大店法が改正されて、米資本の大型店トイザらスが日本各地に進出して行った。その後、2000年代には少子化の影響もあってか、おもちゃのバンバンやハローマックなどの大手資本によるチェーン店が姿を消し、個人の玩具屋さんというのは大変難しい時代になっている。専門の工具や細かな品揃えで固定客を掴んでいる模型店などは、まだちらほら残っていますが、店主の高齢化など跡継ぎがいないことから、そちらも少しずつ減ってきています。


 そんな中、2012年まで個人の玩具屋さんを守り抜いた店主の記録と、そこに通った(かっての)子供たちの記憶が写真集の中に封じ込められている。昔は、学校の近くに駄菓子屋や文房具店と兼務している店があったり、ビデオゲーム全盛の頃には駄菓子屋兼玩具店にゲームが入って駄菓子屋ゲームセンターになったり、ファミコン全盛期になると中古ファミコンソフトを扱いだしてファミコンショップへと鞍替えしたりと、そんな多くの人の記憶に残っているだろう、それぞれの思い出の中の玩具店の残像を見ることが出来ます。


 人が年をとるように、時代の流れとともに街の風景が移り変わっていくというのは避けられない。町の電気屋さんも個人経営の古本屋なども、大手資本のショップの隆盛により姿を消していった。その大手ショップですら、ネット通販に押されて赤字だというニュースが流れています。デパートの屋上やゲームセンターなども様変わりしてしまった。自分の記憶の中の個人の玩具店などは、90年代を待たずかなり早い時期に姿を消しています。そんな中、2012年まで店を守り通せたということは、ある意味幸福なことだったのかも。ただ、玩具店が店を閉めるという話題は意外とニュースにも取り上げられていて、多くの人にとって玩具店の記憶とは特別なものなのかもしれません。


 店が閉店するということで、商店街の有志が集まり、この写真集が作られたみたいです。東京のど真ん中で、57年間個人のお店を守り抜いた店主(おばあちゃん)の姿に、なにかすごく人生を感じてしまう一冊。

参考:おもちゃのすぎやま―小さな町の昭和のおもちゃ屋/斎藤 巧一郎・有峰書店新社、有峰書店新社HP、練馬桜台情報局、マックライオンへ捧げる「ハローマック跡地は今?」北海道編まとめ、ロケットニュース24、日本懐かし10円ゲーム大全/岸昭仁・辰巳出版

ドリフダョ!全員集合(ドリフの赤盤・青盤)・東芝EMI

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 ドリフだョ!全員集合は、2000年にドリフターズ結成35周年を記念して東芝EMIより発売された、ザ・ドリフターズのベスト版。ビートルズにちなんでドリフの赤盤・青盤と呼ばれることもあります。発売元が、ビートルズと同じ東芝EMIということから実現した企画だと思います。


 デビュー時から、映画出演などのアイドル的人気があった頃のドリフのシングルなどが収められた赤盤。荒井注さんが在籍しており、音楽バンドとしても活躍していた頃をメインに収録してある。2枚目は、軍歌を歌った2枚のLPからドリフの軍歌、民謡など。テレビに出演するようになってからのメジャーなヒット曲を収録してあるため加藤茶さんがメインボーカルを務めた楽曲がほとんど。いかりやさんの自伝などに出てくる仲本工事さんがメインボーカルを務めていた頃の、洋楽のカバーなどは収録されていない。


 志村けん人気が爆発した後期ドリフが収められた青盤。東村山音頭、ヒゲダンスのゲーマ、ドリフノ人形劇(飛べ孫悟空)など。


 赤盤のほうは、軍歌なども収められているため、ほんとに懐メロといった感じがする。


 青盤のほうは、早口言葉やワンダードッグ、加藤ちゃんのラップ、スキャットなどもあって、実に今風。右の歌詞カードに掲載されているのは、1970年代にトンボの高級鉛筆「MONO」を1ダース買うともらえたおまけドリフの首チョンパ。今だととんでもない値で取引されている。


 歌詞カードなどはかなり簡素。当時発売されたドリフグッズなども紹介されている。せっかくの記念盤なのだから、もうすこし詳しい解説やおまけなどを付けて欲しかった。


 若い頃のドリフは、ザ・ビートルズの日本公演の前座を務め、主演映画が1967年(昭和42年)から1975年(昭和50年)までで、実に21本にも上ったというスーパーアイドルグループだったんですね。今でいうとSMAPといったところでしょうか。このCDが発売された2000年頃というと、まだDVDが出ていない頃だったので、全盛期のドリフを振り返るという意味では貴重な資料だった。


 荒井さんが脱退後、志村さんは生粋のコメディアンでバンドマンではなかったため、音楽コントがなくなったTVのドリフという感じの後期。リアルタイムでわかるのは、こちらのドリフ。それにしても、軍歌から民謡、ラップ、スキャットまでやったバンドは他にはないように思う。


 ヒゲダンスのテーマなども収録されているため余興用としても使える。ドリフの音楽を知るという意味では決定版と言えるでしょう。個人的には、日本のビートルズと言っても過言ではないスーパーグループ、ドリフの青盤、赤盤でした。

紅の豚・スタジオジブリ

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 紅の豚はスタジオジブリ製作のアニメーション映画。監督は宮崎駿監督で1992年に発表された。ルパン三世 カリオストロの城、風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロ、魔女の宅急便に続いて公開された。


 元々は、月刊誌モデルグラフィックスに連載されていた宮崎駿の雑想ノートの中の飛行艇時代が原作。子供向けにアニメーションを作ることを自分に課してきた宮崎監督が、自分のために作った趣味的な作品として知られている。


 物語は、1929年頃のイタリアが舞台。かってはイタリア軍のエースとして知られ、今では魔法により豚の姿となってしまったポルコは、空賊を退治する賞金稼ぎとして生計を立てていた。そこで、空賊たちは用心棒としてアメリカ人のカーチスを雇い入れる。愛艇のエンジン整備のためミラノに向かって飛んでいたポルコは、カーチスと遭遇し撃墜されてしまうが・・・。主役となるのは、それまで輝かんばかりの少年少女を主役としてきた宮崎映画としてはちょっと異質な中年男。しかも醜い豚の姿となっている。ヒロインも大人の色気を帯びた未亡人。まるで映画カサブランカのような世界観で物語が展開する。


 もうひとつの主役ともいえる水上機は、イタリア、アメリカ、ドイツなどの実在のものや監督オリジナルのものが混在して登場している。ルパン三世 カリオストロの城でルパンが乗ったフィアット500(イタリア)、クラリスが乗った2CV(フランス)は、それぞれ作画監督の大塚氏と宮崎監督の当時の愛車であったことは有名だが、アナログなレシプロ機に乗ってドックファイトを繰り返す様は、それらのヨーロッパ製の旧式の小型車を操縦して野を駆け回る監督の姿(趣味が)が反映されているようにも思える。


 当時見たときには、ナウシカやラピュタと比べてストーリー的、盛り上がり的にちょっと物足りないかなという印象でした。少なくとも、ジブリ映画として一番好きな作品ではなかった。宮崎監督は飛行機好きなことで有名で、この映画に出てくるような飛行艇も欲しいとインタビューで答えている。但し、それはこの映画に出てくるような秘密の隠れ家とセットでなければならないとのこと。モデルグラフィックス誌上で、同じ趣味を持った同好の士に向けて好きなことをやっていく中で生まれた作品なので、そういう秘密の隠れ家でこっそりと好きなことをして過ごすとことが、監督のやりたいことで、自分の趣味の映画になってしまったと言われる所以なのかも。舞台となった地中海の秘密の隠れ家は、実在する場所がモデルのまさに地上の楽園、天国みたいな場所で、このような秘密の場所で人生の休暇のような時間を過ごすのは、確かに夢の映画なのだと理解できる。年をとってくると良さが分かる作品なのかもしれません。


 ということで、人生の余暇ともいえる時間にリゾートを自由に駆け回ったり、自分の秘密基地にこっそりとこもる趣味人の中年男の話。休みの日や休みの前日に見るのにふさわしい映画といえるのかも知れません。

参考:Wiki 紅の豚、ルパン三世 カリオストロの城の項

成龍 ジャッキー・チェン アクションDVD-BOX・ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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 こちらは、2007年にユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンより発売された、ジャッキー・チェンの映画を3本セットにした成龍 アクションDVD-BOX。この企画が好評だったのか、成龍 アクションDVD-BOX2、成龍 アクションDVD-BOX3が発売されています。


 こういうジャッキー・チェンの詰め合わせみたいな企画は、わりと何回も企画されていて、DVDやブルーレイなどでジャッキー・チェン〈拳〉シリーズBox Set1、2などが売られている。このアクションDVD-BOXは、中古も1,000円ほどと、わりに安価で購入できる。


 収録されているのは、五福星、ヤングマスター、バトルクリーク・ブローの3本。特につながりのない見事にばらばらな作品群。


 ヤングマスター師弟出馬は、80年の作品。香港で記録的なヒットを飛ばし、古いカンフー映画から新しい映画へと移ろうという時期の記念碑的な作品。ここから、ドラゴンロード、プロジェクトAへと繋がった。バトルクリーク・ブローは、81年製作の香港・米国合作映画。ジャッキー・チェンの全米進出第一弾。ジャッキー・チェンは、81年のキャノンボール、85年のプロテクターでも全米市場に挑戦していますが、なかなか上手くいかなかった。アメリカ人がジャッキーを発見したのは、95年のレッド・ブロンクスから。ここから、ラッシュアワーやジャッキーのアニメなどハリウッドスターへと上り詰めた。五福星は、1983年に公開されたコメディ映画。日本ではジャッキー作品と認知されているが、実際は香港の人気スターを集めたサモ・ハン・キンポーの映画で、ジャッキーはゲスト出演のみ。


 そこそこの知名度はあるけれど、単品で売るには厳しいような作品が集められている様です。第二弾は6本の作品が収められていますが、新ポリス・ストーリー、奇蹟/ミラクル、レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳、ファイナル・ドラゴン、ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門、ジャッキー・チェンの飛龍神拳という微妙なラインナップになっている。


 こちらは、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンより2006年に発売された成龍 ジャッキー・チェン アクションDVD-BOX3。一本売りでは難しいジャッキーチェンの初期の作品を集めたBOXセット。前述のアクションDVDセットは五福星、ヤングマスター師弟出馬、バトルクリークブローの3作品と少なめでしたが、こちらは豪快に初期の時代劇カンフーものを7作品も収録している。


 アマゾンの商品説明ではわからないのですが、7作品収録ということで実物はかなりの分厚さ。ジャッキーチェンは、78年(日本公開は79年)の酔拳で日本に紹介されて注目を集めました。その勢いをかって同じようなフォーマットの蛇拳も公開され大ヒットを記録します。それまではブルースリーのシリアスなカンフー映画しかないところに、ギャグを取り入れた点が目新しかった。以降、ジャッキーの新作は順次日本でも公開されていくようになりますが、あまりの人気のため過去の作品も新作として劇場公開されるようになった。酔拳、蛇拳がヒットしたため、関係ないタイトルの映画でもジャッキーチェンの○○拳と日本だけのタイトルが付けられて公開されていた。


 少林寺木人拳(76)、クレージーモンキー 笑拳(79)、 カンニング・モンキー 天中拳(78)、ジャッキー・チェンの醒拳(83年)。この辺は一本売りでバラでも売っています。コミカルな日本版のパッケージとは異なった、微妙にシリアスなパッケージ。


 成龍拳(77)、龍拳(78)、蛇鶴八拳(77)。この辺だとタイトルを見ただけでは、区別が付かない。


 昔の香港映画なのであまったフイルムを繋げて一本新作を作ってしまったりだとか、1年間に3本も4本も新作を作っていたりだとか、全部B級といえばB級なのですが、日本では劇場公開された以外にゴールデン洋画劇場などでもバンバン放映されていたので、そういった意味でも懐かしい。中でも木製の木人が印象的だった少林寺木人拳、クレージーモンキー 笑拳、 カンニング・モンキー 天中拳などは、放送の翌日学校でも話題となっていました。


 日本公開当時は、こんなにコミカルだった。それまでシリアスだったカンフー映画に、ギャグを取り入れたところが新しかった。酔拳、蛇拳のヒットにより日本でも人気が爆発し、それ以前の古い映画もコミカルな装いに改められて公開された。ジャッキーチェンのコミカルカンフーは、ゴールデン洋画劇場の定番でもあり、休日前の楽しい時間を更に楽しくしてくれる映画として、わくわくして視聴したものです。


 ということで、初期ジャッキー映画がこれでもかと満喫できるお買い得セット、成龍 アクションDVD-BOXでした。

参考:Wiki ジャッキー・チェンの項

孤独のグルメ/久住昌之、谷口ジロー・扶桑社

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 孤独のグルメは、原作・久住昌之氏、作画・谷口ジロー氏による漫画。1994年から1996年にかけて扶桑社の月刊PANJA誌で連載された。以後もSPA!誌上で不定期に連載されており、2000年には文庫版、2008年には新装版が、2015年には孤独のグルメ2が発売された。2012年からは、松重豊さんの主演でテレビ東京でドラマ化もされており、2015年からは中国版の孤独のグルメも製作されている。


 物語は、個人で雑貨輸入商を営んでいる井之頭五郎という中年の男性が、行く先々でふらっと立ち寄ったお店で食べたものの感想を述べるというグルメ漫画。連載当時から、マニアックな漫画として知られていたが、連載終了後もじわじわと売れ続け、遂にはテレビドラマ化されてしまうほどメジャーな作品となった。


 五郎さんが行くのは、雑誌やメディアに取り上げられるような有名店ではなく、いわゆる名店でもないお店。街中を散策する途中にふらりとたちよる町の定食屋みたいな所が多い。数ページの物語の中で、落ちもなければ、山場もなく、淡々と物語は進行し、終わりを迎える。ただ単におっさんが飯食って、独り言をいうだけの作品というところが、この当時としては画期的だった。


 町の定食屋とか店に入ればまだよいほうで、電車内でしゅうまい弁当を食べる話、コンビニで惣菜を買い込んで食べる話、デパートの屋上でうどんをたべる話、飲み屋街の屋台でたこやきを食べる話、公園のベンチでカツサンドを食べる話など、ある意味なんでもあり。


 定食を前にして、おっさんが真面目に思案する、そんなところが受けたのだと思う。ハードボイルドグルメ漫画などとも言われている。個人的には、当時月刊PANJA誌に連載されていた時に読んで知っていた。その時には、おっさんの漫画という印象しかなかったのだが、年月を経て見てみるとえらく共感できる漫画だということが理解できた。五郎さんは、個人で雑貨輸入商を営んでいる自営業なので自由人だし、人目は関係なく自分の行きたいところで、自分の食べたいものを食べている。そういったことが、多くの人に共感を読んでハードボイルドと感じさせる点なのでしょう。これがわかる年齢になっていたということなんでしょうな。


 2017年2月になって作画の谷口ジロー氏の訃報が伝えられた。谷口氏は主に成年誌に書かれていた作家で、日本では玄人好みという感じだった。ただし海外、特にフランスでの評価は高く、2011年にはフランス政府芸術文化勲章を送られるほどだったそう。坊ちゃんの時代や犬を飼う人などが有名ですが、ただ散歩する中年男性を描いた歩く人など、日常のなんでもない風景を鮮やかに切り取るような作品も多く書かれている。最近、路線バスの旅だとかブラタモリなど、とくに大きな事件も起こらない日常のなんでもない風景を描いた作品が人気ですが、この孤独のグルメをも含めて、それらの先駆けであったようにも思います。ということで、デパートの屋上とか寂れた観光地とか、シャッター街の商店街とか、そういった場所に限りない哀愁と愛着を感じてしまう人にはお勧め。

参考:孤独のグルメ/久住昌之、谷口ジロー・扶桑社、東洋経済オンライン「孤独のグルメ」の作者は、"怪物"だった!日本人が知らない、谷口ジローの真価
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