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電子ゲームなつかしブック・コアマガジン社&Electronic Plastic/Jaro Gielens・Die Gestalten Verlag

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 こちらは、コアマガジン社より2016年9月末に発売された電子ゲームなつかしブック。なぜか2016年というこの時期になって、彗星のごとく突如として発売された電子ゲーム本。


 このムック本、タイトル通り電子ゲームに特化した内容。ファミコンミニの影響からか今はファミコン本が多いですが、ちょっと変化球ですね。1983年の発売から1994年の最後のソフト発売まで、約10年という期間現役だったファミコンに比べると、電子ゲームは78年~85年頃まで、実質3年くらいしかブーム期がなかったため、思い入れのある層や知っている人が少ない。そのため、このような資料本も極端に少なくて、出版してくれたこと自体が奇跡だと思える。


 帰ってきた電子ゲームの中の人と、任天堂本をいくつか書かれている任天堂博士の山崎功氏が関わっているため、有名どころは過不足なく押さえてあります。ページ数の関係でそれほど数は多くないため、マニアの人には物足りないと思いますが、書店で見つけて懐かしいと手に取る人にとっては十分だと思います。


 もちろんゲーム&ウォッチも収録されていますが、省かれてしまうことの多い蛍光表示菅(FL)ゲームが多く取り上げられているのが嬉しい。あら、インベーダー2000の発売元がバンダイとなってますな。


 電子ゲームといえばこれも外せないサイモンなどもきちんと収録されている。


 さらになつかし電子ゲーム100として、100本分の電子ゲームのミニレビューが掲載。簡単な紹介や遊び方、攻略などが書かれている。ファミコンの攻略記事は多いですが、電子ゲームの攻略というのはほぼ皆無なためこれは貴重。


 アーケードから移植された名作電子ゲームという企画。惜しむべきことにページ数が少ない。ファミコンやゲームボーイも収録されていて、ファミコン芸人の藤田さんも登場しているのだが、Amazonのレビューにも書かれているように、ここは電子ゲームに特化して欲しかったところ。出版する側としては、電子ゲームのみの本だとあまりにも市場が狭すぎるため、安全策としてファミコンの記事も入れたいのでしょうけど。


 電子ゲームだけではなく、同時期のテレビゲームなども多数収録されている。このため、電子ゲームの情報を求めて買う人には物足りない内容となっていますが、バラエティにとんだ内容になっていて読み応えもあります。Amazonでは、★三つ半と微妙な評価になっていますが、ここ的には星★★★★★を進呈したい。


 どちらにしても、今この時期に電子ゲーム本を出版してくれたというだけで価値がある。この時期のことを知っている人ならば、書店などで見かけられたら、ぜひ手にとって見て欲しい楽しい一冊になっていると思います。


 こちらは、ドイツのDie Gestalten Verlag社から2001年に出版されたElectronic Plastic。筆者のJaro Gielens氏は、オランダ出身のドイツ在住の電子ゲームコレクターで、デザインなどを本業とされているインタラクティブデザイナーさんのよう。洋書としては、わりと日本でも有名なものだと思います。


 1970年代年後半から85年頃までに発売されてブームとなった電子ゲームを扱った一冊。こういうのは、なかなか無い。当時ものの電子ゲーム百科などは、1万円以上のプレミア価格となっている。


 特徴としては、本業がデザイナーということでレイアウトがなかなか工夫されていて綺麗。


 洋書とはいっても、掲載されているもののかなりの数が日本製品なので、特に抵抗なく読める。


 この本の表紙にもなっているのは、バンダイより1985年に発売されたW-RACING。すでにファミコンがブームとなっていた頃に、ひっそりと発売された液晶ゲームで、特に有名というわけでもない。というより、ほとんど知られていないマイナーな機種。任天堂のドンキーコングやトミーのパックマンなどではなく、なぜそれが拍子になっているのかというのは謎。


 独立したスロットルを2つ備えており、4方向ジョイスティックで、スピード、ブレーキ、ハンドリングを全て行え2人で対戦もできる。多分この辺りが、Jaro Gielens氏の琴線に触れたのでしょう。


 この本に掲載されている電子ゲームメーカーが世界地図で示されているが、北米と欧州、そして日本。当時としては最先端の玩具であったため、やはり先進国ばかり。今だと中国、台湾、タイなど、この地図もまったく様変わりしていると思います。中でも日本メーカーの数は圧倒的。アニメやゲームなどのサブカルチャーは、日本が本当に強かったことを再確認します。2010年に製作されたNHKスペシャル~世界ゲーム革命~では、日本のゲーム産業の最盛期は1995年頃で、全世界シェアの7割を日本製ゲームが占めていたと紹介されている。その後、今日までにゲーム産業の規模は3倍ほどになり、日本製ゲームのシェアは3割にまで落ち込んでいるのだとか。


 このような本で、わりと新しめのものとしては、2013年に発売された携帯ゲーム機コンプリートガイドがある。電子ゲームに特化したものとしては、2000年の電子ゲーム70’s & 80’sコレクションなどが有名。


 このようなレトロゲーム本は、絶版になるととんでもないプレミア価格となっている場合が多いが、このElectronic Plasticは、アマゾンでも入手可能でとわりと手に入れやすい価格なのが嬉しい。電子ゲーム関係は、あんまり人気が無いということの裏返しかもしれませんが。


 ということで、電子ゲーム好きな人にはお勧めな一冊。安く売っているうちに手に入れておきたい一品。

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